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親子の再開と無償の愛

 王の間からでると、目に涙をいっぱい溜めた皇后陛下がいた。ぎょっとする私たち。すると、皇后はシャルロッテ様に抱きついた。


「ああ! 私の本当のシャルロッテ!会いたかったわ! 」


 ここでもか、と思う。本当、国王といい、皇后といい、本物と偽物という言葉が好きなのね。……私の気持ちも考えずに。

 ぎゅうぎゅうに抱きしめられるシャルロッテ様は少し苦しそうだ。でも、同時に少し嬉しそうだ。再び私の胸も少し痛む。


「こ、皇后陛下、少し離して貰えませんか?」

「皇后陛下なんてお堅いわ! お母さまでいいのよ! ロッティ! 」

「ロッティ、ですか? 」

「ええ、可愛いじゃない? 」

「……いいと思います」


 恥じらいながらもシャルロッテ様はそう答える。

 ちゃんとしたマナーもなってない、身なりも汚い、なのに娘というだけで愛されるのか、あんな風に。親子の愛って無償なんだなと理解する。

 羨ましく見えたのか、柄にもなく親子の再会を見入っていると、アランディス卿が後ろからぽん、と背中を叩いた。


「……アランディス卿。……いやだな、平気ですよ。……分かっていたことですし」

「無理しなくていいんだぞ。ルルーだって姫様と同じ、まだ15なんだから」

「ほんとに大丈夫ですって、アランディス卿。あなたこそ私と三つしか違わないのに大人ぶらなくなっていいんですよ? 」


 冗談ぽく言って誤魔化す。こうでもしなくちゃ、いいなって思ってしまう。無理しての笑顔だって見抜かれたかな、でもきっとアランディス卿は何も言わない。きっと言わないで欲しいということを分かっている。シャルロッテとしての付き合いの長さがそう教えているはずだ。


「……そうか」


 悲しげな表情を浮かべて言った。

 薄暗くなり、肌寒くなってきた室内。その代わり背中のアランディス卿の手は、暖かく、優しかった。

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