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幼女は最高なのだとマスターは叫んだ。



「おっさんは帰れ!」


 目を開くと、突然少女が罵倒してきた。


「……は、は?」


 俺は訳もわからずポカンと口を開いてしまう。


 どこだここ?


 気づけば真っ白な部屋の中にいた俺は状況が全く飲み込めない。

 確か森の中でアングリーベアーに襲われて……首を噛まれて……死んだはずじゃ……。


「一つ星だしステータス低すぎでしょこのオッサン……。幼女よこせ幼女!」


 腰まで黒髪を伸ばした少女が呆れたように空中に浮いた板のようなものを眺めながら俺のことを批判する。一つ星冒険者で悪かったな。


 それよりどこなんだここ。


 まさか天国とかそういうとこか?

 そうなるとこいつは天使ということになるんだが……なんで天使に批判されなきゃならないんだ。


「やっぱガチャは信用ならないわね。0パーと100パー以外信じちゃいけないわ」


 ガチャ?

 パーって何だ。


 さっきもステータスとかよくわからないこと言ってたし……。


「まだ魔石は残ってるけど……こんなクソガチャに使うなんて嫌だし……幼女確定ガチャとか無いのかしら……」


 こちらを見ようともせずブツブツと独り言を言いながら半透明な板を触る少女。


「お、おい」


「なによ低レア」


「て、ていれあ?」


 少女に声をかけたらすっごい睨まれた。

 謎の言葉で意味は分からないけど馬鹿にされたことだけは理解できる。


「はぁ……。あんた強いの?」


「強……くはない。せいぜいハイ・ゴブリンが倒せる程度だ」


「使えないわねぇ……。その歳になるまでなにして生きてたのよ」


「真面目に生きてたわ!」


 何で俺はこんな少女にまで人生をバカにされなきゃならないんだ。

 これでも人助けはして来たし、そこそこ努力はした。


 それでもどうにもならなかったんだ。


 どれだけ待ってもランクは上がらなかった。


「最高レアの勇者なんか15歳で五つ星よ? あんたなんか38歳でまだ底辺じゃ無い」


「……うっ」


 反論できない。


 どんなに努力していようが実際に俺は一つ星なのに変わりはない。世の中は結果が全てなのだ。


 だからってこちらの目も見ないで謎の板を操作している少女に言われる筋合いはない。


「うーん、ガチャに欲しい子はいるけどほとんど低レアね。魔石ガチャをするほどじゃ無いかな……。低レアは数が多すぎて単発狙いだと五つ星を引く確率よりも低くなるって……」


 すでに俺から興味をなくしてるし……。


「高レアは殆どがオバサン……」


 ダメだ。この少女が何を考えているかが分からない。


「やっぱり掘るしか無いわね」


 結論が出たらしい少女がこちらを見た。


 そしてニッコリと笑う。


「あんた、弱いけどせっかく引いたんだし使ってあげることにしたから。幼女が出るまで頑張ってね。とりあえずは山ステージのポイントスリーにいるウルフリータちゃんのゲットが目標よ」


「ちょっとまてちょっとまて。俺は訳もわからずこんな場所に飛ばされて混乱しているんだ! 少しでいいから説明してくれ!」


 なぜだか笑顔が怖く感じる少女に俺は説明を求める。


 俺は今とんでもない地獄にいるのではないだろうか。


 そんな気がしてならない。


「私もあんまりは知らないわよ。死んだと思ったら神様にゲームをしないかと言われて、頷いたらここにいたの。それで最初のウェルカムガチャで引き当てたのがあなた」


「げ、げーむ? が、がちゃ?」


「ゲームっていうのは遊びのことよ。ガチャはくじ引きみたいなものね」


「く、くじ引きで俺はここに呼ばれたわけか? 遊びなんかのために?」


「そうなるかしら。遊びといっても神々の遊びよ。私たち人間なんかでは計り知れない催し物ね」


「ふ、ふざけんな!」


 俺はつい怒鳴り声を上げてしまう。


「文句なら神様に言ってちょうだい。私も引きたくてあなたを引いたわけじゃないんだから。私は幼女が欲しいの」


 確かにその通りだ。

 ド正論に頭が冷え始める。この少女だって俺と同じようなものなんだ。


「……怒鳴ってすまなかった」


「分かればいいのよ」


 彼女は俺より神々の遊びであるゲームとやらに詳しいらしい。

 出口も見当たらないこの密室でどう生き残るかは全然分からないが、少なくとも彼女との関係を壊してはならないことだけは確かだ。


「さっきから幼女幼女って言ってるけど……強いのか?」


 ゲームに詳しい彼女のことだから幼女に何か鍵が隠されているのかもしれない。


「強くないわよ」


 あっけからんと答える黒髪の少女。


「なのに欲しいのか?」


「当たり前じゃない」


 なにをバカなことを言っているのと言わんばかりの表情をされた。む、ムカつく顔だ。


「戦力にならないなら必要ないんじゃないか?」


 先程強さを聞かれたのだからゲームには戦力が必要になるのではないのだろうか。

 そう思っての質問だったのだが……。


「幼女への愛に理由なんか要らない! 幼女を求めよと神は仰った! だから走れ迷える豚野郎!」


 冒涜すぎる!


「あなたを召喚して確信したのよ! このゲームは仲間にした子をリアルで触ることができる! 今まで画面越しにしか愛でられなかった幼女達を生で愛せるのよ!?」


 俺は確信した。


「ぷにぷにほっぺを突き放題、すべすべ太ももを撫で放題! ついつい指を入れたくなるキュートなおへそだってご開帳よ! この世で最も柔らかい幼女のお尻だって触り放題ってことでしょ!? 私の使い魔なんだもんなにしても許されるよね! ここには警察も法律もないんだもの! 私がルールだ! あははははは! 幼女さいこー!!」




 こいつ、ヤベー奴だ。




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