表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
浮気されたので婚約破棄して、義弟と気ままに暮らしています。元婚約者が女性関係で困っているようですが、私には関係ありません。  作者: 木山楽斗


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/70

第61話 動揺する提案(イルディン視点)

 夢の中で、また場面が切り替わっていた。

 今度は、以前眠れなかった日の場面だ。この時も、色々と大変だったことは、今でも鮮明に覚えている。


「ふぁ……」

「ふぅ……」


 懐かしい本について語り合った後、僕達は眠たくなったのだ。

 元々、眠るために語り合っていたので、それは正しいことだった。

 だが、この後が問題である。姉さんのとんでもない提案が飛び出してくるのだ。


「イルディン、そろそろ寝る?」

「そうだね……そうしようか」


 思えば、この時点で姉さんはそれを決めていたように思える。

 というよりも、無意識にそうしようと思ったのだろう。

 それは、喜ぶべきことなのだろうか。それとも、悲しむべきことなのだろうか。


「それじゃあ、本は机に置いておきましょうか。書庫に返しに行くのは、明日でいいわよね?」

「まあ、そうだね……」


 僕が違和感に気づいたのは、この時だった。

 何故か、姉さんがすぐに寝る気満々だったからだ。


「さて、明かりを消すわね?」

「え? あ、うん……」


 姉さんが明かりを消したため、僕の困惑は最大になった。

 どうして、今明かりを消すのだろうか。そのような疑問を抱いたからだ。

 ただ、この時も姉さんが何を思っているかは、少しだけわかっていた。わかっていたから、困惑することになったのだ。


「イルディン? どうかしたの?」

「あ、いや、僕は自分の部屋に戻らないといけないと思って……」

「え? ああ、そういうことね」


 僕が指摘すると、姉さんはやっと理解してくれた。

 この年の姉弟が、一緒の布団で寝るというのはまずいことである。

 特に、僕はとてもまずい。姉以上の感情を抱いているのだから、一緒に寝るとどうなるかわからないのだ。


「……一緒に寝ない?」

「え?」

「イルディンが傍にいてくれると、安心できると思うの」


 そこで、姉さんがそんな提案をしてきた。

 一緒に寝る。それは、単純ながら、僕をかなり悩ませる提案だった。

 正直、僕は自制するべき立場にある。だから、この提案は断るべきだろう。

 ただ、僕が傍にいることで、姉さんが安眠できるというなら、そうしてあげたいとも思っていた。眠れない辛さは、僕も良く知っている。だから、傍にいたいという気持ちもあった。


「……」

「イルディン?」


 僕が決意したのは、姉さんが傍にいても、決して何もしないという決意である。

 今回は、姉さんが安眠できるように傍にいるだけ。それを自分に言い聞かせておかなければ、僕はおかしくなってしまうだろう。だから、それを刻みつけなければならなかったのだ。


「……し、仕方ない。それなら、一緒に寝ようか」

「ありがとう、イルディン」


 僕が提案を受け入れると、姉さんは笑顔で応えてくれた。

 その純粋な笑顔を崩させないように、僕はしっかりと自制しなければならないのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ