0088 本当の平和! 自由に(ポロン)いつでも(ポロン)ちんこを出せる!(ポロ
オイゲン将軍とその一行はヴェロニカの町が見える所までやって来た。
相変わらずモンスターは多いが、魔族の軍勢のようなものは見えない。
「オイゲン将軍! 戻られましたか!」
そしてオイゲン爺が連れて来た守備隊は強かった。重装歩兵は城壁の外にバリケードを築き、町に魔物を近寄らせないよう積極的な守備をしていた。城壁の上にはたくさんの長弓兵が居るし、見張り塔には魔術兵も居る。これならワイバーンだって簡単には襲ってこれまい。
「よく守っているようだな。間違いがなくて良かった。改めて皆に紹介する、こちらがヴェロニクの使徒ウサジ殿だ。まだお若いが、国王陛下もマドレーヌ王女も大いに信頼を寄せられている、大変に徳の高い僧侶だ」
そういう褒められ方されても、本当に嬉しくも何ともねえな……まあ、いつまでも胡散臭そうな目で見られるよりはマシだが。
「良かった、問題なく認めていただいたのですね!」
「何事もなくてホッとしましたぞ!」
町の衛兵や神官の爺さん、領主も、城門までやって来て俺達を迎えてくれた。皆怒ってないのか。この町を戦いに巻き込んだのは俺とヴェロニクかもしれないのに……
いや。戦っているのは勇者だけじゃないんだな。少しずつ侵食されて行く世界の中、みんな何とかして、本当の平和を取り戻したいとは思ってるんだ。
魔族の軍勢は既に三度押し寄せて来たが、三度共軍隊が撃退したそうだ。そしてこの町にオイゲン将軍を呼んだのはあの、今さら名前を聞けない金髪キザ勇者だ。向こうにそういう意図は無かったのかもしれないが、一応礼を言いたかった。
さて。デッカーは町の人々の視線に晒されていた。
「あの……貴方は何故、一人で戻られたんですか?」
「あんた、俺はお前らみたいな臆病者じゃない、って言ってたよな」
「魔族の大将をぶっ倒して来るんじゃなかったのかー?」
あー。そんな事を言って出掛けたのか、こいつら。
「やめて下さい、デッカーさんは魔物達と勇敢に戦ったんですよ。だけど相手は余りにも多過ぎました」
とりあえず俺は人々とデッカーの間に入る。人類同士いがみあっても仕方ねえ。
「だけどこの男、散々ウサジ様の悪口も」
「そういうのは忘れて下さい、私からも御願い致します」
だって聞いたらめっちゃ腹立ちそうだし、今の俺だったらこのデカブツでもボコボコに出来そうだし。でもそういう事しちゃうと俺のイメージダウンになるじゃん? 色んな女とエッチ出来るチャンスが減っちゃうじゃん。
「いや……ちゃんと謝らせてくれ……ウサジさん、皆さん、すみませんでした。俺は自分が弱虫で傲慢な人間なんだという事がよく解りました。そして俺はもう戦う事が出来ません……その代わり力仕事なら何でもやります、どうかこの町の為に働かせて下さい」
デッカーはそう言って膝をつき、頭を下げる。
町の連中は驚いて、俺とデッカーの顔を何度も見比べていた。な、何だよ、こんなの俺のせいじゃねーぞ、俺のせいじゃ。
魔族の軍勢は町から少し離れた所に野営しているらしい。森での偵察術に長けたラガーリン達が、奴らの動向を逐一知らせてくれるのだそうだ。
「あいつら、危険を冒して、我々の為に……本当に驚きました。あの狂戦士達が人間に味方しているんです」
魔族達はその事を知ってるんだろうか……もし奴らが先にラガーリンを片付けようと思いついたらどうなるんだ。
それにもう一つ、気になっている事がある。
「先程の話の続きです。デッカーさん。ソーサーさんとメーラさんを連れ去ったというのは、この町を攻撃している魔族達なのですか」
「わ、わからない……俺達はニセ勇者野郎の先導であの小屋の近くを通った時に襲撃された。あいつは魔族の大将を討ち取ると言ってヴェロニカを出たんだが、今にして思えば、単にここから逃げ出すつもりだったのかもしれねえ」
……
色々考えると、やる事は一つか。
「魔族の居場所が解っているのなら、私達がそこに向かいましょう。奴らがラガーリン達に矛先を向ける前に。ソーサーさんとメーラさんも、そこに囚われている可能性があるのですし」
「ま……待ってくれ! それじゃ俺達と同じだ!」
俺がそう言うと俯いていたデッカーが慌てて顔を上げ、俺にそう迫って来る! うわうぜえ、ちょっと誰か止めて、三妖怪? 何のんきに踊ってんだよ! 爺、あんたでもいいから止めて! 誰か来いよ!
「お、俺はともかく他の三人はあれでも、色々な魔法も使える手錬の冒険者だったんだ、レベルも高いし装備もちゃんとしてて、その……ウサジさん達は装備だってその……」
「我々はこれで十分なんですよ。それにデッカーさん、貴方達のパーティが敗れたのは司令塔のジュノンを置いて行ったからです。敵に合わせた最適な武器や戦術の選択、様々なアイテムを活用した後方支援、本当は彼の力は非常に大きかったんじゃないですか」
俺は単に、とっととこのデカブツに離れて欲しくてそう言った。幸い、デカブツは目を見開いて俺を凝視しつつも、へっぴり腰で後ずさりして俺から離れてくれた。
「貴方が悪かったんじゃないですよ。チームが機能してなかっただけなんです」
「ウ、ウサジさん……クズで負け犬の俺に何故そこまで言ってくれるんですか」
面倒くさいので俺はデッカーに背中を向ける。しかし今度はジュノンが目の前に居て、涙を滲ませながら俺を見上げていた。
「な、何ですかジュノンさん」
「すみません……小道具係を選んでから、誰かに職業の事をそこまで言ってもらえたのは初めてなんです……僕、嬉しくて……」
とにかく俺はデッカーからもジュノンからも離れる。男が懐くんじゃねえ、気色悪いな。




