表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/279

0040 おっと、パンツの中の化け物は別だぜ? こっちはまあギガンテス級よ

 日が暮れても歩き続けた俺達はやがて、城壁のある小さな町に着いた。


「こんな時間に来たってこの町には入れない!」

「まともな人間なら、まともな時間に来い!」


 しかし俺達は城門の前で衛兵達にそう言われ、追い払われてしまった。

 冷たい話だ。追い払われた俺達はどうすればいいんだよ……今までこんな事なかったのになあ。


 いや待て。という事は野宿か? 今夜は野宿が出来るんだな!? ラシェルに睡眠薬入りの酒を飲まされて眠る事もなく、自分の夜直を任されて、屋外で、誰も見ていない所で、眠っている二人の美少女と一人の芸人の前で、人生のゴーサインをもらう事が出来るんだな!?


 俺がそう考えた瞬間。城門の内側で俺達を見ていたハゲ散らかったおっさんがこちらに駆けて来て言う……


「その男の方は女神ヴェロニクの司祭です! 怪しい人ではありません!」

「女神ヴェロニク?」「聞いた事が無いぞ」

「ヴェロニク様は慈悲の女神なのだそうです、そちらの司祭様は貧しい者に分け隔てなく炊き出しをして下さった聖人です、どうか町に迎え入れて下さい!」



 そんな恩知らずのハゲのせいで、俺達は城門を通る事が出来てしまった。これで今夜も退屈な夜確定かよ。


「こんな時間に旅人を通したって?」

「あいつらも化け物だったらどうするんだよ……」


 しかもそんな愚民共の噂話まで聞こえて来る。不愉快である。もしかしたら俺は今死んだようにぐったりした顔をしているかもしれないが、化け物ではない。



 宿に入った俺達は三人(・・)で飯を食う。付き人のラシェルはそれを少し離れて見ている。腹が減っているだろうに、笑顔を絶やさずに居るのが何とも痛々しい。


「あの……ラシェルさんは食べないんですか?」


 俺は一応そう聞いた。


「付き人は、メンバーが食事を終えてからメンバーが残した物を食べるんだそうだ……私やノエラが言ったんじゃない、本人がそうすると言い張るから」

「ウサジさん、どうかお構いなく夕食をお楽しみ下さい! あっ、喉が乾いたらおっしゃって下さい、ビールを買って来ますから」

「背中を丸めて揉み手をするのはやめて下さい、ラシェルさん……」


 ゴスロリ美少女賢者のラシェルは死んだ。ここに居るのは彼女とは似ても似つかぬ別人のようだ……誠に残念な話である。

 ともかく、俺は単なる栄養補給と化した夕食を手短に終えた。こんなんで楽しめる訳ねーよ、全く。


「ごちそうさま。お先に失礼致します」



 こんな立派な城壁があるくらいの町なのだ、歓楽街もあるかもしれない……そう思った俺は男用寝室には行かず、ふらりと外へ出る。

 外に出てすぐに解ったのは、この町は今まで滞在、通過して来た町の中で、ぶっちぎりで辛気臭いという事である。

 前から歩いて来る若い女が、俺に気づいて道の反対側に避け、走ってすれ違う……ハハハ。元の世界を思い出すなあ。

 この世界に来てしばらく、忘れてたな。孤独ってやつを。


 歩いてみると町は思った以上に狭く、ものの10分くらいで一通り見尽くしてしまえた。何故こんな小さな町に、こんな立派な城壁があるんだろう。

 俺が、そんな事を考えた瞬間だった。


―― カーン! カーン! カーン!


 城壁のどこかの矢倉の上で、誰かが激しく鐘を打ち鳴らす……前にもこんな事があったような。


「敵襲だーっ! 閉門ーっ! 門を、閉めろーッ!」


 何だって? またワイバーンみたいな奴が現れたのか!? はわわ、どうしよう……よし、まずはノエラ達と合流しよう。

 そうすれば守って貰えると思った俺は宿屋の方に走る。


「女子供は建物の中に入れ!」

「戦える者は武器を持って城門に集まれー!」


 敵の数が多いのだろうか。見張り達は必死な様子でそう訴えている。やばいな……俺も宿屋じゃなく城門に行った方がいいのか?

 そこへ。


「ウサジさん! 良かったここで会えて!」


 なるほど、魔法の付き人ジャージで今までより素早くなったラシェルが、向こうから凄い速さでやって来てそう言った。


「ノエラさんとクレールさんは城門に向かいました! ウサジさんには教会に避難するようにと!」


 えっ、俺は隠れてていいのか? まあ俺、ひのきのぼうとぬののふくしか装備してないもんな。装備だけ見たら俺は完全に一般人だ。

 だけど俺、まつたけサージェントだって一人で倒したんだけどな……そこまで()弱な存在でもないと思うんだけど……


「ラシェルさんはどうするんですか」

「ウサジさんを教会まで御送りしてから、城門へ行って皆さんの戦いの御手伝いをします」


 俺は決してそのノエラの命令に納得した訳ではなかった。

 だけど俺はつい少し前に反省したばかりだったのだ。ノエラが元気を無くしているのは、俺が彼女の命令を無視したからかもしれない。


「解りました……私は教会に行きますから、ラシェルさんは城門に戻って下さい」

「すみません! ウサジさんが教会に行くのを見届けるまでが私の仕事なんです、御願いします、教会まで私と一緒に行って下さい!」

「そうですか……では急ぎましょう」


 俺はラシェルに案内され、町の教会へと走る。

ストックが尽きましたので毎日更新は途切れるかと思います……申し訳ありません

大まかな話は出来ていますので引き続き書き進めて行きたいと思います

どうか是非、最後までお付き合い下さい……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
作者みちなりが一番力を入れている作品です!
少女マリーと父の形見の帆船
舞台は大航海時代風の架空世界
不遇スタートから始まる、貧しさに負けず頑張る女の子の大冒険ファンタジー活劇サクセスストーリー!
是非是非見に来て下さい!
― 新着の感想 ―
[一言] 付き人ムーブがまるでマリーなんだけど……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ