王宮へ
「……では、私が考えていることを話しますね」
こくりと頷くカイルとシャルロッテ。
「今必要なものは王家の紋章がついたペンダントです。私が持っていないので、シャルロッテ様が持っていると踏んだのですが、どうでしょう? 」
「王家の紋章? それって、白百合の花の? 」
「そうです」
「これ? 」
そう差し出したのは正しく白百合の花の刻印がある金のペンダント。
「それです。……よかった、あった」
安心した。これがあればきっと、……。
「そう、なら、良かった」
微笑むシャルロッテ。
「では、王宮に帰りましょう」
「え? 」
「もう、ですか? 」
首を傾げる二人に対して首を傾げる私。
「ええ。疑問視することがおありですか? 」
「ありますよ! そりゃあ! ……だって今のところペンダントを見つけただけですよ! 作戦会議とか、そーいうものをするんじゃないんですか? 」
「いいえ、今はこれだけで十分です。それに日が暮れる前に国王に謁見しなければいけないので、急ぎましょう」
「今日謁見するの!? 」
「ささ、馬車にお乗りくださいな、シャルロッテ姫様? アランディス卿? 」
そそくさと二人を馬車に乗せて王宮へと出発する。ガタゴトと揺れる馬車の中、私はこれからについて話す。
「いいですか、これからの謁見はこのまま陛下の所へと向かいます。正式な服装にすると色々と勘ぐられそうなので…、また話すのは私だけで十分です。これから話す内容は……」
そうしてオレンジ色をバックに王宮が見えてきた。
「あれが、王宮」
「ええ。立派ですよね」
「……うん」
しばしの間の沈黙を挟んだ後、
「正門です」
緊張した面持ちで、馬車は王宮の敷地内に入っていった。