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浮気されたので婚約破棄して、義弟と気ままに暮らしています。元婚約者が女性関係で困っているようですが、私には関係ありません。  作者: 木山楽斗


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第68話 婚約する相手は

 私とイルディンは、お父様から事件が解決したことを告げられた。

 そのいい知らせに、私もイルディンもとても喜んでいる。


「さて、お前達を呼び出したのは、これを伝えるためだけではない」

「え? そうなのですか?」

「ああ、もう一つ相談したいことがあるのだ」

「相談? お父様が僕達に相談したいというのですか?」


 そこで、お父様は話を切り替えてきた。

 お父様が私達に相談したいなどと言ってきたのは、少し驚くべきことかもしれない。

 基本的に、このラガンデ家はお父様が仕切っている。そのため、私達に相談など中々ないことなのだ。


「実は、アルメネアの婚約に関することなのだが……」

「姉さんの婚約……」

「それは……」


 お父様の相談したいことに、私達は少し表情を歪めた。

 それが、あまり嬉しいことではなかったからだ。私の婚約というのは、いつか訪れると思っていた。だが、まさかこんなに早かったとは。

 しかし、それは仕方ないことだ。貴族の娘として生まれた私は、他家と結びつくための道具である。婚約することは定めなのだ。受け入れる他ないことである。


「以前の婚約破棄から、私はずっと考えていた。どういう選択をすることが、正しいのかを……そして、結論を出した。お前達は、お互いに支え合うという今の関係が一番いいのだと……」

「え?」

「それは、どういうことですか?」


 お父様の言葉に、私達は疑問を浮かべた。

 正直、何を言っているのかまったくわからない。私の婚約の話なのに、今の関係が一番いいとはどういうことなのだろうか。


「私は、お前達に婚約を結んでもらいたと思っているのだ」

「私達に?」

「婚約……姉さんと僕がっ!?」


 イルディンが思わず叫ぶ程、お父様の言ったことは衝撃的なことだった。

 私とイルディンの婚約。それは、まったく考えていなかったことである。


「お父様、一体何を考えて、そういう結論に達したのですか!?」

「イルディン、落ち着け。この選択は、そう驚くべきことでもない。お前とアルメネアは血が繋がっていない。故に、婚約を結ぶことができるだろう。そして、お前達はお互いに支え合うその関係が、一番いい状態だ。それなら、一緒にいられるように婚約を結ぶべきではないか」

「し、しかし……」


 お父様の言葉に、イルディンは混乱していた。

 しかし、私はだんだんと理解できてきた。確かに、これはとてもいい選択である。

 私は、イルディンとずっと一緒にいたいと思っていた。叶わない願いと諦めていたが、その選択をすれば、それが叶うのである。

 イルディンからすれば、姉と婚約するのは気が引けるのだろうが、そんなことは諦めればいいことである。私なんて、浮気性のどうしようもない男と婚約させられたのだ。婚約者に対して、あれこれ文句を言っても仕方ないのである。そこは割り切るべきだろう。

 こうして、私達は衝撃的な事実を知らさられたのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] いやーやっぱりお父様もそういう答えに行き着きますよねー。 傍から見てたらそんな関係にしか見えないw 姉の方は予想通り乗り気ですね。 [一言] とうとうここまで来た……漸く……幸せになって、…
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