創世と御伽噺
ーーー遥、昔..神代のこと。
混沌神と創世神が無意味に衝突を繰り返していた時代。
その余波は凄まじく...天は割れ雷鳴轟き、大地は火の海と魑魅魍魎に埋め尽くされ、幾度も破壊と創世がおこなわれたという。
なんの理由をもって彼等は互いに身を削りあっているのか...答えは、“理由はない”だ。ただ本能のままに混沌神はなにかを破壊したいという衝動に、創世神は生み出し護りたいという衝動によって動かされているだけ。ただそれだけのことで衝突しているのだ。
やがて永く続いた衝突は、創世神が混沌神のちからの一端を吸収し弱体化させ封印することで決着がついた。
傷ついた創世神は最後のちからを絞って世界創造を行い永い眠りにつく。その際、管理する存在として自らの力を二つに分けた二柱の神を誕生させる。
それが...
世界を照らし散った混沌神の邪気を祓う、光の神
強すぎる光を包み調和を担う、闇の神
である。
二柱はさらに我が子ともいえる
水の神、火の神、風の神、地の神、雷の神
五柱の神を産み出す。
♢
創造を終え、五柱は己の血肉により眷属たる“八百万の神”を、自らの姿を模した男女の複製体ーー人間を産みだし世界へと解き放った。そして世界を見守った。
邪神“渾沌”が封じられ数千年ーーー。
時は経ち、世界が神の手から離れ、人間たちによって秩序がなされて数年。度重なる人同士の争いにより創世神のちからは弱まり、彼ノ者の一端ーー“邪悪なる根源”が野に解き放たれてしまった。
それは形も意思もなき黒い靄のような存在だった。いつしかあらゆる生物の悪感情を吸収し続けたことでソレは成長し、思考する能力を。そして形を人の姿へと成し、その者、“魔王”と呼ばれる。
自身の眷族たる魔物、蛮族を産み出し世界を無秩序に染めようする魔王。劣勢ながらそれに抗おうとする人類。不毛な戦いは10年におよぶ。
そうして争い続けて11年目、戦いに幕を閉じる時がくる。
創世神と人より生まれしもの、勇者“ヤマト•タケル” そして7柱の神々から加護を受けた7人の英傑たち。
このものたちにより魔王は討伐され、世界は再び秩序につつまれる。
この戦いはのちに“人魔大戦”といわれ、勇者たちは“救世の8人”と呼ばれることになる。