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0017 このパーティにはもう一人賢者が居るんだ、普段は隠れてるけどね

 俺は村長に言って村じゅうの「材料」を集めて貰った。皆俺が、材料がどこにあるか知っている事に驚いていた。


「粉屋のハゲは春画を8枚、糠床の陰に隠してあるので提出させて下さい。樽職人のハゲは包装紙をたくさん厠の天井に溜めています。全部出して下さい」


 こんな具合だ。誰もヴェロニク様の使徒の目は誤魔化せないのだ。

 クレールには徴収に手を貸してもらった。


「勘弁してくれ! この蛸と海女シリーズはもう二度と手に入らない名作春画で……」

「お前達全員を守って命を落とした衛兵の仇討ちをする為だ! 諦めろ!」



 作業は順調に進んだ。


 たこ作りの為に徴収した紙の中に、ちょっといい感じに娘子と触手草が戯れる姿を描いた芸術絵画があるのを発見した俺は、休憩の為、昨夜寝かせてもらった部屋に行った。


「すみません、少し瞑想をしたいので一人にさせて下さい」


 俺はそう言って部屋に篭った。



 十分くらい経っただろうか。俺は絵画を手に部屋を出た。

 そして製作チームの元に向かおうと歩いて行く……しかし建物の角を曲がった所で。


「きゃあ!」「ぐえっ……」


 飛び出して来た人影と激しく激突し、俺は倒れた……いてて……股間の辺りに誰かが跨っていて、俺の手は何か柔らかい物を握っている……

 ああ……俺の股間に跨っているのはクレールで……俺の手に触れているのはクレールのおっぱいか……

 俺は。平然と体をよじり、クレールから離れ、立ち上がる。


「走り回ると危ないですよ、クレールさん」

「あ……ああ、すまん……その、材料集めに夢中になってしまって……」


 俺は頬を赤らめるクレールに、冷静に微笑んでそう言った。



 ノエラやラシェルは製作チームの方についてもらっていたが、ノエラは不器用過ぎてすぐクビになったらしく、後で見たら警備チームに異動させられていた。


「ご、ごめんウサジ!僕なりに頑張ったんだけど、僕不器用だから何枚も材料をダメにしちゃって、本当にごめん! 僕、ウサジの為なら何でもするから! あの……どんな事でも……」

「じゃあそのまま警備を御願いします」


 俺は頬を赤らめるノエラに、冷静に微笑んでそう言った。



 ラシェルの方は物凄く器用なようだ。このパーティに盗賊職は要らないようだと思えるくらいに。中心となって製作物のディテールを詰める作業の指揮を執ってくれている。


「ウサジさん! これなら明日の朝にも飛ばす事が出来そうです!」

「出来れば今日中に飛ばしたいんです……無理ですか?」




 製作チームの奮闘もあり、凧は空が赤くなり始める頃には完成した。

 あとはいい風が吹くかどうかだ……今は全く風が吹いていない……


「皆さんは凧揚げの準備をして下さい。私は祈祷をして来ます。」


 俺はそう言って、残っている櫓に登ろうとする。


「待って、ウサジ! 一人では危険だ! 風が吹く前にワイバーンがまた来たら……今度はウサジが食べられちゃうじゃないか!」


 ノエラが俺の腕を掴む……俺は振り払おうとしたが、ノエラの方がずっとちからが強い。


「よせ、ノエラ! ウサジの覚悟を妨げるな」

「クレール! 君はウサジが襲われてもいいの!?」

「良くは無い。ウサジ。私も一緒に櫓に登る。いいだろう?」

「僕も! 僕も櫓に登る!」


 本当は一緒に来て欲しいけど……ワイバーン怖いし。でもそれだと多分、祈祷が成功しなくて風が吹かない……女神が嫉妬するから。


「二人ともだめです。祈祷は私が一人でしないと成功しません。貴方達二人にはちゃんと、ワイバーンにとどめを刺すという大事な任務がある。それに集中して下さい」

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作者みちなりが一番力を入れている作品です!
少女マリーと父の形見の帆船
舞台は大航海時代風の架空世界
不遇スタートから始まる、貧しさに負けず頑張る女の子の大冒険ファンタジー活劇サクセスストーリー!
是非是非見に来て下さい!
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