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【超人気異世界小説】聖戦のウサジ ヤンデレ女神の24時間監視付き異世界転生  作者: みちなり


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0152 解りました。では我々も対決して決めましょう。ジュノン、洗濯ばさみと紐を

 俺達は洞窟を出て寺院の石垣の方に戻り、あえて崖と石垣が高くなっている場所を探す。そういう場所の方が敵の警戒も薄いだろう。


「まずは僕が一人で見て来ます」


 ノエラはゆうしゃクラウドに乗り、派手に飛び回るのではなく石垣と城壁に沿って静かに上昇して行く……まるで窓拭きのゴンドラのようだな。

 俺達はただ、下から見上げるしかない。

 筋斗雲きんとうん、いやゆうしゃクラウドはノエラに指示されるがまま静かに上下左右に動く。すごい新兵器なのに、ずいぶん地味な初仕事になったな。


「本当に自由自在ね」

「ノエラさん、四六時中ウサジさんの事しか考えてないんですね」



 ノエラはいくつもの窓から中をのぞいた後、ゆっくりと降りて来た。


「やっぱり中に居るのは魔族だ、寺院の宿坊をそのまま自分達の棲家にしてるんだよ。赤い肌に四本角の奴が多いけど、他にも色んな姿の奴が居た、それから……魔族の奴隷として使われてる人間も居た。みんなぼろぼろの服を着て、せ細っている」


 ノエラはきりりと眉根まゆねを引き締め、正義に燃える勇ましい僕っ子勇者の顔でそう言った。

 こいつが俺の事しか考えてないなんて事は無いさ。ちゃんと必要な時には世界を救うゆうしゃの顔に戻るじゃないか……まあ、こういう顔をしているとやっぱり性的にいじめたくなるんだけど。


「……ジュノン。メーラもそこに居たよ」

「メーラさん……メーラも!?」


 ノエラは少し視線を逸らしたまま、ジュノンに向き直る。


「何をしていたかは、聞かないで。僕もあまり見たくはなかった」


 えっ? 何をしてたの? あの化粧の上手なぼいんぼいんのお姉ちゃんは何をしてたの? ちょめちょめ? ちょめちょめなの? ノエラはそれを見たの?


「そうですか……」


 ジュノンまでそう言ってノエラから視線を逸らす。ねえなあに? メーラは何をしていたの?


「……詳しく聞かせて下さい」


 俺は勿論そう言った。ノエラは目を丸くして顔を上げ俺を見て、それから困ったように自前のほうの眉をハの字にして言う。


「あの、それはちょっと……ううん、だめだよ、ウサジさんの耳がけがれます、どうか何も聞かないで下さい」


 何で16歳やそこらの生娘に、俺がそんな事で気をつかわれなきゃならないんだ。壁に体ごと押し付けて淫語責めにしてやろうか?


「教えて下さい、ノエラさん」


 俺は真顔でノエラの目をじっと見る。よし、あと5秒黙ってたら淫語100連発の刑だ。いーち、にーい……


「メーラは……」


 チッ。ノエラは観念して話を切り出した。


「メーラは人間の……若い男の奴隷を並べ、服を脱がせて……ち……ち……」


 ノエラはほほを赤らめ、声を震わせる。ヒヒヒ、こいつ羞恥しゅうちに、羞恥しゅうちに震えてやがるぜ、さあお言い、恥ずかしい言葉を口に出すんだよ! ちんぽだろう? ちんぽがどうしたんだよ、ああん!?


乳首相撲ちくびずもうを……! 乳首相撲ちくびずもうをさせていました……そして他の魔族共と一緒に、指を差して大笑いしてました。許せない……あいつにはもう、人間の心なんて残って無いんだ!」


 ノエラはこぶしを握って怒りに震え、わずかに涙ぐむ。


 誰かが俺の腕を掴んだ。振り返るとクレールが心配顔で小首をかしげている。


「ウサジさん、乳首相撲ちくびずもうってなあに? エッチな事なの?」

「ごめんなさいウサジさん私からご説明しておきます、こっちに来て下さいクレールさん」


 ラシェルは俺が口を開く前にクレールの手を俺から離させ、そのまま5メートルくらい向こうに連れて行く。


「魔族共は宴会でもしてるんですか」

「そうみたいです……。酒も食料も奴隷達に造らせた物だと」


 ……


 魔族ってのはそんなにアホばかりなの?

 ヴェロニカ攻略は失敗し、せっかくつぶしたヴェロニク信仰は復活しつつある。ヴェロニクの使徒も倒せず、紅瓢べにひさごのような厄介なアイテムを奪われ、人間の王国に近い城塞を一つ潰され、荒野の砦もノエラ一人に殲滅せんめつされ……そんな負けっぱなしの状態で、何をのんきに酒なんか飲んでるんだ。


 それとも……そんなに自信があるのか。


 勇者ノエラのパーティをひとひねりにし、ガスパル王とオイゲン将軍の軍隊も叩き潰し、ヴェロニクの使徒ウサジはえちえちでぼいんぼいんな淫魔のお姉さん達のとりこにして、ヴェロニクを再び二百年封印する、自信があるというのか。


「結局の所、魔王は」


 俺がそうつぶやいた、その時。高い窓の向こうから微かに、中で上がった大きな歓声が聞こえて来た。



「……ァおうさまがこられたぞ……」

「……ァおうさまにンぱい……わはははは……」


 俺は、ゆうしゃクラウドに乗り直し再び浮上しようとするノエラの肩をつかむ。


「お待ちなさいノエラさん。貴女、魔王を目の前にして、冷静でいられる自信はありますか?」


 ノエラは俺に肩を掴まれたまま、また目を丸くして俺を見て、少しの間考えていたが。


「……僕は今メーラの姿にも頭に来てます、その上本物の魔王を見てしまったら……冷静でいられる自信はありません」


 そう言って目を伏せる。

 ああ。乳首相撲についてラシェルから説明を受けたクレールも戻って来た。


「今の声を聞いた? 魔王なんて言ってるわよ! 何よ乳首相撲って、エッチじゃないけどバカみたいじゃない」


 ノエラとクレールは怒っている。ラシェルは冷静な顔をしているがジュノンはまだ少し動揺しているように見える。皆が俺を見ている……俺はどう決断すべきなのか。



 いや、ここはやはり一度戻ろう。ガスパル王やオイゲン爺さんに、魔王の居場所を見つけた事を報告するのだ。

 その後で俺達はすぐにここに戻り、城に忍び込んで魔王と対決する。それがいい。それなら俺達が失敗しても、人類は戦い続けられる。


 幸い今の俺達にはそれが出来る……瓢箪ひょうたんに入ればいいのだ、ノエラ以外の皆は瓢箪ひょうたんに入って、筋斗雲きんとうん、いやゆうしゃクラウドで運んでもらったらいいのだ。

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作者みちなりが一番力を入れている作品です!
少女マリーと父の形見の帆船
舞台は大航海時代風の架空世界
不遇スタートから始まる、貧しさに負けず頑張る女の子の大冒険ファンタジー活劇サクセスストーリー!
是非是非見に来て下さい!
― 新着の感想 ―
[一言] 魔法陣グルグルのワンシーンに混ざってても違和感なさそう
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