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10:00

やっぱり休みが多いと仕事中に休みが恋しくなっちゃうな。


少し前まで2店舗のBARを半日休みのみで仕事していた私にとって、2日連続の休みはまるで冬休みのよう。


だから今日はずっと前からお世話になっている夏くんに2週間ぶりに事前予約をしてマッサージをしてもらうことになっている。


それにウキウキで朝早く起きてしまった私は昨日やりそびれた洗濯物を干していると携帯の通知音が鳴った。


…あ、音己からだ。


私は少し緊張しながらメッセージを開けると、イルミネーションの日程候補が来ていた。


『30、31、4、5日辺りが人が少ない気がする。』


ってことは30日か31日になるけど、音己はいいのかな。


大晦日はきっと一や弟さんの友達と一緒に年を越すだろうし、お正月は家族と過ごすのだろうから30日がいいだろう。


『30日の夕方頃に私の家に待ち合わせでもいい?』


私がそう送ると音己はいつもより早く返信をくれた。


『うん。一応バス調べとく。』


音己は私が電車酔いするのを気にしてくれるらしく、私が返信の文字を打っている間にバスで行ける候補を3つほどスクリーンショットで送ってくれた。


『レンタカーで行こうかなって思ったけどどう?』


けれど、私は震える指先で思い切ってドライブデート兼イルミネーションデートに誘うと、音己はいつものようにすぐにOKを出してくれた。


それだけで私の心は満足で行く前に行った気分になってしまっていると、インターフォンが鳴った。


私は最後の靴下を干し、ベランダから玄関に走ると今さっきまでメッセージを送り合っていた音己がリクルートスーツ姿で玄関前に立っていた。


雅紀「どうしたの?」


私が玄関を開けて音己に声をかけると音己はとても不機嫌そうな顔で私に抱きついてきた。


雅紀「…また、言っちゃったの?」


私の胸に顔を埋める音己の頭をそっと撫でると、音己は静かに頷き少し鼻をすすった。


音己「研修期間は我慢しようって思ったけど…、無理だった…。」


雅紀「なにがあったの?」


音己「事務作業でコピーとってたら尻撫でられてキレたらクビになった。」


雅紀「立派なセクハラだし、そういう人がいる会社を早めに辞められてよかったよ。」


音己「でも…。」


雅紀「でも?」


音己「…やっぱいい。」


私はいつもここで音己に言葉を濁されてしまうので、音己が思っている全てを聞けたことはない。


雅紀「音己が相談したい相手にすればいいよ。とりあえず、お茶でも飲もっか。」


音己「うん。」


私は音己に自分の部屋着を貸して少しでも気持ちがリラックス出来るようにしていると、ルイボスティーを半分飲んで体を温めた音己は私のロングヘアで三つ編みを始めた。


けれどその三つ編みは不器用でガタガタになってしまっていた。


音己「…この間、一が私の髪で遊んでた時に三つ編みしてたの。」


雅紀「へー。一って器用なんだね。」


手先が器用なのは一昨日の夜も思い知らされたけど、三つ編みができるとは思わなかったな。


音己「元彼のむーこに教わったんだって。そういうの…、いいなって思う…。」


と、音己は私の髪の毛から手を離し膝を抱えてしまう。


私はやっぱり一が1番好きなのをまた思い知らされていると、音己が急に顔を上げて私を見た。


音己「一と1番一緒にいるのは弟の奏だし、1番いい彼女はむーこだと思う。だから…」


音己は一のなにかしらの1番になりたいみたいだけど、どうにも上手くいかないようで目に涙を貯めてまた顔を俯かせてしまった。


私はそんな音己にキスをしたいと思ってしまうけれど、その気持ちを押さえつけてキスする予定だったほっぺをつまむ。


雅紀「1番になるのって難しいよね。私もなったことないよ。」


音己「…でも、一はさきのこと好きだったよ。」


それは今も続いちゃっていること、音己は知らないっぽい。


けど、それは夏が終わった日に全て気持ちを置いてきたから音己の知ってる一で合ってると思うんだ。


雅紀「やっぱり体の相性とかあるからね。男同士だし、そういうの難しいから終わっちゃったよ。」


音己「けど…、好き同士なら一緒にいればいいと思うよ。」


音己はちょっと前の一をずっと見ているらしく、今の一が音己にスキンシップ多めなのに気づいてないらしい。


雅紀「頭で考える恋愛はしばらくいいよ。音己もあんまり考えないで一にアタックしてみたら?」


音己「…ううん。いい。」


なんでそんなに消極的なんだろうなと思っていると音己の携帯の通知音が鳴った。


音己「あ…、みんなから写真来た。」


と言って、音己はメッセージを開くと一と弟たちの友達から遊園地に行ってる写真が送られてきたらしい。


だから今日は私のところにきてくれたんだなと1人納得していると、音己はお茶が入ったカップ2つを写真に撮ってみんなに送っていた。


音己「お茶会してるって送っといた。」


雅紀「他にもダージリンとかローズヒップとかあるよ。」


私はもう少し音己のそばにいたいがために趣味で集めだしていた紅茶で音己を釣り、のんびりとしたお茶会で休日を過ごした。



環流 虹向/ここのサキには

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