0114 誰かこれ30代巨乳団地妻とかと交換しない? こういうのが好きな人居ない?
獣耳はどこに生えているべきか? 永遠のテーマである。例えばウサギの獣人が居たとしよう! 彼女の耳はどこから生えているべきか? ウサギらしく頭頂部からか? それとも側頭部にあって人間耳をリプレイスしているべきか?
「教えてやろう。この足元を満たしているのは閉じ込められた者を溶かす為の液体だよ。そんな風に浸ったままでいると、どんどん溶けてしまうぞえ」
よく見ればこの狐憑きのような女の子は、この池に浸っていない。この子は水面に立っているのだ。
しかし……人間を溶かす液体ねえ……? そんなに強力な酸のようには見えないが。臭いもないし、触ってもぬるぬるしない。
「俺はウサジ。お前は?」
色々と規格外な状況の中で、俺は単刀直入にそう切り出す。
女の子は目を吊り上げて笑う。
「ふぇーへへへ! お前はそんな風に簡単に人に本名を教えてしまったせいでここに堕ちて来たんじゃないのかい? ふぇふぇ、救えない雑魚だねぇ、ざーこ、ざーこ」
なんだこの女の子腹立つわ、やっちゃうぞ? その前におまわりさんが来て普通の刑務所に連れてってくれるならむしろ助かるし……だけどこいつ見た目は10歳くらいだわ。俺の身体には高性能センサーがついていて、エッチしたくなる女体が視界に入ると起立して知らせてくれるのだが……今は全く反応が無い。狐色のおかっぱ髪で美少女っちゃあ美少女だが。
「お前も落ちたんだろう」
「ふぇふぇ、そうだよ、まあアタシもお前と同じ間抜けさ、ふぇふぇ」
どうもこいつは、ロリババァというやつらしい。外見はロリだが中身はババァなのだ。俺のセンサーが反応しないのもそのせいか。見た目は第二次性徴も済ませてない食欲が湧かないロリ、言葉使いは食欲も萎える辛気臭いババァ……一つもいい事ねえなロリババァって。好きな奴の気がしれんわ。
「俺に聞きたい事があるんじゃないのか。だったらどんどん聞けよ、俺が溶けてなくなる前に」
俺は池の中に座ったままそう言った。
「お前はこの器の外壁を目指して歩かないのかい? そこまで行けば壁に捕まって池から這い上がれるかもしれないんだよ?」
「へえ……そんな事は思いつかなかったな」
そいつらがどうなったのか、俺は敢えて聞かない事にする。多分それは、やっても無駄なんだろう。
「なんだい張り合いのない。もっと焦って、喚いて、足掻いてくれないと面白くないじゃないか。アタシが何を楽しみにここで暮らしてると思っておるのかえ」
「楽しみが欲しいなら、俺に何か聞けばいいだろう。何でも話してやるぞ」
「アタシが外の世界の話でも聞きたがると思ってるのかえ? ふぇふぇふぇ、アタシが興味あるのはねえ、ここに堕ちて来た奴がどう足掻いて、どんな最期を迎えるか、それだけさ」
うわあ、趣味も最悪だ。そらちんちんも反応せんわー、見た目は生意気なメスガキ、中身は因業ババァ。無いわー。
まあ、聞きたい事が無いってんならそれはそれで構わん。こっちも話したい事があるわけじゃない。
一人上手な俺は無言で居ても全く苦にならない。頭の中でエッチな妄想をフル回転させていれば退屈もしない……そうなるとこのメスガキの存在は邪魔なので、俺はまた目を閉じる。
しばらく。俺は煩悩のままに心の酒池肉林を楽しんでいた。
身動ぎ一つしない俺の周りで、水面の波が収まって行く。
風もない、音もない……あるのはただ、俺の煩悩だけ。
明鏡止水の境地。
一点の曇りもない鏡や静止している水のように、焦りも良心もなく、明るく澄みきったエッチな煩悩だけが心を占める、悟りの境地を、俺は漂う……
「……なんという、つまらない男だろうね……! お前みたいな役立たずは、早く溶けてしまえばいいんだよ!」
……
「聞いているのかい! ここにはアタシとお前しか居ないだろう、無視するんじゃないよ!」
ババァが俺の両頬を掴んで引っ張る。うるせえなあ、折角静かになった水面が波立ち、俺の真夏のパシフィックホテルが消えてしまった。
「そんな風に何も言わないまま溶けちまったら面白くも何ともないじゃないか、次に人間が墜ちて来るのはいつになるか解らないのに! 解ったよ、お前に言いたい事があれば何でも聞いてやるし、知ってる事があれば教えてやるよ!」
んなもん、ババァの個人情報とか1ミリも興味ねえし、何か聞いた所でこの先何の役に立つかは解らない。
ただ、実の所俺はここを出られる可能性は3割くらいはあると思っている。
「そうだな……じゃあお前の歳を聞こうか」
「ヒエッ!? この男、女性に歳を聞いた! 歳を聞いたよ! なんと迂闊で失礼な男なんだろうね、そんな風だからお前は駄目なんだよ、ざーこ、ざーこ、ヒェヒェヒェ」
「ならば質問を変えよう。お前はヴェロニクを知っているか」
唇を歪めて俺を嘲笑っていたババァが、その表情のまま凍りつく。
「ヴェロニク……ヴェロニク……ああ……お前……よくもその名前をアタシに思い出させてくれたね……!」