0012 ただし俺の股間のアフリカンエレファントが暴走する可能性はゼロではない
それからまたいくつかの戦闘を挟みながら、俺達は森の中の砦にたどり着いた。
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ウサジ
レベル8
そうりょ
HP30/67
MP14/14
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なんかMP低いな……上がりにくいというか……
あと、結構ダメージを受けてる……受けてるけど……俺確か、一回も敵の攻撃を受けてないんだが……
脳天に岩が直撃したやつ以外は……全部クレールの度重なるファンブルによるダメージのような……剣で斬られてないのが幸いだが、体当りは四回は食らってる。
あんまりよくぶつかるので、最後には一度、敵よりクレールの動きだけを見ていて、腰目掛けてタックルして来た所を避けてみた。彼女は普通に地面に大の字になって転んだ。
まあいいや。しゅくふく、で治そうか……
「あっ、ウサジさんのMPはなるべく温存して下さい! 私まだMPたくさんありますから!」
魔法をかけようとしているとラシェルが飛んで来た……あっ、そうか……
「すみません……私まだMP14しか無いから……」
「ごめんなさい、そういう意味じゃなくて……パーティのバランスの問題ですから」
まあ、ラシェルちゃんが魔法を掛けてくれるのは嬉しい。この子は普通に女の子らしく普通にとびきり可愛い。服装もガーリーでおしとやかな感じで萌える。
治癒魔法を掛ける時に笑顔になるのがまたいいなあ。こういう子に対しては俺も御珍寶ではなくハートで愛を誓えるような気がする。ごめんやっぱり御珍寶は必要だ、御珍寶あっての俺だ。
俺がそんな哲学的命題に挑んでいると、冒険者ギルドに挨拶に行ってたノエラが戻って来た。
「収穫の手伝いにモンスター討伐、お墓参り代行からダンジョン攻略まで、色んなクエストがあったよ! 暫くここに腰を落ち着けて、今度こそちゃんとした武器と防具を揃えよう!」
その日もまだ時間があったので、俺達はクエストにあったえっちなキノコのモンスター退治に行った。近くの里山で山菜取りのおじさんが見たという。
ちなみにそいつは別にえっちなモンスターではなく、あの触手は獲物を絞め殺して腐乱死体にしてそこから養分を吸い上げる為の物らしい。
それなのに俺があんな事を言ったせいか、退治する時に皆少しずつ変に意識してしまっていたような気がする。うーん、今はエッチなジョークは控えないと。
砦の宿屋は酒場も併設した、前の村の宿よりは大きな宿だった。寝室はやはり男女別大部屋だった。
「ねえ、ウサジ……やっぱりあの話、聞きたいんだけど……」
ノエラが声を掛けて来る……しかし。
実の所、俺はもうノエラの事は半ば諦めていた。
いや、上司としてのノエラには何の注文も無い。部下である俺の事をよく面倒見てくれるし気配りも効いている。最近はこのまま僧侶としてついて行くのもいいかなと思えて来た。
だけど……仲良くおてて繋いで歩いてみたいとか、あのぷるぷるの唇をしゃぶり尽くしたいとか、ベッドに縛りつけて気絶するまで突きまくって新たな勇者を身篭らせたいとか、そういう夢はもう諦めようと思っていた。
だって彼女は勇者なのだ。恐らくこの世界のあちらこちらにしがらみがあるのだろうし、女神……あんまり考えたくないけど、女神も望んでいないようなので……真面目に考えれば、勇者と結ばれる運命にある奴は、どこか他に居るんだろう。
そういう運命やしがらみを突破してでも結ばれたいというガッツは、俺にはない。別にノエラちゃんだからそうだというのではない……俺は軽い気持ちでエッチがしたいだけなのだ。
一言で言えば、ノエラは俺には重過ぎる。
いかん。ノエラが俺の前できょとんとしている。
俺、今何秒くらい黙ってたんだろう?
「ええ、何でも聞いて下さって結構なんですが、ただ、何故あそこに居たのかとか、誰に箱の中に詰められたとか、そういう事は……本当に解らないんです」
「……そっか。ごめん、ウサジの方が知りたいくらいだよね、ほんとに。冒険を続けていたらいつか何か解るかもしれないし、何か思い出したり、僕に手伝って欲しい事があったらいつでも、何でも言ってね! 僕はウサジの秘密より、これからもウサジと一緒に冒険出来る事の方が大事だから!」
やっぱりいい子だなあ、この子は。食べちゃいたい。性的な意味で。
いや、冗談です、冗談。はい。