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0166 俺が下着泥棒だったらどうするんだよ。まあ俺は下着泥棒ではないけど

「貴様を詰めた蒼瓢あおひさごを魔王に渡せば、全てが終わるはずだった。魔王が貴様をどうしたかは解らんが、そうなれば妹の気持ちも変わっただろう。我ら魔族は男も女も、弱い者は好かないからな……だが、弱いのは私の方だった。私は魔王に届ける前に、あの青い髪の悪魔に貴様を奪い返されてしまった」


 ゴールドはくちびるゆがめて自嘲じちょうし、刀をさやに納める。


「俺は目の前に居るんだぞ。捕まえて魔王の所に連れて行けばいいじゃないか」

「貴様が私に負けたふりをすると言うのか? ふざけるな、私には魔族の誇りがある。自分の失態で貴様を取り逃がし、魔王城まで攻め込ませてしまった事は、責任を取らねばならん」


 ゴールドはそう言って俺に背を向け、妹の部屋を出て行こうとする。

 そんなのはおかしい。そう思った瞬間には、俺はゴールドの肩に手を伸ばしていた。


「待てよ。魔族の誇りというのは女だけが守らなくちゃならないのか」

「何をする、離せ」


 ゴールドは俺の手を払いのけようとしたが、俺はすぐには手を離さなかった。


「俺達に勝てなかったくせに、魔王にはウサジは死んだと吹聴ふいちょうしていた男共はなんなんだ! あいつらは責任は取ったのか」

「奴らの誇りなど知らん、私は奴らとは違う、一緒にするな、」

「魔族の女が人間の男を愛するのは許さない、なのに魔族の男が人間の女をめとるのはいいのか、お前もメーラの事は知ってるんだろう、魔王はあの女を女房と呼び城で大手を振って生活させてんじゃねえか、宴会に若い男の奴隷を呼んで乳首(ちくび)相撲(ずもう)までさせてんだぞ、あの女やりたい放題だ!」

「し、知るか! けがらわしい言葉を私に浴びせるな!」


 ゴールドはもう一度俺の手を払いのける……今度は俺も手を離す。


 うーん。

 シルバーがここに居たら、姉貴を止めてたろうな。シルバーがここに居なくなってしまったのは俺のせいだ。まあ、妹が止めたくらいでゴールドは止まらなかったような気もするが。


 だけど、俺ならこのお姉ちゃんを止める事が出来る。方法はお姉ちゃん自身が教えてくれた。魔族の女に何か言う事をきかせようと思ったら、()()()()()()()()()()()()()


 えちえちなボディスーツ姿のゴールドちゃんは、完全に俺に無防備な背中を向けている。ハート型のお尻、見事なくびれ、そして向こう側にはFカップの美乳が……あとうしろから抱き着いて揉みまくって耳元で淫語をささやきまくりながら、そこのベッドに押し倒して俺の股間の1upきのこをぶち込み、ゴールドちゃん一族を1機増やしてやるだけだ。

 そうしたらゴールドちゃんは渋々俺の命令に従うようになり、魔王への報告をあきらめる。それから戻って来たシルバーちゃんも連れて、どこかへ逃げればいい。その後は姉妹仲良く抱いてあげよう。

 デデデデ! ほら! 俺の1upきのこ、早速生えて来たよ!



「姉妹が共に助け合って生きて何が悪い。シルバーの件も隠したいというのならなおの事、魔王への報告になど行くな」


 俺はゴールドの前に周りこみ、扉と彼女の間に軽く立ちふさがる。ごめん1upきのこ、やっぱり今はちょっとしぼんでて。

 その後で、はりの上から小さな紙切れが一枚、ひらひらと舞い降りて来る……言われなくたって、こんな妹想いの姉ちゃんを妹のベッドに押し倒せるかっての。


 だけど、この方法ではゴールドは止められなかった。


「……貴様の指図など受けん」


 ゴールドは俺を押し退け、妹の仮初めの住処すみかを出て行く。シルバーちゃん、本当は魔族のいい所のお嬢さんなのかもな。



 ゴールドが去った後で、俺は先程舞い降りて来た紙を拾い上げる……おい。これ赤鉛筆で書いた×印を消そうとした跡があるんだけど。ヴェロニクー? 赤鉛筆は消しゴムでは消えないよー?

 とにかくゴールドの方もノエラの事は何も知らないようだったな。やっぱりあいつ、別に捕まったりはしてないんじゃないか。だけど捕まってないなら何をしてるんだ、本当に、ヴェロニクが教えてくれたらいいのに。


 俺も再びシルバーの仮住まいを出る。姉ちゃんも言ってたけど鍵もかけずに無用心だよな。

 さて。俺もさすがにもう仲間達の所に戻ろうか。だいぶ時間も経ったし……



「何をする下郎が! 誰が私に触れていいと言った!」


 そこへ。別の建物の向こうの広い通りから、さっき別れたばかりのゴールドの声がする。何か尋常じんじょう様子ようすじゃなさそうだ。俺は念の為ソフトSM用の手錠を掛け直し、外套のフードを深くかぶり、路地裏を走り抜けて通りをのぞきに行く。


「ゴ、ゴールド様、いやゴールドを見つけたら捕まえるようにとの命令を、そうだ、魔王様が命令を下されたのだ! ゴールド! 無駄な抵抗はやめて、大人しくついて来い!」


 そこでは如何いかにもパワーのありそうな、鼻の頭に大きな一本角を生やしたサイ型の下級魔族が四人ばかり、槍を手にゴールドを取り囲んでいた。周りの下級魔族や奴隷達はそれを遠巻きに見ている。


「抵抗などと言われる筋合いはない、私は魔王様への報告の為にやって来たのだ、貴様それ以上私の体に触れてみろ、ただではおかんぞ……!」


 ゴールドに凄まれるのはサイ魔族でも怖いのか。槍を持った兵達は一歩ずつ引き下がる……しかし、ゴールドに対する包囲を解こうとはしない。


 ……


 自分から報告の為に魔王城にやって来た者を捕らえ、虜囚りょしゅうとして引き立てるというのは意地が悪過ぎる。

 だけど、これはさすがに俺が口をはさむ事ではないよな……これはつまるところ魔族の同士討ちだ、人間側には都合の良い事である。


 俺はそう思い込もうとした。しかし。


「お、お前の妹シルバーは許可なく城に侵入し、地下牢を探り回っている所を発見され、捕縛されたのだ! そしてゴールド、お前にもヴェロニクの使徒との内通容疑が掛かっている! 解ったら大人しくついて来い!」

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作者みちなりが一番力を入れている作品です!
少女マリーと父の形見の帆船
舞台は大航海時代風の架空世界
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是非是非見に来て下さい!
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