0266 この戦いが終わったら俺、彼女におっぱい揉ませてって言ってみるんだ(フラグ)
「観自在菩薩行深般若波羅蜜多時!」
俺は咄嗟におはらいを掛ける、周りで渦巻く黒煙が吹き飛び、アスタロウの周りからもいくらか飛び散るが、俺の狙いはそっちじゃない……しかしノエラはおはらいの効果で蹲る事も転げ回る事もなく、ゆうしゃクラウドに乗って飛び立ってしまった!
「やめろノエラ!」
俺は勿論ノエラを止めたい、だけど空を飛べるノエラと空を飛べるアスタロウの戦いを、俺は止められるのか!?
ノエラは凄まじい速度でアスタロウの周りを竜巻と逆方向に回る、アスタロウの体は最早オックスバーンよりでかくなっている……
「うわああああああーッ!!」
奇声を上げながらノエラはアスタロウに打ち掛かる、凄まじい速さでその周りを回りながら、左右からも後方からも、鋼鉄の天秤棒で打撃を加えて行く。アスタロウはその速さに追いついて行けてないように見える……
「うおおおそらそらそらそら!!」
ノエラの裂帛の気合いはもはや美少女勇者のそれではない、そこに鬼神が居るかのようだ、アスタロウに加えられて行く打撃は恐ろしく重く速く、これではアスタロウもひとたまりもないかと思われたが。
「ハアアア!!」
黒い竜巻を吸収し身長5メートル程の化け物になっていたアスタロウは、突如鋭い動きでノエラから間合いを取ったと思うと、すぐに凄まじい速さで空中突撃し、不用意に間合いを詰めてしまったノエラに痛烈な打撃を見舞った!
「ノ……!!」
ノエラがどうなったかを見届ける暇もない! 巨大化したアスタロウが矢のように突進して来る、くそ、ノエラは一角の豪傑なんだ、あのくらいで死んだりしない!
―― バァァァァアアアン!!
一瞬前に俺が居た地面にクレーターが開き、凄まじい量の土砂が宙に舞い辺りの視界を遮る! これがアスタロウだと!? あのオックスバーンとも比較にならないぐらいの.速度と出力だ。
だが今の俺には迷っている時間はない、なんとかしてこいつを倒さないといけないんだ、ノエラがそうするより前に。
そして俺は十分に冷静だった。こいつは今までのアスタロウやオックスバーンよりずっと速くて力がある。しかしこの男は今、まともな判断力を失っている。
―― ドゴォォォン!
「ウサジィィイ!!」
―― グワァァァン!
奴は凄まじい加速力で一瞬で間合いを詰めて来て凄まじい重力の乗った拳を叩きつけて来る、地面は砕け土砂は間欠泉のように宙を舞い視界を覆い隠す、それは恐ろしい攻撃なのだが、その出足は丸見えなので今の俺ならば落ち着いてさえいれば回避出来ない事はない……しかしこちらにも事情がある。
「ウサジぃぃい!!」
どこかに吹き飛ばされていたノエラがゆうしゃクラウドで戻って来てそのまま砲弾のような勢いで、
―― ズドォォォン!
アスタロウの脇腹に突っ込む!? さすがの巨体も脇腹をくの字に折られて揺らぎ、その白黒正転の目が苦悶に揺らぐ……ん? アスタロウの人相が変わった? その変化は僅かではあるのだが、奴の顔は老婆のような人相にシフトした……
―― ヒュッ! シュタッ! シュン!
次の瞬間、アスタロウは後方へ素早く飛び、二度回転して、たちまち大きな間合いを取ってしまった! まずい、奴は理性を回復したのか?
違う。恐らく魔王魂に潜むもう一つの人格、四百年前の魔術師が、ノエラの攻撃で一時的に力を落とした二百年前の僧侶を抑えて表に出て来たのだ。
アスタロウの身体を乗っ取った、魔王魂の魂の片割れの女は、妙に濁りのない目を俺に向けた。




