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スライムの皮をかぶったドラゴン~ダンジョンで静かに暮らしたい 作者:三木なずな

第二章

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ラストワンアタック

 ディープフォレスト一階。
 のんびり日向ぼっこしながら、ゲットしたばかりのスキルポイント1をどう使おうか考えた。

 ダンジョンそのものを強化する、スキルポイント。
 何を強化するのかに頭を悩ませる。

 人間の育て方なら分かるんだけどな。
 いっそのこと何も考えないで、地形サポートをレベル2にするか。
 でもそれじゃ芸がないしな。

 実は頭が上手く回ってない。
 最近はいい感じに環境を整えてて、のんびりしすぎた結果頭がぼうっとする事がある。
 いいことなんだけどな、俺が望んだのんびりするのが出来るわけなんだから。
 のんびりして、適度に悩んで考える。

 そんなこんなで考えてる内にまた勇者が侵入してきた。
 一階にたむろってるゴブリンやインプたちが迎撃した、中にはテリーやリリの姿もある。
 迎撃された勇者は脇目も振らず、一直線に奥の階段に向かう。カレンのナイトメアで、一階を素通りして二階にあがる習性をもった勇者たちだ。
 攻撃されても足は止まらない、とにかくまっすぐ上を目指す。

『ユーリエ、ちょっと脇にどけよう。戦闘に巻き込まれたくない』
『分かりましたスライム様』

 ユーリエは従順に、俺を抱っこしたまま移動した。
 流れ弾が当たるかも知れないところから、遠く離れた場所で高みの見物。
 それでのんびりしながら、スキルポイントの使い方を考えた。

「ひっでえぜ、今日も倒しきれなかったぞ」
「惜しかったよね、あと一歩だったのに」

 勇者が一人残らず上に上がった後、テリーとリリが俺のところにやってきた。

「あと一歩?」
「うん! リリもテリーも、頑張って勇者に攻撃したんだけど、もう一撃ってところで倒しそびれちゃったんだ」
「やんなっちゃうよな」
「ねー」

 テリーとリリはその辺に座り込んでぶー垂れていた。
 もう一撃でたおせた、か。

 俺が仕向けたとは言え、大変だな。現状だと勇者が上の階に上がるまでのタイムアタックのようなもんだからな。
 勇者は防御も回避もするが、反撃はしない。とにかく生きて二階に上がるのを最優先に動いてる。
 それで殴り放題なんだが、テリーとリリはまだ倒しきれないんだな。

「あーあー、最初からちょっとだけ体力減ってる状態ならなあ」
「それなら倒せるよね」
「……ふむ。それできるかも知れねえぞ」
「「え?」」

 俺は半溶け状態から戻って、抱っこするユーリエに立ってもらった。
 スキルポイントをダンジョンスキルに変える。イメージは出来た、それを形にしていく。

 ――ダンジョンスキル・先制攻撃レベル1を生成しました。

「よし出来た」
「出来たってなにが?」
「それはな――おっ、ちょうどいいところに勇者が来た」

 塔の入り口に勇者が現われた。
 法衣を纏った若い女、僧侶らしき格好の女だ。
 それが十数人。純粋な僧侶もいれば、あきらかに殴り用の鈍器を担いでる僧侶もいる。
 それにゴブリンたちが一斉に反応して、襲いかかろうとした。

 パァン!

 突然、塔の壁から炎の玉、ファイヤボール程度の魔法が放たれた。
 炎の数は人数分、一人につき一発で僧侶たち全員に直撃し、着ている法衣を焦がす。

 いきなりの攻撃で僧侶たちはたじろいだが、ゴブリンたちは遠慮なく襲いかかった。

「ヒャッハー! 苗床だー!」

 それはテリーも同じで、下心丸見えの顔で僧侶に飛びついていった。
 一方で、飛びつかないで残ったリリは。

「今のって、壁から魔法が出てきたよな」
「ああ、ダンジョンスキルの先制攻撃レベル1だ。来た勇者にちょっとだけの攻撃を、ダンジョンが自動で与える」
「そうなんだ。でも」
「うん?」

 リリは小首を傾げて俺を見た。

 今のスキルに何か問題があるのか?
 見ての通り援護射撃、単純明快なスキルじゃないか。

「リュウがヤッたの? どうしてそんなことが出来るの?」

 ゲゲッ。

 やべ、悩んでるところに答えがふってきたからついやっちまった。
 なんとかごまかさないと、えっと……。

「で、ディープフォレストにいたとき母さんに教わったんだよ」
「そっか、マザードラゴン様に教わったんだ」
「そうそう。母さん厳しいから、そういうのをすっげえ教えてくるんだ」
「そうなんだ」

 リリはごまかしに納得したようだ。

 ふう、やばかった。
 のんびりしすぎてついついやってしまったぜ。
 上手く誤魔化せてよかった。

 そうしてるうちに僧侶たちは全滅した。
 一人また一人と倒されて、最後の一人は階段に足をかけたのと同時に倒された。
 紙一重の差、先制攻撃一発分の差だ。

 狙い通り上手くいった。
 さっきは全部二階に逃げられてしまった勇者たちは、一階でゴブリンたちに全滅させられた。

 ちなみに先制攻撃はこの階だけじゃない、全階層に踏みいれたときに発動する仕組みだ。
 ダンジョンがまた少し強くなって、その結果も出て俺は満足した。

「やっぱりすごいねリュウは」
「うん?」
「シェスタさんと同じ事ができるんだもん、さすがマザードラゴンの息子、ドラゴンナイトのリーダーだね!」

 純真な目でほめてくるリリの言葉は悪い気がしなかった。
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