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0141 大人はみんなうそつきだ、エッチな触手モンスターなんて本当はいないんだ

 俺達は寺院への道から90度角度を変えて進み始める。行く手は木々の少ない、低い岩山が連なる荒野だ。敵が斥候を出していれば、こちらの姿はすぐに見つかってしまうだろう。



 モンスターも散発的に現れる。


「イワォォゥー!」


「シッパイダーです! 高名な彫刻家が制作途中で放棄ほうきした石像のなれの果てと言われています!」

「本人はイワオーだって言ってるわよ!」

「気の毒なモンスターを作らないで欲しいですね」

「名前もひどいね」


 岩肌から立ち上がった雑な石像は、八つ当たりのような激しい怒りを拳に込めて襲い掛かって来る。


「ノエラさんこれを!」

「うおりゃああ!」


 ジュノンがどこからともなく取り出した大きな()()()()を手に跳躍ちょうやくしたノエラは、体長3メートルの石像の頭上から凄まじい一撃を加える。


―― ドカラガッシャァァン!!


 真っ二つになった石像は地面に倒れてさらに粉々に砕ける……散り際も呆気なさ過ぎる、とにかく浮かばれねえモンスターだった。



 そうしてあの廃墟の町から十分離れた俺達は、再び90度向きを変えて進む。俺達の目的は勿論ヴェロニクの寺院跡に向かう事だ。回り道をするのはしゃくだが、50人のトカゲ兵と戦うのは分が悪い。


「ロックスラッグです! 気をつけて!」


 岩山の合間を進む途中に、ラシェルが叫ぶ……彼女が指差した先には岩肌と同じ姿に擬態した体長5メートルぐらいのナメクジが何匹も居た。うわあ気持ち悪い。


「捕まると厄介だそうですよ!」

「どうやったらこんなのに捕まるんですか」

「ええと……うっかり岩肌にもたれかかったら、なめくじだったとか」


 巨大でたくさん居るが動きは鈍いナクメジの周りを、俺達は迂回うかいして通過する……こいつもわざわざ魔族が作ってバラ撒いてるモンスターなんだろうか。あるいは役立たずだからこの辺りに放置されているのか。


 でもこいつら、ちょっと動きがエッチだな……なにしろでかいナメクジなので、腹足の部分も短い触手がびっしり生えているように見えるのだ。あんなのに捕まってしまった露出の多い女冒険者ちゃんはどうなってしまうのでしょう。グヘヘ。

 誰か試しに捕まってみてくれない? いや……うちの女冒険者はブサメイクのイモジャージしか居なかったな。


「ああっ!?」


 その時、近くで悲鳴を上げたのは()弱い乙女……じゃなくてジュノンじゃねーか、何だ? 余所見でもしてたのか? 地面に擬態していたロックスラッグを踏んでしまい、転倒させられ……のしかかられそうになっている!

 あいにく一番近くに居たのは俺だった。とにかく俺はそこへ飛んで行ってジュノンの手をつかんで引っ張る、しかしナメクジの奴は大変な怪力でどんどんジュノンの体を引きり込んで行く!


「ウサジ様、逃げてっ……あうあッ……!」


 巨大ナメクジの体の下に埋められそうになり、ジュノンがうめく、ごめんなさい気持ちいいとかそんなもんある訳ねえ普通に死ぬわこんなの!

 どうすりゃいいんだこんなの! ひのきのぼうでぶっ叩いてもキリがねえぞ!


 ……


 俺はジュノンの脇から、ロッグスラッグの腹の下に自ら潜り込む!


「喰うなら俺も喰いやがれこの野郎ォォ!」


 野郎って言ったけどナメクジって確か雌雄同体だよな。雌雄同体の怪物がTS美少女を襲う事を何と言うのだろう? いや知るかよ。

 そして巨大なめくじの触手は想像以上に気持ちわりい! でもちょっとだけ気持ちいい。ウソだよいいわけないだろ!


「ウサジさん!」

「うおおおおおおお!」


 地面とナメクジの間に入った俺はそのままナメクジの胴体を担ぎ上げる。その間にラシェルはジュノンを助け出す……! 俺もナメクジから飛び退く!


―― ズシャアアン!!


 地面に叩きつけられたナメクジの胴体から粘液が飛び散る……ウェー気持ち悪い、危うくナメクジの触手に犯されるところだったわ。


「ウサジ様!」


 ラシェルに助け出されたばかりのジュノンが、涙目で駆け寄って来る。


「僕なんかの為にそんな無茶をしないで下さい! ウサジ様がおっしゃったんですよ、体を張って仲間をかばうのはやめろって! ウサジ様が倒れたら、皆さんは、世界はどうなるのですか!」


 倒れたらって、俺クレールのおっぱいに潰されて死んだ事とかあるし……つーか俺この世界に来て数分でばくだん岩を蹴って死んでた、ははは。まあ当時と今とでは色々雰囲気も違うけどね。


「もう頭に来た! 面倒でも全部倒してやる」

「ウサジさんを食べようとしたわね、許さないわよ!」


 ノエラとクレールも駆け寄って来て、そのナメクジを攻撃しようとする。


「やめなさい、魔力がもったいない。さっさとここを離れましょう」


 取り急ぎジュノンにしゅくふくを掛け、俺はその場を離れる。



 ―――――――――


 ウサジ

 レベル91

 そうりょ

 HP816/868

 MP221/227


 ―――――――――


 ラシェル

 レベル68

 つきびと

 HP357/357

 MP501/554


 ―――――――――


 ノエラ

 レベル85

 つきびと

 HP827/838

 MP229/244


 ―――――――――


 クレール

 レベル80

 つきびと

 HP859/871

 MP82/89


 ―――――――――


 ジュノン

 レベル42

 こどうぐ

 HP241/247

 MP54/55


 ―――――――――

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作者みちなりが一番力を入れている作品です!
少女マリーと父の形見の帆船
舞台は大航海時代風の架空世界
不遇スタートから始まる、貧しさに負けず頑張る女の子の大冒険ファンタジー活劇サクセスストーリー!
是非是非見に来て下さい!
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