表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
浮気されたので婚約破棄して、義弟と気ままに暮らしています。元婚約者が女性関係で困っているようですが、私には関係ありません。  作者: 木山楽斗


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/70

第69話 弟の心

 私は、イルディンとともに、自室に戻って来ていた。

 混乱している弟は、まだ興奮が冷めていない。部屋に来てからも、ずっと先程のことで悩んでいる。


「僕と姉さんが、婚約なんて……そんなことがあっていいのかな? なんというか、姉と弟だし、そういう関係になれるものなのだろうか?」

「イルディンは、嫌なの?」

「いや、嫌という訳ではないけど、なんというか……倫理的に大丈夫なのかとか、世間的に問題なのとか、色々とあるじゃないか」


 イルディンは、色々なことを気にしているらしい。

 しかし、嫌ではないと思ってくれていることは嬉しいことだった。

 この弟も、私と一緒にいたいとは思ってくれているのだ。世間的な目を考えているだけで、気持ち自体は私と変わらないようである。


「別に、血は繋がっていないのだし、問題ないじゃない」

「でも……」

「私は、イルディンと一緒にいたいわ。だから、この選択は最良のものだと思っている。あなたは違うの?」

「それは、僕だって……一緒にいたいとは思っているけど」

「なら、問題ないでしょう?」

「そうだけど……」


 私の言葉に、弟の勢いはなくなっていった。

 特に、問題はない。そのことが、理解できてきたのだろう。


「違うんだよ……僕は、そういうことを言いたい訳じゃないんだ」

「え? 何かまだ心配があるの?」

「その……姉さんの気持ちというか、なんというか、そういうものがあるじゃないか」

「気持ち? 別に、私は婚約者が誰かなんて気にしていないわ。元々、誰でも良かったと思っていたことだし、それがイルディンでも問題ないわ」


 イルディンは、私の気持ちも気にしていた。

 だが、それについてはガルビム様のような者と婚約していた時点で、諦めていたことである。

 正直、ガルビム様程ひどくなければ、私は誰だって耐えられるだろう。普通の人なら、誰でもいいのだ。それがイルディンであるなら、むしろ嬉しいくらいである。


「……仕方ない。伝えるしかないか……」

「え?」


 そこで、イルディンの目が切り替わった。

 それは、何かを決意したような目である。

 きっと、イルディンは何かとても大切なことを、私に伝えようとしているのだ。


「僕は……僕は姉さんのことが好きなんだ。家族としてではなく、一人の女性として……だから、こんな思いを抱えている僕が、姉さんと婚約をするなんて、駄目なんじゃないかと思っているんだ」

「イルディン……あなた……」


 そこで、イルディンは真っ直ぐに私の目を見て、驚くべきことを言ってきた。

 その言葉だけで、弟が今抱えている憂いや、今まで抱えていたものが見えてくる。

 なんだか、色々と納得してしまった。彼の私に対する今までの態度が、どういうものかなどが、すぐに理解できたのである。

 こうして、私はイルディンの心の中にあった思いを知ることになるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ