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0030 大人の夢と魔法の国にようこそ! ここではパンツは穿かなくていいんだよ

そこのお兄さん! ブクマしていかない?

いいじゃないブクマくらい!

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「……えっ……ええっ!?」

「きゃっ……わ、私、一体……」


 ラシェルは自分の着衣が乱れている事に気づき、慌てて身をよじる。


 俺はこのまま行っちゃおうかとも思ったけど今は「しゅくふく」を使ってる最中だという事をもう一度思い出して踏み止まり、善良な僧侶、いや一人の紳士として、すぐに彼女から顔を背ける。

 あと何だ、一回深呼吸しようか。すー。はー。


 何故だぁああ!?


 何があった!? ここで何があった! いやまあエリートチンチンの俺とこんな美少女がこんな人気ひとけの無い一つ屋根の下に数分でも居たら、何も起こらない訳がないんだけど……だけどそんな平日午後八時の恒例タイムサービスの事を当の本人のこの俺が何も覚えてないってどういう事!?

 ラシェルのブラウスのボタンは半分外れていてリボンも解けていて胸元が覗き、膝丈のスカートもめくれ上がって白い太股がモロに見えてはいたが……パンツもブラジャーも少しも見えなかった……そして俺の記憶には! ラシェルがどんな下着をつけていたとか、そんな小さなハッピーメモリーの欠片ひとつ残っていない!

 ところでこの世界ってブラジャーとかあんの? あるとしよう。あるとしてもラシェルはお母さんに買ってもらったファッションセンターしまむらの上下で1000円のジュニア用下着を着けているような女の子だ、そうに決まっている。おいはそんなロリータを食べちゃったとですか!?

 そんなエレクトリカルパレードを!! 夢と魔法の国を、妄想の中でだけ許されるイッツァスモールワールドを、何故俺はただの一つも覚えていない!?


「あの……ありがとうございます……ウサジさんにしゅくふくを掛けて頂いたら……とても気分が良くなりました」


 俺の背後で……誰かがそう言った……いや、誰かって誰だよラシェルしか居ないじゃん……

 何だって……? しゅくふくをかけてもらったら気持ち良かった? そのしゅくふくというのは俺が使えるようになったヴェロニクの力による魔法の事? それとも俺のワンダースティックが元々持ってる愛の力による祝福の事?


 ちょっと待て。俺の着衣はどうなんだろう。


 俺は女達の前では身だしなみには気をつけている。安全安心で清潔感のある男であるよう心掛けている。そうしないと女の子達は大事な体を許してくれないゾ♪ って、モテる男が教えるエッチの為の十七条憲法って本に書いてあった。

 俺はいつも僧侶らしく、上着もシャツもボタンは一番上まできちんと全部留めているはずだ。


 ……


 ぐはああ!? 全開!? 上着もシャツも、俺の服は全部のボタンが外れている! 下、下は!? 下は……()()()()ちゃんと穿いている……あっ、でもズボンの紐は解けかかっている、毎日ガッチリ結んでいるのに……



 その時だ。



「ラシェルー? 何処へ行ったのー?」

「ラシェル! 一体どうしたんだー?」



 俺は一瞬、首と胴体が切り離された自分の幻覚を見た。

 ノエラとクレールがラシェルを探しているのだ! もし二人が……ラシェルをこんな所に連れ込み、あんな事やこんな事をしていた俺を見たら何が起こる?



―― よくも……よくも大事なラシェルを傷つけてくれたな! 許さない!

―― 貴様を一瞬でも仲間と思ってしまった自分が憎い! 死ね腐れ外道!



 今度は蘇生なんて出来ないように……八つ裂きにされてすり潰されて、バラバラにして捨てられるッ……!


「ウ、ウサジさん、このままではまずいです、」


 俺がもう涅槃ねはんに帰る覚悟を決めていると、ラシェルがそう言ってろうそくを吹き消した。


「ラシェルさん……?」

「ウサジさんはここを動かないで下さい、私が行ってごまかしますから、」

「で、ですがそんな」

「大丈夫です、それにウサジさんはまだ満足に動けないと思います、あの……それもここでじっとしていたら大丈夫ですから、何があっても動かないで下さい」


 ろうそくを消してしまったので、ラシェルが何をしているか全く見えない。

 動くなと言われてもそんな……ていうか、ラシェルは何をしているんだ? まさかあんな事やこんな事を(多分)した俺を本当にかばってくれるというのか?

 あと、俺の体は実際全く本調子ではなかった。全部の動きが重いというか、昔の映画のゾンビみたいな動き方しか出来ない。何で?


「ラシェルー、居るのー?」

「どうしたんだラシェル、返事をしてくれ!」


 ひいいッ!? 二人の声が納屋に近づいて来る! それに二人とも、たいまつか何かを持っているらしい、その明かりも近づいて来るのが解る……体が重くて逃げようにも逃げられないし、おしまいだッ……俺はここまでなのか!?



「ノエラさーん? クレールさーん」


 えっ……? 少し遠くで、ラシェルの声がする……あの子いつの間に納屋から駆け出して、そんな所まで行ったんだ?


「ラシェル……」「ラシェル!」


 ノエラとクレールが、納屋から離れてラシェルの声がした方へ駆け戻って行く。


「どうしたんですか二人とも。私を探して外へ出掛けたと聞きましたけど、私ならずっと宿屋に居ましたよ」

「何だって? ごめんクレール、また僕の勘違いだったみたいだ」

「はは、は……いや、まあ勘違いなら良かった、早く宿に戻ろう」


 三人は笑いながら、どこかへ去って行く……

お星さまを……お星さまを五個並べてはいただけませんか?

五つの白抜きのお星さまを、五つのベタ塗りのお星さまにはしていただけませんか!?

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作者みちなりが一番力を入れている作品です!
少女マリーと父の形見の帆船
舞台は大航海時代風の架空世界
不遇スタートから始まる、貧しさに負けず頑張る女の子の大冒険ファンタジー活劇サクセスストーリー!
是非是非見に来て下さい!
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