0263 怒るとギャル言葉になっちゃうFカップクーデレ美少女に萌えてる暇もねえ。トホホ
「クレール、ラシェル、お前達は手を出すな」
「何故ですかウサジさん!?」
「魔王を倒した者は魔王になるんだ、俺にはお前達は倒せない」
俺はアスタロウから目を離し、微かに後ろに視線を送りそう言った。その瞬間。
―― ザクゥッ!!
アスタロウは突進し両手の爪で斬りつけて来た! 俺はその攻撃を予想はしていたが、目線を切った状態では完全に避けきる事は出来ず、腕や胸に浅からぬ傷を負う……心臓まで何センチだよこれ、油断したら本当に、普通に死ぬぞ?
「ハアーッ!!」
俺に斬りつけたアスタロウはそのまま通り過ぎていて俺の目には見えなかった、しかし斜め後ろから迫るアスタロウの気配を感じ俺は飛んで避ける――避けるが――アスタロウの追撃を振り切るには至らない!
―― ザシュ! ザシュウ!
間一髪身を捻って致命傷は回避したが、また浅からぬ傷を太腿と脇腹に受けた俺は、迫る地面を蹴って方向を変えて転がる、今度はアスタロウから視線を切らさず、しかし奴は瞬間移動術を使って消えた! しまった、また見失った……!
―― ドォォン! ドォン、ドォォン!!
上か!? そう気付いた時には炎の炸裂弾は頭上から降り注いでいた! 俺は爆炎に巻き込まれながらも何とか走る! そこへ……
「ウサジ!!」
飛ぶように駆け寄って来たクレールが防御魔法を展開したまま俺の体を抱え込む、炸裂弾の爆炎は半透明のシールドに弾かれ、俺の体には到達しなくなったが……ラシェルが魔法で反撃しようとしている!
「ラシェル、よせ!!」
幸いラシェルは俺の声を聞き詠唱を思いとどまってくれた。しかし、クレールは俺を抱えたまま怒っている。
「どうしてウサジ、ウサジこそ魔王になっちゃったらもう誰にも倒せないわ!」
「異世界人の俺には魔王になる資格はないらしい、奴から直接聞いた」
「そ、それは……だけどそんな、アスタロウ自身の言葉なんて信用出来るの!?」
まあ、そうだ。あれがアスタロウの言葉なのかどうかも、本当は解らない。ただ俺自身はあれはアスタロウの言葉だと思っているし、信用もしている。
「頼む、クレール、ラシェル、奴とだけは一対一で勝負させてくれ」
「お断りよ! 私達は、パーティなんだから」
防御呪文が切れる寸前に、クレールは俺の腰から腕を離し、上空のアスタロウに向き直る。
そりゃあさ。俺は嬉しいよクレール、お前みたいな美人でかっこよくて、最初は警戒心が強いけど仲間になったらとことん情に厚い、素敵な女の子に体張って守って貰えたらさ。
だけどあいつは一人で戦ってんだよ。俺と同じ物を背負ってよ。
「……来いよアスタロウ!」
俺はアスタロウから目を離さないまま、崖の方へ突っ込む。
「ウサジ!?」「ウサジさん!」
―― ドォン! ドォォン!
アスタロウは炸裂弾を放ちながら上空を追い掛けて来る、それでいい、ついて来いアスタロウ。
「フハハハ、そんな所で何をする気だ」
俺は崖の岩に捕まってその陰を伝って行く。もちろんそんなのは空を飛べるアスタロウから見たら恰好の餌食だ。
「くらええええ!」
無防備な俺の背中目掛け、鉄の爪のついた腕を振りかざし接近するアスタロウ……それを十分に引き付けた俺は崖から手を離し全力で飛ぶ!
「なッ……!」
―― ザシュッ……!
避け切れなかった鋭い鉄の爪が、俺の頬を浅く引き裂く……! そして空中で奴に組みついた俺はすぐに奴の頭に腕を回しその視界を遮り、さらにもう片方の腕で奴の背中の翼の片方を根元から掴んで固めていた。
「ウサジー!」「ウサジさぁぁん!?」
「やめろォッ! ウサジィィイ!」
俺はアスタロウの体を固めたまま、崖から墜落して行く……
―― ダァン!!
ぐはっ……崖の中腹の岩に、背中が当たった……俺達は尚も墜ちる……!
―― バキバキバキ! バキイ! ダン! ズザザザザザ!!
崖の途中に生えた木の枝をへし折り、崖の壁面を跳ね、瓦礫の斜面を転がって、俺達はヴェロニク寺院の山から転落して行く。




