第34話 弟の性質
私は、イルディンとともに執務室にいた。
心配性な弟は、私に自分の仕事が割り当てられたことに、申し訳なさを感じていた。
その精神状態は、良くないものだ。そのため、私はまた弟に色々と言うことにする。
「イルディン、少しこっちに来なさい」
「え?」
私は、机から執務室にあるソファに移動した。
このソファは、疲れた時に休んだりするためのソファである。私は、そこに腰掛けて、イルディンに自身の膝を示す。
「えっと……」
「ここに寝転びなさい。少し話があるわ」
「……はい」
少し困惑していた弟は、私の指示に従い、膝を枕にしてソファに寝転がった。
これから、何を言われるか、そろそろイルディンもわかっているかもしれない。
なんというか、最近私はイルディンに色々と言いっ放しだ。説教臭い姉と思われていないか、少し心配である。
「イルディン、あなたは自分の仕事が私に割り当てられて、申し訳ないと思っているようね?」
「え? あ……うん」
「でも、その考え方は正しくないわ。私は、自分のために仕事をしたいと思って、お父様にお願いしたの。それであなたが責任を感じる必要はない。それは、理解できるかしら?」
私は、イルディンの頭を撫でながら、ゆっくりと語り出す。
まず、前提として、今回は私が自らのために仕事をしたいと言ったのだ。それで、イルディンが責任を感じる必要はない。
「……まあ、そうかもしれないけど」
「しれないけど?」
「でも……それでも、僕は自分の仕事を姉さんに押し付けてしまったと思ってしまうんだ」
賢い弟は、私の言葉をきちんと理解していた。
自分に非がないということは理解していながらも、私に仕事を押し付けたように思っているようだ。
「イルディン、あなたは責任感が強い子よ。だから、自分の仕事が減ったことを不安に思っていて、その罪悪感を私へと割り当てているのね」
「そうなのかな……」
「きっと、そうだと思うわ」
恐らく、イルディンは自分の仕事が減ったことを不安に思っているのだろう。
その不安を、私への罪悪感に割り当てている。自分が悪いことを理解しているのなら、そんな感じなのではないだろうか。
とにかく、責任感が強い弟にとって、仕事が減ることは素直に喜べないことだった。それは間違いないだろう。
ただ、その考え方は悪い考え方だ。仕事が減ったら、楽になる。楽になったら喜ぶ。そういう精神の方が、私は健全であるように思う。
そのことを、イルディンにどう考えてもらうか。私は、少しの時間だけそれを思考する。




