0154 ぱいぱいぱーい、ぱいぱいどーん、おっぱぱいぱい、ぼいんぼいーん♪
仕切り直しである。
俺達は再び、旧ヴェロニク寺院を見上げる。
「普通のダンジョンのように入り口から攻略して行く必要はありません。屋上から侵入して魔王の居室を探りましょうか」
「じゃあまず、僕が一人で屋上を見て来ます」
「いや、もう最初から私を連れて行って下さい」
さてしかし、ゆうしゃクラウドに乗れるのはノエラだけなんだよなー。
「どうしましょう、おんぶさせていただいてもいいですか? ウサジさん」
いやー、どちらかと言えば抱っこして貰いたいかな……ぐへへ。
「あっ、それとも抱っこの方がいいですか、抱っこの方が安全ですよね、抱っこしますウサジさん!」
「待ちなさいよノエラ、あんたそんな煩悩丸出しだとこの雲に乗れないでしょ!」
「なっ、何だよクレール、この雲の事何も知らないくせに」
「静かになさい、ここは戦場ですよ」
とにかく俺はノエラにおんぶしてもらい、ゆうしゃクラウドに乗る……情けない恰好だが仕方ない。
「お気をつけて、ウサジさん」
ラシェルが手を振る。
ノエラはゆっくりと雲を上昇させる……随分ゆっくりだな。
「この雲、もう少しスピードが出ないんですか?」
俺はノエラにおんぶされたまま耳元に囁く。
「このまま……ずっとこうしてちゃだめ?」
ノエラは答える。
次の瞬間俺とノエラは雲を突き破って下に落ちた。
「うわああ!?」
「きゃああ!」
―― ドサバターン!
結構な距離を落下した俺達は石垣の下の地面に叩きつけられ、転げ回る!
ここが俺の世界だったらただでは済まなかった、多分救急車で搬送されるレベルの大怪我をしていた……しかしこの世界の俺のフィジカルは強く、このくらいならギャグで済まされるらしい。
「いたたた……」
「大丈夫ですかウサジさん!?」
「今、外で音がしなかったか?」
まずい! 魔族の見張りが音に気づいた!? しかしそこへジュノンが駆け寄って来て、カモフラージュ色の風呂敷を広げて皆を覆い隠す。
「何だ、何もないじゃないか」
見張りは引っ込んだようだ……風呂敷の下で自分とノエラにしゅくふくを掛け、俺は這い上がる。
「勘弁して下さいよノエラさん」
「ごめんなさい、一瞬だけ煩悩に負けました」
「だからあたし言ったじゃん」
「仕方ないですよ、この雲はノエラさんしか操れませんし」
俺はもう一度、ノエラにおぶさる。
「今度は余計な事を考えないで下さいよ」
「もう大丈夫です、ちゃんと上まで行きます」
ノエラは再びゆうしゃクラウドを上昇させる。今度はさっきよりスピードが速い。やれやれ。
……
俺の手は今完全に、着痩せするノエラの推定Dカップのおっぱいを腕の内に抱え込んでるんだよな……ああ、柔らかい……たまらん……まずい、そんな事を考えたら俺の股間のチューバが重低音を響かせてしまう。落ち着け。
「ウサジさんちゃんと捕まって下さい」
あっ、まずい、腕の内側でおっぱいの柔らかさを堪能しようとしてたら、ノエラに怒られてしまった。でも俺ちゃんと捕まってるぞ、むしろ必要以上に。
「もっと掌で掴んでください」
「掌ですか……?」
だけど脇腹とか掴んだら笑っちゃうでしょ? どこを掴めと言うの?
「しっかり掴まないと落ちますよ」
「掴んでますよ、大丈夫ですよ」
「もっと内側を……そっちじゃないです反対、そう、そのもっと内側を掴んでください」
「こうですか?」
「もっと」
「こう?」
「もっと」
えっ俺の手だんだんノエラのおっぱいに近づいて行ってない? あとちょっとでノエラのおっぱいを鷲掴みにしちゃいそうだけどいいのっかなー……俺がそう思った瞬間俺とノエラは再び雲を突き破って今度は30メートルくらいの高さから!
「ああああ!」
「きゃあああ!」
―― ガラガシャアアンゴロゴロゴロ!
落ちた。
「何してるんですか二人とも!」
「見張りが顔を出すわよ! 隠れて!」
「大丈夫ですかウサジ様!?」
ラシェルが、クレールが、ジュノンが風呂敷を手に駆け寄って来る、痛い……これが元の世界だったらもう救急車も間に合わない事故だった。しかしこの世界の俺は化け物レベルのフィジカルを身に着けていて……でも痛い物は痛い……