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0053 ふんぬぐわぉあぉあうあおあああ!? 何て事を約束しちまったんだ俺は!!

 翌朝俺は、ヴェロニクの啓示があった事を皆に告げた。


「ノエラさん、一刻も早く解放しなくてはならない場所があります」



   ◇◇◇



 普段、危険な森で狩猟や採取をしている狩人が二人、案内役を買ってくれた。他にも数人の衛兵が同行を申し出てくれた。

 さらに、全身に草や木の枝を結びつけて偽装したラシェルが斥候せっこうとなり、一行の先を離れて進む。元のラシェルだったらこんな事はさせられないが、付き人という職業も便利な物である。


 あの狂戦士達にはラガーリンという種族名というか、氏族名があるらしい。ほとんどの人々はあれも魔物だと思っていたが、年老いた狩人は言う。


「俺がガキの頃はあいつらもあんなピリピリしてなくて……森でバッタリ出会っても、手でも振ってやりゃ向こうも手を振り返して来て、どうって事なかった。だけどだんだん、集団で旅人を襲ったり、夜中に集落の倉庫をあさるようになって」


 森には不思議と他の魔物は少なく、時折クマーモスが飛来するくらいだった。俺達はなるべく物陰に隠れて敵をやり過ごす。このくらいクレールやノエラなら一撃で倒せるのだが、今回の目的はそういう事ではない。


「静かに」


 時々、数人のラガーリンの集団が通りかかる。これも今はやり過ごす。

 目的地の正確な場所はヴェロニクが俺の頭の中に転送していてくれた。


 そして俺達は森の中の廃墟にたどり着いた。ここは本来は人間の村だったが、魔物の進出により過疎化が進み、ついには一斉移住によって放棄された物だそうだ。


 斥候の付き人ラシェルが戻って来る。


「居ますよ、狂戦士……じゃなくてラガーリンの集団が。ウサジさんのおっしゃる通り女性と子供ばかりみたいです」

「ラガーリンの他の奴が問題なんです、何が居ましたかラシェルさん」

「少なくとも二人の魔族を見ました、魔王の使徒ですよあれは」


 二人か……それでは少な過ぎるような気がするし、実際にはもう少し居るんだろうな……ともかく俺は皆に、ヴェロニクから聞き出した事を明かす。


「ラガーリン達も一枚岩では無かったんです。魔族の口車に乗って自ら襲撃の尖兵になった者も居れば、消極的な者や反対の者も居た。だから魔族は彼等の家族を人質にして、ここに隔離してたんですよ」

「何と……では奴等の中には仕方なく攻撃に加わった者も居たのか! 卑怯な魔族め……ウサジ! 私達は誰を殴ればいいんだ!?」


 俺がそう言うと、クレールが身を乗り出して来る。みんな姿勢を低くして話してるから、そうするとクレールのFカップの谷間が丸見えになる訳だが……おっと、今はいけない。


「クレールさん、落ち着いて。我々は何とかして、魔族だけを倒し人質を解放しなくてはなりません。その後でラガーリン達とは講和を結びたいので……それが出来れば、ヴェロニカの防衛も少しは楽になります」

「あ。あの……」


 ラシェルが消極的に手を挙げるが、ノエラが構わず前に進み出て来る。


「僕とクレールで敵に忍び寄って、一気に片付けるしかないよ。今度こそウサジと、村の皆は後ろに居て! 人数は少ない方がいいから」


 うーん、本来ならリーダーのノエラがそう決めたなら、黙ってそれに従いたいが……いやいや、ここは駄目だ、そんな事を言ってる場合じゃない。


「ノエラさん、魔族は二人だけではないような気がします。それに奴等は人質を取っているのですから迂闊うかつな事は出来ません、もう少し慎重に偵察した方が」

「我々も偵察に加わります、敵の人数をはっきりさせましょう」


 狩人の二人も言う。こちらも姿勢を低くしているので、頭の天辺のハゲが嫌が上にも目立ってしまう。狩人なら帽子くらい被ればいいのになあ……或いは、帽子は敗北という事なのか。


「あのう……」

「偵察なら私も行く! これでも足の速さには自信があるんだ!」

「クレールはだめだよ! だってあの、キラキラしてて目立つから……」


 ラシェルがまた控え目に何か言おうとするが、クレールとノエラのり取りに食われて発言を潰される。俺は気まぐれを起こしてたずねる。


「何か考えがあるんですか? ラシェルさん」

「あの。私がウサジさんに飲ませていた睡眠薬が、ここにあるんですけど……」

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