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顔合わせ

「ということで、姫様」


 朝食を食べている中、声をかける


「なに? 」


 もぐもぐとマナーの一欠片も無いご様子で食べている姫様。……ちゃんとお教えしなくてはなりませんね、これは。


「本日は王家の皆様と顔合わせをします。昼食を一緒に食べることとなります。」

「……え? 」


 姫様の手が止まった。


「それ、ほんとなの……?」

「本当です。姫様。朝食をお食べになったら、食事のマナーをお教えします。いくら元平民で、昨日王女となったばかりでも、王家たるもの、礼儀作法やマナーでミスをしたら、侮られてしまいます。きちんとお勉強しましょうね、姫様」

「……」


 黙り込む姫様は、食事のペースを分かりやすく遅くした。噛む回数を増やし、何を食べようか迷う演技までする。


「姫様? 」

「……わかったよぉ」


 しょんぼりする姫様を見ながら、言葉遣いもお教えしなければならないな、と思った。




 それからは大忙しだった。まずは姫様の身なりを整える。ボディケアから始まり、ドレス選び、メイク、ヘアメイク、靴やアクセサリー選び。それがおわったら、やっとマナー講座。幸い、飲み込みは早く、顔合わせの際も上手に出来そうだと感じた。

 ただ、困ったことに言葉遣いだけは、この短時間では、どうにもならなかった。平民として育ったから簡単に治るわけがないが、仕方ないから、とりあえず他の王族たちの言葉遣いを真似てみてください、とだけアドバイスをした。


「第一王女のテレーゼ様が完璧ですので、その方の喋り方を真似てみてください。」


 第一王女、テレーゼ様。レヴィエスト王国の王太女であり、聡明で博識なお方。私が王女だった頃も、優しく接してくれた唯一の人物でもある。彼女であったらマナーなどの基本的な動作でミスをするわけが無い。


「かといって、見つめすぎても行けません。それは相手を威嚇しているように見えますから」

「分かった」


 残り少なくなった準備時間で、必要最低限のことだけを伝えた。瞳は朝とは打って変わって、凛々しくなっていた。


「頑張る、私」

「ええ、応援しています」


 コンコンとドアにノック音が響き、いよいよ時間が来たようだ。


「では、参りましょう。シャルロッテ様」

 こくんと姫様は頷いた。




 姫様たち、王族が食事する時に給仕をするのはメイド長と専属のメイド以外の数人が行う。よって、姫様をお連れすると、専属のメイド達は隣の小部屋で主人を待つ。そして、食べ終わった頃にお迎えに上がるのだ。

 私のそれに習い、隣の部屋に移動する。そこには、既に第一王女のメイド、ジスと、第二王女のメイド、ニナがいた。ばっちり、ジスと目が合うと、彼女はにこっと笑った。


「こんにちは、ルルーさん。……噂は聞いているけど、これからは同じ専属メイドとして、よろしくお願いね」

「こちらこそよろしくお願いします。ジスさん」


 王女だったとき、ジスは私を蔑むことはしなかった。まぁ、どんな感情を抱いているのか、私にはわからない。ある意味怖い人物だ。


「えと、私からもよろしくお願いします」


 そういったのはニナだった。彼女は昔から気が弱く、なんで、あのフレア様の専属メイドなのかよく分からない。しかし、メイドとしては有能らしい。

 付き合いがあっても損は無いだろう。


「よろしくお願いします、ニナさん」


 専属メイドはお互い干渉することはないが、メイド同士が険悪だと主人たちにも火が及ぶこともないとは言えない。表面上だけでもにこやかにしておこう。

 隣の部屋からはあまり音は聞こえない。あの人たちが仲良く会話するとも思わないが、そんなに悪い雰囲気を感じられるほどでもなかった。そうして、席を立つ音がした。




 姫様を迎え、部屋に戻ると、姫様はベットへとダイブした。


「姫様? どうかなさいましたか? 」

「つっかれた……」

「マナーなどの出来前はいかがでしたか? ちゃんとお教えした通りに出来ましたか? 」

「うん、それはできたと思う」

「それは良かったです」

「ただ……」

「ただ? 」

「第二王女様、絶対私を嫌ってると思う」

「……フレア様、ですか」

「うん、じっとわたしの方見てた」


 考え込む姫様に、声を潜めて私は言う。


「……彼女は、あまり性格が宜しくありませんからね」

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