第67話 解決する事件
私とイルディンは、お父様に呼び出されていた。
何か、話があるらしいのだ。
「お父様、今日はどのような用件ですか？」
「実は、先程騎士団から書状が届いたのだ」
「騎士団から書状？」
お父様の言葉に、私もイルディンも少し緊張する。
騎士団から書状というのは、あまりいい知らせではない。
今まで、騎士団には散々苦しめられてきた。また、何か起こされるのではないか。そのような考えが過ってしまったのだ。
「どうやら、ガルビム様の事件の犯人が判明したらしい」
「え？」
「それは……」
さらなる事実に、私もイルディンも驚くことになった。
ガルビム様の事件の犯人。それが判明したという事実は、私達にとって朗報である。
お父様の様子からして、私達が犯人にされているということもなさそうだ。一体、誰が犯人だったのだろう。
「今回の事件は、シメール・オーガティアという人物が起こした事件だったらしい。浮気性のガルビム様が許せなくて、殺害しようとしたそうだ」
「シメール……オーガティア……」
事件の犯人は、私がガルビム様と婚約破棄をすることを決意した時、その場にいたシメール様であった。
浮気性のガルビム様に制裁を加えようとした。それは、とても理解できる動機である。
彼女は、狂信的なまでにガルビム様を愛していた。そんな彼女が、他の女性とも関係を持っていたガルビム様を許せるはずがないだろう。
しかし、それは愚かなことである。ガルビム様の噂など、何度も聞いたことがあるはずだ。それなのに、彼に期待したというのが間違いなのである。
「こちらに対しては、多大な迷惑をかけたとして、謝罪の文まで用意してあった。どうやら、以前までとは違い、騎士団も良い組織となったようだ」
「そうですか……それなら、良かったです」
騎士団が良き組織となったのは、恐らくダルケンさんのおかげだろう。
彼は、今回の事件で強引な捜査を行う騎士を数名咎めた。それにより、騎士団の不穏分子は排除されたのだ。
彼にも、感謝するべきだろう。彼がいなければ、私達は事件の犯人にされていたかもしれない。本当に、ダルケンさんのようなまともな騎士がいてくれて良かった。
「これで、事件も我々にかかっていた疑いもなくなった。辛かっただろう。お前達も、よく頑張った」
「いえ……」
「僕達は何も……」
私達は、皆で笑い合った。
これで、もう事件のことで悩むことはなくなるのだ。それは、とても喜ばしいことである。
こうして、私達の身に降りかかってきた事件は、解決するのだった。
