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0013 マックス? 応答しろマックス、何ビビッてんだ立ち上がれマックス!

 それから酒場で飯を食うのだが……折角異世界転生したのに、ここだけはちょっと面白みに欠けるんだよな、このパーティ。

 俺の脳内に住む小さなおっさん妖精もうなずいている。

 ノエラもラシェルも酒は飲まない。大人しく飯を食うだけだ。

 クレールは飲むが、小さなカップで一杯だけ、それも顔色も変えず黙って飲み干すだけ。全く少しもちっとも全然面白くないのだ。


 共に大きな杯を重ねる陽気な戦士は? 自慢のホラ話を得意げに聞かせてくれる盗賊は?

 そりゃあ美少女パーティには美少女パーティの良さもあるけどさ。


 男が俺一人ってのも、寂しい時もあるな……



 俺は女共が部屋に帰っても、一人で酒場に残っていた。


「ウサジさん、まだ起きてらっしゃったんですか?」


 するとラシェルが戻って来た。一番酒場っぽくない子が戻って来たな……そう思っていたら。


「二人は寝ちゃったから、私も少しだけいただこうかと思って」

「ああ……ラシェルさん、飲めるんですか」

「舐める程度、ですよ」


 うーん、でも今からか……実は俺はもう、ノエラから貰っている今日のおこづかいを全部使ってしまったのだ。

 カップにははちみつ酒があと少しだけ残っているが……ほんとにもう一口程度しか無い。そう思っていたら。


「私、そんなに飲めないんで……交換して貰えませんか?」


 そう言ってラシェルは、カウンダーで受け取った満杯のはちみつ酒のカップを俺に差し出し、俺の飲みかけの方を自分の手元に置いた。


「えっ……でも……」

「私、このくらいでちょうどいいですから」


 ラシェルはそう言って、本当に俺が今まで飲んでたカップのはちみつ酒に口をつけた……

 俺もラシェルも普通に右利きだから……そこ……俺が口つけたとこだけど……

 って、中学生じゃないんだからこんな事で興奮する事無いわ。



「じゃあ三人は、一緒に育ったとかじゃないんですか」

「年もばらばらですよ、多分ノエラさんが一番下で、私が一個上でクレールさんがもう一個上です」


 つまりJK123かこの三人。ふむふむ。

 ラシェルとの話は……まあ普通だった。この子相手には酔っ払ってても下ネタとか言い辛いし……女の子女の子してるからなあ……でも俺は大人なので言うべき事は言う。


「ちょっとトイレに」


 俺は普通にそう言って立ち上がり、扉を出て、外の厠へ向かう……って、厠どこだっけ? 場所を聞くのを忘れていたな。

 それで。扉を出てすぐ戻って来た俺は、信じ難いものを見た。


 ラシェルが、俺のカップの方を持って口に運んでる……


 ぷっ……あの子ああ見えて実は酒が好きなのか? 本当はもう少し飲みたかったんじゃないのか。クックック。見ちまったぞ俺は。気づいてないな? 俺が見てるって事。


 俺はとりあえずすぐ外に出て、自力で厠を探し、用を済ませてから席に戻った。


「ラシェルさんは、おかわりはいいんですか?」


 俺がそう言いながら席に座ろうとすると……不意にラシェルが、俺の右手を掴んだ。


「あっ、ウサジさん、席ここですよ」


 へ? いや解ってるけど……俺がうっかり他の席に座るように見えたか?

 それより……言いにくいんだけど……だから言わないけど……俺は今トイレに行ったけど手は洗っていない。洗面台なんか無かったし。まあこの世界じゃ普通か。


 その後は、またとりとめのない話をして……酒を飲み終えた俺は、普通におやすみを言って男部屋に戻った。


「いいなあ兄ちゃん、あんな可愛い子連れてて」


 見知らぬ、そこらじゅうハゲ散らかった男がそう声を掛けて来た。



 俺は震えながら布団に入った。

 あんなに……あんなに可愛い子なのにどうして……俺が口をつけたカップを舐めまわしたり、トイレから戻ったばかりの俺の手をすかさず握り、その手で他の場所を触らないように気をつけつつ部屋に帰る……変態なんだろう……

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作者みちなりが一番力を入れている作品です!
少女マリーと父の形見の帆船
舞台は大航海時代風の架空世界
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