告白
どうも風谷かずとです。
初めて学園物を書きました。異世界物も学園物も難しいですね。
全力で書いていくので応援よろしくお願いします。
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冬のある授業の放課後。
「あの……美玲さん」
彼女は振り向きながら黒くて長い髪をなびかせて
「裕也君なに?」
その時、裕也は、心臓の鼓動が速くなるのを感じて胸を押さえながら、
「話があるんだけど明日の放課後来てくれない? 」
彼女は少しうつむきになり、すぐ顔をあげて、
「うんわかった。じゃあまた明日ね」
「う、うんまた明日」
裕也は明日の放課後彼女に告白するつもりだった。
次の朝、彼女は家の用事で学校に来ることはなかった。
また次の朝、彼女はうつむいたまま登校してきた。
「美玲さんおはよう」
彼女は返事もすることもなく自分の席に座った。『どうしたの?』と聞こうとしたがホームルームがそろそろ始まるため後で聞こうと思った。
だが、その必要はなかった。
赤いジャージを着た先生が教壇に立ちながら、
「ホームルームの前にみんなに伝えないといけないことがある。坂上こっち来い」 みんなが騒然とした中、彼女は立ち上がり先生の横に立った。
「坂上は今日の朝引っ越すことになった。だからこれで坂上とはお別れだ。坂上みんなに挨拶しろ」
そこから先はあまり覚えていない。そのまま彼女は挨拶をした後、友達と少し話してから、帰りの支度をして先生と一緒にこの教室から去っていった。
それから彼女がこの学校に訪れることはなかった。
そして裕也は彼女に思いを伝えることができなかった。
「ゆう君起きて、学校に遅刻しちゃうよー」
頭の中に声が響いてきて裕也が目を開けると目の前に顔があった。
「おっま……」
慌てて顔を上げたら頭と頭がぶつかった。
「いったーい。何すんのゆう君!」
「それはこっちのセリフだ! 普通朝起きて目開けたら目の前に顔があったら誰でも驚くだろ。それよりお前なんで俺の部屋にいんだよ、留美の家は隣だろ!」
留美はほっぺを膨らませて、
「だってチャイム鳴らしても全然来ないし、おばさんからもらったカギで家に入ってゆう君の部屋に行ったら寝てるし、全然起きないし」
「なんで留美が俺の家の鍵持ってんだよ」
留美は鼻を高くしながら、
「だっておばさんとおじさんが海外で働く前に『ゆう君をよろしくね』って頼まれたからね。つまりゆう君のお世話係なのだよ! それに幼なじみだからね」
裕也は幼なじみは普通こんなことしないと思いながら、
「お世話って、留美ご飯作れないし、まともに掃除もできないじゃん」
留美はほっぺを膨らませながら、
「これからできるようになるもん! それにゆう君も家事何もできないじゃん」
「そっ、それはそうだけど。それよりも今から着替えるから部屋からでろ」
「じゃあ朝ごはん作っとくね」
それを聞いた瞬間、裕也は寒気を感じた。
一度留美の朝ごはんを食べたことがあるが、焦げすぎて真っ黒な食パン、全く切られていない野菜サラダ、黒い色で刺激臭がする謎のスープ、考えただけで吐き気がする。あれは食べ物ではない。
「朝ごはんはいら……」
「楽しみにしててねー」
裕也が言い切る前に留美はスキップしながら部屋を出ていった。
見ていただきありがとうございます。
『神様の証拠隠滅のために異世界へ』も投稿しているのでよろしくお願いします。
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