表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
199/279

0199 ちち、違うんです! 違います、待って、違うんです、違います、違います!!

更新が遅れて申し訳ありません……

 ヴェロニカの教会の様子も、前に来た時とはだいぶ変わっていた。いや、教会そのものは以前と変わりないのだが。


「さあさ、参拝のお供にヴェロニカ饅頭まんじゅうはいかがかねー」

「ヴェロニカのお土産物はこちらだよ! ペナントにキーホルダー、ぬいぐるみもあるよ!」

「名物ヴェロニカ焼きはいかがですかー焼きたてですよー」


 教会へ続く道は巡礼客でごった返していて、道の両側には急ごしらえの店や屋台が立ち並び、縁日のような賑わいになっていた。

 巡礼は人間だけじゃない。ラガーリンも混じっている……あいつらがこの町に攻めて来たのは割と最近の事なのに、皆よく理解してくれたな。


「ラガーリン達も今や、この町の大事な友人です……彼等は私個人の事も許してくれました。私も今は本当に反省しています」


 デッカーは大きな背中を丸め、恥ずかしそうにそう言う。

 俺達は賑やかな仲見世なかみせ通りを抜け、ヴェロニカの教会に裏口からそっと入る。デッカーは敢えて俺がウサジだと皆に喧伝けんでんしないでくれていた。いやマジ助かるわ。



 しかしデッカーは、教会の裏手にある六畳くらいの部屋に居た六人の若者に対しては俺の名前をすぐに言ってしまった。


「皆に紹介します。この方がヴェロニクの使徒、ウサジ様です」

「ウサジ様!?」「ウサジ様!」「この方が、ウサジ様……!」


 男が四人、女が二人……一人は地味だけど可愛い子だ。そしてもう一人はウソだろォォオ!? Gを越えている、Gを越えてHだ、Hカップですらっと背が高く手足も長くれ目がたまらんいやし系の、それでいて清楚せいそな美少女だ! 実在するのかそんなもん!? 男の妄想の中にしか居ないんじゃないのか!?


「ウサジ様ぁ! 本当に御会い出来るとは思いませんでした……ウサジ様……!」


 即ハメボンバー!! 決めた! 今夜の夜伽よとぎの相手はこの両手を合わせてお目目キラキラさせて俺を見つめているこの女の子だ! メーラより胸でかいじゃんざまぁざまぁひゃあっはっはー!


「彼等はウサジ様の徳の高さとヴェロニク様の教えをしたい、ヴェロニク様の僧侶となる事をこころざし、ここにやって来た若者達なのです」


 デッカーが微笑みを浮かべたままそう言った。駄目だめじゃん。じゃあ俺、絶対味見とか出来ないじゃん……


「ウサジ様! ヴェロニク様の事を教えて下さい!」

「ヴェロニク様の教えを、どうか私達にもお伝えください!」


 そして案の定、人の一番苦手な事を要求して来るガキ共……俺は物教えるとか説教するとか、そういうのが一番苦手なんだよ。



   ◇◇◇



「エリンギは包丁で切るより手で割いた方が美味しく食べられます。縦方向に、好みの太さに割きましょう。輪切りにした時のアワビのような食感も、それはそれで捨てがたいですが」


「みかんを剥く時は下から二つに、次に四つに割ります。そして奥の方、へたの方から身をがすのです。するとどうでしょう、白い筋がきれいに取れた身が取り出せます。皮は最後まで切らないで下さい、へたの所を残して。その方が捨てやすいから」


「防火用水や雨水貯めにはそのへんの川で獲って来た小魚を二、三尾入れておきましょう。蚊がわかなくなりますよ」



   ◇◇◇



「皆さんとても感動されてましたね、さすがウサジ様です」


 その夜俺はさらに狭い三畳くらいの部屋に案内された。ここに寝ろというのか。ノエラ達は町の宿屋の一番いい部屋に案内されてご馳走ちそうをいただいているそうだが。


「貴方はどこに寝るのですか」

「僕はこの床で大丈夫です」


 そしてジュノンは当たり前のように俺について来て、いそいそと俺が寝る布団を敷いている。


「あの若者達は、皆あの部屋で寝るのでしょうか」

「さすがに女性の方は別に寝る所があるそうですよ」


 俺は一計を案じる。


「私は少し散歩をして来ます。ジュノンはその布団を温めておいて下さい」

「は……はい! 解りました」



 素直で純真なジュノンは言われた通り、寝支度をして布団に入るようだ。


 俺は外へ行くふりをして礼拝堂へ向かう。全く、こんなに広い所が空いてるじゃねーか。

 さすがにジュノンを床に寝かせて自分だけ布団には入れない。かと言ってジュノンを布団に入れたらこっちが眠れなくなるし、いい加減俺の光秀が何をするか解らない。どんだけ溜まってると思ってんだバカヤロウ。

 ああ今日こそこの誰もいない広い礼拝堂で一人エッチをしてやろうか。しかしそれだと万が一何かがあった場合、世界に名を残すレジェンドになってしまう。



 今夜こそしっかり時間を取ってヴェロニクと話さないといけない。

 俺は講壇の下にヒョイと横たわり、眠りにつく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
作者みちなりが一番力を入れている作品です!
少女マリーと父の形見の帆船
舞台は大航海時代風の架空世界
不遇スタートから始まる、貧しさに負けず頑張る女の子の大冒険ファンタジー活劇サクセスストーリー!
是非是非見に来て下さい!
― 新着の感想 ―
[良い点] ウサジの説法は勉強になりますね!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ