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0073 紐じゃん! ほぼ紐じゃんそれ! フヒーヒッヒッヒ、おほほっほーっ!!

 翌日。俺はノエラ、クレール、ラシェルと共に城の食堂に集められた。


「みっともないから、食事くらい普通に食べて下さい」

「やったー! ウサジさんのお許しが出たよ!」


 三人は笑いながら飯を食い始める。相変わらず妙ちきりんなメイクはしているが、声は普通の女の子達だな……当たり前か。


「うわー、朝から肉うっま」

「自分そのバターいいスか」

「りんご切るけど食べるひとー」「はい」「はーい」


 こいつら今まで飯の時は黙ってたのに、何か賑やかになったな。もしかしてずっと猫をかぶっていたのか? まあ、この方が楽しそうだ。

 しかしいつまでもイモジャージを着て面白メイクをされていては困る。せっかくの美少女パーティとの異世界エロエロアドベンチャーが台無しじゃないか。


 だいたいね、罰ゲームでやってるならその格好はねえよ。これじゃまるで俺への罰ゲームじゃねえか、俺が一体何をしたと言うんだ。

 女共への罰ゲームだっていうなら、普通はマイクロビキニとか着せるだろ。常識として。ねー? 勿論クマーモスとかと戦う時もその格好だ、ジャンプ斬りとかしたらたゆんたゆん揺れるのだ。

 想像するとたまらんな……いやいや、思ってるだけじゃ駄目だ、言わないと。よし言おう、お前ら、ジャージなんか脱いでこれからはマイクロビキニで戦え!


「ウサジ殿、ウサジ殿はおられるか!」


 俺がおごそかに口を開こうとしたその時。オイゲン爺さんは泡を食った様子でやって来た。


「おはようございます、将軍」

「ウサジ殿、今日は貴様に城の神官長達に会ってもらう予定だったのだが」


 この爺さんナチュラルに貴様呼びすんのな……そして神官長に会えってどういう事なんだ、ムチャクチャウンザリしそうな響きだけど。


「その前に! マドレーヌ様の姿が見えないのだ、昨日は学校に行くと言っておられたのに、今朝女官が起こしに行ったら居室におられぬのだ!」



   ◇◇◇



「えーっ、ウサジさん、王女様に会われてたんですか!」

「王女様なんて、僕達も会った事ないよ!」

「ウサジ様すごーい」


 俺はまた王女が暮らす塔に向かっていた。

 今日は三妖怪もついて来る。オイゲン爺もそれを止めようとしないけど、本当にいいのかよ、俺やこんな奴らをホイホイ王女に近づけて。自分で言うのもなんだけど、教育に悪いんじゃねーのか?


 その道中、俺は爺さんに尋ねる。


「ところで。私は神官長に御会いしてどうすればいいのでしょうか?」

「それは……神官長の御依頼なのだ。恐らく、女神ヴェロニクの信仰について、貴様にお尋ねになるのだろう。神官長は王国での様々な神々への信仰について目を光らせておいでなのだ」


 うへえ……じゃあそっちが異端審問の本番ってやつなのか? 嫌だなあ。学校じゃないけど、俺も行きたくねえ。

 いや、ヴェロニクをこの世界に呼び戻す為には必要な過程なんだろうけどさ。王国公認の神様って事になれれば、信者を増やす事も容易になるんじゃないか。


 一方、もし異端という事にされたら? どうなっちまうんだ……隠れキリシタンみたいに、こそこそ隠れて信仰しないといけなくなるのか? 冗談じゃない。これは今後のゲームの難易度を左右する超重要イベントじゃないか。


 しかし、それで俺に何をしろってんだ。小難しい偉そうな坊主の前で、ヴェロニクの信仰について説明しろというのか? 冗談じゃない、んなもん俺に出来てたまるか。俺は一介の変態紳士に過ぎないのだ。

 そしてヴェロニクも……長い孤独の錯乱からは回復しつつある彼女も、まだかつての記憶と神格を取り戻すには至っていない。ヴェロニクが何の女神だったのかも解らないままなのだ。



 そんな事を考えているうちに、俺達は王女の住む塔に辿たどり着いてしまった。塔の周りには女官達が居て、おろおろと周囲を探し回っている。


「ウサジ様!」「どうしましょうウサジ様!」

「おはようございます。御苦労さまです」


 俺は女官達に普通の挨拶あいさつをして、塔に入って行く。オイゲン爺と数人の女官がそのままついて来る。


「ウサジ殿、しかし王女は部屋には」

「よく探したんですか? 本当に。探し方が足りないんじゃないですか」


 三妖怪もついて来る。


「わー、これが王女様のお部屋かー」

「すごい柔らかそうなソファーだ」

「本がたくさんありますねぇ」

「お前達は黙って見てなさい」


 王女のリビングに入った俺は、クロゼットの扉などを開けて回る。女官の一人が慌てて駆け寄って来て言う。


「お、お部屋にはいらっしゃらないのです、本当に」

「本当に、ねえ」


 クロゼットの一つの中の床に、本来はタンスに入れてありそうなセーターなどが、束ねて置いてある。

 俺は次に、少し大きなタンスの一番下の段の引き出しに手を掛け、一気に開く。


―― ガラッ


「あっ」

「ああ……」


 手足を折り畳み、タンスの引き出しに綺麗に収まってじっと息を殺していた小柄な王女マドレーヌと、その引き出しを開けた俺の目が合う。



「きゃあああ!?」「マドレーヌ様!」「マドレーヌ様、何故そのような所に!」


 マドレーヌはタンスの引き出しに隠れていた。

 まあ、こんな運動音痴うんどうおんちの子が女官共の目を盗んで外に逃げられるとは思えんわ。

※タンスの引き出しに入るのはとっても危ないです。中からは出られなくなるし酸欠になる恐れもあるるから絶対に真似しないでね、ウサジからの御願いです

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作者みちなりが一番力を入れている作品です!
少女マリーと父の形見の帆船
舞台は大航海時代風の架空世界
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是非是非見に来て下さい!
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