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0038 私の右のキンタマは貴女の、左のキンタマは貴女のものです(聖者スマイル)

 とりあえず俺自身の危機は去ったのだろうか。だけどこの状況はパーティの危機には違いない。

 結局ノエラとクレールの様子がおかしいのは何故なの?

 もしもそれがラシェルと俺の事に関係があったのなら、今朝の事で解決したんじゃないかと思ったんだけど……二人は依然として、むっつりとしたままだ。


 こういう時こそ、エッチなジョークを言うべきなのかな? いや、マジで。


 俺がエッチなジョークを言えば、ノエラもクレールも多かれ少なかれ怒ると思う。二人共あまりそういうのが好きな人間には見えないし。で、俺は謝ればいい。そうしたら二人は顔を合わせて苦笑いをすると。

 二人はそれからしばらくの間は俺を軽蔑けいべつしているが、ある時気付く、俺が二人を仲直りさせる為に仕方なく、身を切る思いでエッチなジョークを言ったのだという事に。

 そして感動した二人は先を争うように俺にすがりつき、抱いて欲しいと泣きじゃくる……完璧だ。完璧な筋書きだ。


 決めた。エッチなジョークを言おう。しかしそうなると、このエッチなジョークには過去最高の品質が求められるだろう。俺のレパートリーで最高のやつって何かなあ。うーん、最高にエッチなジョークか……最高にエッチな……


 いつも頭の中でエッチなジョークについて考えている俺だが、皮肉なもので、最高にエッチなジョークなどと考えてしまうと、どうにもアイデアがまとまらない。結局俺達四人はほとんど会話をしないまま、街道を歩き続けていた。そういやあの町での布教もしなかったな。まあいいや。


 途中の小さな町や村を飛ばし、昼頃には人里から離れた森に辿り着く。


 ―――――――――


 ラシェル

 レベル31

 付き人

 HP166/166

 MP240/240


 ―――――――――


「そろそろ魔物が現れてもおかしくない地域に入りますよ! 皆さん警戒して参りましょう!」


 先頭を歩いていた付き人のラシェルが、振り向いて明るくそう叫ぶ。ノエラとクレールは「うん」とか「ああ」とか短い返事を返す……あの大きな町を出てから、ずっとこんな調子である。



 スコップを持ったモグラはある意味定番の敵モンスターと思えた。しかし冷静に考えればモグラのくせに道具が無いとトンネルを掘れないというのは、普通のモグラより退化しているのではなかろうか。

 しかもいくらスコップを持っているからと言って特別穴掘りが速い訳ではない。まあ、もし地中を突進出来るくらいの穴を掘れるモグラが居たら、人間など一撃で木端こっぱ微塵みじんにしてしまうのではないだろうか。


「モグー!」


 そしてモグラだからって「モグー」と言いながら攻撃して来るのは無いと思う。この敵は俺のレベルと装備でもどうという事は無かった。


「えいっ!」


 俺は現れたスコップモグラの群れの中で、ひのきのぼうをふるい、一体を仕留めた。そこへ。


「ウサジ危ない!」

「ぐわぁっ!?」


 斜め後ろから飛んで来たノエラの肩が俺を背中から突き飛ばし! すっ飛ばされた俺はスコップを構える別のスコップモグラの方へ飛んで行く!

 ああ……スコップモグラが大きくスコップを振りかぶった……


―― ガーン!!


 それなりの重量のあるスコップが俺の頭にクリーンヒットし、俺の意識は飛び掛ける……チクショー、毎回こんな事で死んでたまるか! 地面に転倒した俺はスコップモグラの追撃を転がってかわし、何とか立ち上がり、ひのきのぼうをコンパクトに振り抜く!


「モグゥゥっ……」


 脇腹から、くの字に折り畳まれたスコップモグラが、地面に崩れ落ちる。


「あ、あの、ウサジ、ごめん……」


 振り向けばノエラが青ざめた顔で立ちすくんでいる。クレールとラシェルは他のスコップモグラを片付け終えていた。まあ、このパーティにとっては全く問題の無い相手だった……ノエラの俺に対するフレンドリーファイヤー以外は。


「ウサジさん!」


 ラシェルはいつも通り真っ先に駆け寄って来るが、今の彼女はけんじゃではなく付き人であり、ノエラとクレールからは許可なく俺の身体に触れる事を禁止されている。


「あっ、ああ大丈夫です、このくらいなら自分で治しますから」


 ―――――――――


 ウサジ

 レベル12

 そうりょ

 HP14/89

 MP18/18


 ―――――――――


 自分でと言うけど俺のダメージは結構ヤバかった。とにかく、しゅくふくで治そうか……そこへ。


「待ってウサジ、それは僕のミスで起きた怪我だから……僕に治させて。御願い」


 ―――――――――


 ノエラ

 レベル37

 ゆうしゃ

 HP259/261

 MP75/78


 ―――――――――


 ノエラはそう言うが、ゆうしゃであるノエラのMPはラシェルと比べると少ない。それに強力な技や奇跡を繰り出せるノエラのMPは貴重なのだ。

 俺のMPはもっと少ないけど、俺に出来るのは小さな怪我を治す事だけだ。だから治療は俺が自分でやるか、MPの豊富なラシェルにやらせるのが定石じょうせきなんだけど……まあ、ノエラの気が済むようにしてもらうか、この辺りはたいした危険もないようだし。


(可愛いドレスを着て変な眼鏡や駄目な化粧なしに)ラシェルがかけてくれる治療呪文は慈愛に満ちていて、とてもちんちんに響いたよな。術を掛けられていると、この優しくて可愛い子と思う存分一方的な合意の上にギシギシアンアンしてみたいと思うのだ。

 一方ノエラはどうか。このボーイッシュ美少女が心配そうに、申し訳なさそうに上目遣いで見上げながら掛けてくれる治療呪文は?


「ゆうしゃヒーリング!」


 やはりちんちんに響く。術を掛けられていると、この健気けなげな女の子を下に敷いて性的にいじめて泣かせてみたいと思わずにはいられない。

 俺はそんな芸術と哲学について考えていたが、クレールがじっとこちらを見ているのに気付き、咳払いをして視線を逸らす。


「ありがとうございますノエラさん、すっかり回復しました」

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作者みちなりが一番力を入れている作品です!
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