プロローグ
ファンタジー作品がが好きで、FF要素を盛り込んだオリジナル?和風ファンタジーを書いてみました。
楽しんでください。
「...朝か」
窓から差し込む日の光りを浴びて、少年は目を覚ますと半ば眠っている身体を起こし、水場へと歩を進める。そして、冷水で顔を洗い、眠気をとばし出かける準備を始めた。
彼の名はタケル。
タケルは身なりを整ると手早く着替えを済まし荷物を持ってそのまま家を出た。
【屋台広場】
そこは、城下町の東広場。毎朝、ソロの料理人達が屋台を舞台に、腕によりをかける場所。
意外に美味いものが多く、また一流の料理人が高級食材で提供するものまである。
にもかかわらず値段はリーズナブル。それゆえか朝が早い職人や兵士達、ギルド職員などに人気で、幅広く愛用されている。無論、少年もここのヘビーユーザー。一応、自炊は得意なのだが仕事で何かと忙しくする余裕がないというのがここを利用する理由。
そうして向かった先は行きつけの屋台。
主に、雑炊や粥を提供している。
「ーーおっちゃん、親子粥を一つ」
いつもの品を迷うことなく注文し勘定を済ませる。
店主の“はいよっ!”と粋のいい声が返ってくる。
「タケル、おまちどうさま!」
暫し待つと少年の名を呼びながら店主は料理をだしてきた。
料理を受け取ったタケルは適当な席に座り、朝食を始める。
米粒が程よい感じに残り重湯がない全粥、具の一口大に切られた鶏肉と溶き玉子からなんとも美味そうで香りが食欲を刺激してくる。
まず一口、火傷に注意して粥をいれる。
鶏肉の旨味に、その出汁を十分に吸った米の甘味と玉子のまろやかさが口いっぱいに広がる。そうして味を堪能しつつ二口、三口と掻き込んでいく。
「ごちそうさまっ」
パチンッと合掌。そして器を返却して職場へと向かった。
♢
そうして着いたのは、冒険者ギルド。
“冒険者”とは...
ランクに応じて薬草摘みにドブ掃除、それにモンスター討伐といったクエストやダンジョン攻略等を生業としているギルドに登録された者達のことを指す。主な収入源は、褒賞金と素材や宝物による換金。都の人間たちからは蔑称で流浪人ともいわれている。
“白磁等級” ーー見習い。薬草摘みやドブ掃除等、主に雑用要員。モンスターと戦うのも危険。
“黒曜等級”ーープロだけど、新米。下級モンスターに苦戦する。
“黒鉄等級”ーー1人前のプロ。下級モンスターを安定して討伐できる。
“鋼鉄等級”ーー特殊な階級。大抵のハンターはここで力をつけてCランクへと昇る。
“銅等級”ーー中堅。下級・中級モンスターを安定して討伐でき、上級モンスターには苦戦する。
“銀等級”ーーベテラン。ソロで上級モンスターを楽に討伐できる。
“金等級”ーー精鋭。ソロで上級モンスターの群れを難無く討伐でき、特級モンスターを楽に討伐できる。
“白金等級”ーー英雄的存在。ソロで特級を容易く討伐し、災害級を安定して討伐できる。
*数人で受ける場合、ワンランク上の依頼を受けれる。
*モンスターは、脅威レベル1が下級、2〜4は中級、5〜7で上級。8〜10から特級、それ以上は災害級に振り分けられる。
と、このようなシステムを用い、見習いからスタートしてそこから地道に仕事をこなしつつランクを上げていく仕組みだ。(*ランクアップにするにつれ、条件や審査が必要になってくる)
因みに、タケルの現階級は“銅等級”だ。
♢
そも“ハンター”とそれを統括する“ギルド”ができた理由。
それは...過去、邪神の加護を得て世界に猛威をふるった“魔王”。その者はそこら中に瘴気を撒き散らし、邪神の生み出したモンスター達を活発化させてすべてを支配しようと目論んだ。が、勇者パーティーによりそれは阻止された。
されたものの、バラ撒かれた瘴気は消えず残ったまま。それ故活発化したモンスターによる被害があとをたたず、そのせいで町一つがなくなった例もある。そこでつくられたのが“冒険者ギルド”及び、“冒険者”という仕事。
結果は上々。なんせ魔王の一件で職を失った大勢の人達が生活費を稼ぐために冒険者になって、片っ端からモンスターども討伐していき被害は減っていったのだから。
そして、現在。
魔王の瘴気は未だ消えぬままだが、昔と違ってそれほど被害が多発することはなくなった。しかし、被害が少ないのは【京ノ都】周辺だけのこと。“アベノ・セイメイ”という術者が神々と協力して施した護りの術式のおかげらしい。
都から離れると、今も変わらず瘴気のせいで活発化したモンスターが暴れ回っているという。おまけに濃い場所は雑魚でも半端なく強くなるからタチが悪い。
ここ【甲斐ノ国】もそのうちのひとつ。
そんな厄介事を引き受けるのが、タケルが所属する
『白虎の牙』
数多の猛者がメンバーとして在籍し、毎日雪崩れのようにくる依頼をこなしている。また、必要とあらば遠方にまで赴くことも厭わない。この国に所在し、王都にあるギルド総本部の冒険者評議会と国主の許可を得て活動しているヤマト最強と呼ばれている知名度も高いギルド。
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