第65話 重度のブラコン
私は、友人であるエスリアとともに、お茶にしていた。
彼女と会うのは、かなり久し振りだ。だから、色々と話が弾んでいる。
「本当に、色々と大変だったみたいだね……」
「ええ、そうだったのよ……」
お互いに何があったかを話したが、私の方はとても長い話になった。
本当に、ここ最近は色々なことがあった。とても大変な時期だったと思う。
一方で、エスリアの方は特に問題もなかったらしい。婚約者とともに、気ままな時を過ごしているというのだから、少し羨ましいくらいである。
「でも、話を聞いていると、イルディン君はすごいね。アルメをしっかりと守って、なんだか理想の王子様みたい」
「そうね……イルディンは、本当に良くしてくれているわ」
エスリアは、イルディンに感心していた。
確かに、私の話を全て聞けば、そのように思うことだろう。
本当に、できた弟はいつも頼りになる。これまでも、助けられてばかりだ。
「それに、なんというか……彼は、とても大変そう……」
「大変?」
「いや、なんでもないけど……」
そこで、エスリアは少し遠い目をした。
イルディンが大変だったことは確実なことだ。
しかし、エスリアの言葉には、何か違和感がある。それが何かはわからないが、含みがある言い方だったのだ。
「……ところで、アルメはその……重度のブラコンだよね?」
「え? まあ、そうだとは思うけど……」
「一回聞いてみたかったけど、一体どこまでイルディン君といけるのかな?」
「どこまでいける?」
エスリアの言う通り、私は重度のブラコンだろう。
それは、自覚していることである。
だが、どこまでいけるという曖昧な質問はよくわからない。それは、一体どういうことなのだろうか。
「えっと……一緒に寝るのは、結構大胆なことだよね?」
「まあ、そうかもしれないわね」
「そういうことをどこまで許容できるのか……どこまでできるのか、参考までに聞いてみたいの。まあ、本当に他愛のない話だよ」
「なるほど」
エスリアは、イルディンとどのようなことまでしたいと思っているのか知りたいらしい。
要するに、私のブラコンがどれ程のものなのか、確かめてみたいのだろう。
それは、自分でもよくわからないので、興味がある。他者から見た時、私の弟に接する時の態度は、どのように思われているのだろうか。
「わかったわ。それなら、エスリアがこれは流石に駄目だと思うことを質問してみて。それを私がどう思うかで、大体わかるのではないかしら?」
「あ、うん。そうしてみようかな」
私があれこれ言うより、エスリアから質問してもらった方がいいだろう。何を基準にしていいかわからないので、一般的な考えを持つ彼女から問いかけてくれる方が、私としても考えやすい。
こうして、私はエスリアから質問してもらうことになったのだ。




