0006 俺はウサジ、こいつは息子のジョニー。さあジョニーお嬢さん達に挨拶なさい
―――――――――
ノエラ
レベル35
ゆうしゃ
HP61/240
MP0/68
―――――――――
クレール
レベル41
せんし
HP84/371
MP2/25
―――――――――
ラシェル
レベル29
けんじゃ
HP16/156
MP18/212
―――――――――
格差やべええ!! 俺絶対荷物にしかならねーじゃん!!
そして何だよ! ラシェル魔法使いじゃないじゃん! 居るよ! 回復役既に居るよ!
それにしても……随分攻めた回復戦略というか……装備の為の資金稼ぎをしてるのか知らねえけど、効率悪いんじゃねえのか? こんなの……
「ほら! 今のウサジさんじゃこの村から出る事も出来ないよ! 死んでも復活出来ないし詰んじゃうじゃないか! クレール、仲間に入れてあげようよ!」
「解った。ノエラがそこまで言うなら。だが私は気を許した訳ではないからな!」
「宜しく御願いします、ウサジさん」
いえ、あの、俺はお断りしたいんですけど……
とは言うものの。ノエラの言う事も本当だ。
武器も防具も持ってない、仲間も居ない俺に出来る事など何も無いだろう。この三人はとにかく仲間に入れてくれると言うし……
まあ。俺に一人で旅が出来るくらいの地力がついたら、エッチなジョークでも言いまくって追放されればいいか。という事は……それまではエッチなジョークを言わないようにしないといけない。
「ありがとうございます、皆さん……パーティに居る間は、出来る限りの事は致します。改めまして、僧侶のウサジと申します。宜しく御願い致します」
俺は何気なく、三人に向かって手を差し出した……一応ね、形だけでも。
次の瞬間その手は……真顔のクレールに、がっちりと握られていた。
えっ……? いや、アンタは俺を信用してないって……
痛い。ちょっと痛い。あといつまで? いつまで持ってるの?
あっ、解った、俺をバイキンだと思ってるからだろ、他の女の子は触らない方がいいと。
「この男はその手で何をするか解らないから、握手は私が代表してする……ノエラとラシェルはしなくていい」
クレールは本当にそう言った。俺の目を睨みつけながら。
怖ぇ……喧嘩したら俺二秒で殺されるだろうし……
「と、とにかく……ウサジさん……ウサジのレベル上げをしようよ!」
「そ、そうですね! きっと魔法もすぐに覚えますよ!」
ラシェルも受け入れてくれたようだ……この子は最初俺を見て怖がってたみたいだしちょっと心配してたんだけど。
いかにもお嬢さん、って感じだし、男ってだけで怖いのかな? 三人の中では一番育ちが良さそうだし、深窓の令嬢って感じもする…… さらに言えば一番ウブな感じも……きっと男性経験も無いんだろうな……いかん、顔に出る。
ていうかクレールがまだ俺の手を握ったまま俺を睨んでる……
「あの……そろそろ」
「あ……い、いつまで握ってるんだ! 離せ!」
クレールはやっと手を離した……いやもういいけどね……
俺はノエラ達について森に入って行く。俺は列の三番目に置いてもらった……一番後ろはラシェルである。
このあたりでは巨大なバッタが多く出て、人々も植物も困っているという。全長1mで顎の力が極めて強く、食害も半端無いらしい。
数匹ずつ群れを作っている巨大バッタを、ノエラ達は見つけてはしばき倒して行く。俺も途中で拾ったいい感じの檜の枝を振り回して参加した。
今日解った事は、少なくとも俺の物理能力は普通の大人の男一人分に過ぎないという事だった。まあ……無いとは思っていたけれど……本当に無いのね、チートとか特殊能力とか。