0007 もう一度転生させてくれ……次はいっそちんこのある女になりたい
夜になる頃は、俺もレベル3になっていた。
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ウサジ
レベル3
そうりょ
HP15/26
MP3/5
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俺は一度もダメージを受けなかったけど、他の三人は少しずつ攻撃を受けていた。ラシェルは一回自分に回復魔法を掛けたらしい。
「あの……大丈夫なんですか? 皆さんもダメージを受けてますけど……」
「うん……もう少し行けるよね皆?」
「明日も大丈夫だろう。この辺りならな」
「回復魔法もあと五回使えますよ。勿論攻撃魔法を使わなければですけど」
「そうですか……でも皆さん、ほら、女の子のパーティなんだし、ここまで攻めなくても……もう少し安全策を採った方がいいんじゃないかと」
俺は恐る恐る聞いた。何せこっちはこの世界に来て一日も経っていないのだ。何が常識で何が非常識なのかも解らない。
「うーん。以前は薬草をたくさん持ち歩いてたんだけどね。どうしてもお金がなくなっちゃって」
「レベルが低いうちは良かったが……教会での治療費がどんどん高額になり、全く金が溜まらなくなったな」
「銀行に預けたりして頑張ったんですけど……今では貯金もなくなっちゃいましたね」
一体どういう事だ? 金を溜めてる訳でもない、むしろ金は全く無い……
俺は単刀直入に聞いてみた。
「あの……今、夜なんですけど……宿に泊まったらいいんじゃないですか?」
たっぷり十秒間、静寂が流れた。
ノエラは、クレールは、ラシェルは……順番に、真っ赤になった。
最初に動いたのはクレールだった。彼女はいきなり剣を抜き切っ先を俺に向けた。
「だから私は反対したのだ! しょ、しょ、正体を現したなこの変態!!」
は?
「クレールさん! いけませんクレールさん!」
「離せラシェル!! この男今成敗しないでいつ成敗するんだ! ノエラ! お前も止めないだろうな!!」
「クレールさん! でも違うと思います、男性が女性を求める事は普通です、それだけで変態とは言えません!」
「この男に限っては変態なのだ! そこをどけラシェル!」
何となく面倒になった俺は、その場所にあぐらをかいた。そして合掌……もう斬るなら斬ってくれ。この世界はきっと俺の居るべき場所じゃないんだ。意味解らん。
「クレール……やめて」
「ノエラ、お前まで!! 何故だ!」
「わ……解ってるんでしょ! クレールも……本当はそうすべきなんだって……」
「ノエラ……」
ノエラは一際真っ赤な顔をして皆から目を背けている。
「僕たち、このままじゃ前に進めないって……」
「だからって!」
「だから! 僕とその……ウ……ウサジだけで行って来るから……二人はいつも通り町外れで野宿を……」
「冗談じゃない!! 何でノエラだけを犠牲に前に進めると思うんだ!」
「そ、そうよ! それに回復なら私が行った方が効率がいいですわ!」
何の話してんの?
ノエラが……俺の方に一歩、進んで来たけど……
「僕が言い出した事だから、僕が行く。それに僕が回復すれば、蘇生魔法が使えるようになる……」
「いやだ……そんなのは嫌だ……」
クール・ビューティのクレールの瞳から、涙がこぼれ出す。
ノエラが……俺を見上げて行った。
「そ、そういう訳です……ウサジさん……とりあえず僕だけ……行きます……あの……僕初めてだから……うまく出来るか解らない……けど……」
俺は大きく息を吸い込んだ。
「お前らあああああああ!! 宿屋は!! 体力を回復する所だあああ!! 男と女があんな事やこんな事をする為だけの場所じゃねえええええ!!」
「な」
「な」
「な」
「「「なんですってー!!!」」」
こいつら三人は、宿屋というのは男と女が愛し合う為の場所であると信じ込み、一度も宿に泊まらず旅をしていたらしい。