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スライムの皮をかぶったドラゴン~ダンジョンで静かに暮らしたい 作者:三木なずな

第二章

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夜の女王

 クリスタルタワー一階。
 勇者の襲撃の合間、ユーリエの抱っこでミラクルフィットしてのんびりしてる俺のまわりをカレンがまとわりついてきた。

 サキュバスからナイトクイーンに進化したカレン、押さえても抑えきれないフェロモンがあたりに放出しっぱなしで、遠巻きのゴブリンたちは全員股間を押さえている。
 すごいなナイトクイーン、ビッチなのにあの処女厨のゴブリンたちを全員もっこりさせるとか。

 すごいんだが、俺は今困っている。

「ねえねえリュウちゃん、あたしとエッチしようよ」
「しない」
「あたしのエッチすごいよ。今なら通常の300倍、射精の瞬間の300倍の快感を味わわせることが出来るよ」
「そんなにいけるのか」

 エッチをする気はまったくないが、快感300倍はすごいって思った。

「本当はもっといけるけどね、1000倍とか余裕。でもそれ廃人コースだから」
『ひぃ、は、廃人……』

 廃人と聞いて怯えるユーリエ。
 才能マンだけどまだまだ子供だな。

「麻薬みてえだな」
「うん。廃人にしないのは300倍程度が限界。でも300倍だよ、すごい気持ちいいよ? だからあたしとエッチしようよリュウ」
「だからしないって」
「どうしてさ。あたしのこと嫌い? 見た目の好みがあるならかえてくるから」
「整形かよ。そういうことじゃねえ」
「じゃあなに?」

 聞いて来るカレン。まなじりにうっすらと涙がにじんでいた。
 そんなにしてほしいのかよ、と俺はため息交じりに答える。

「つかれるのはやなんだよ。エッチは――っていうか性的快感はどうやったってつかれるもんだろ? オナニーでもセックスでも。マグロでもつかれるだろ? それがいやなんだろ」
「つ、つかれない快感もあるよ」
「食べても太らないくらいのうさんくささだな」
「本当にあるもん! 今のあたしなら通常の3倍くらいでそれができる」
「一気に下がったな! ってか本当に出来るのか!」

 必死に食い下がるカレンの言葉に妙な信憑性、というか説得力があった。
 最高で1000倍までの快感を与えられるナイトクイーンが、3倍程度まで下げてようやく実現可能になるそれ。
 その下がり方は信用してもいいって気分にさせられる。

 それでも。

「性的快感はいいから、本当に。俺はとにかくのんびりしたいんだ」
「うぅぅ……ねえさせてよ。リュウちゃんの役に立ちたいの! なんかさーせーてー」
「駄々っ子かよお前」
「さきっちょでいいから、一回でいいから、中毒性のないヤツにするから。ねっ!」
「だからそういう問題じゃ――中毒性?」

 呆れて顔を背けかけた俺だが、気になるワードが耳に入ってきた。
 改めてカレンに振り向いて、聞く。

「中毒性とかあるのか?」
「え? 普通にあるよ。セックス狂いとかいるじゃん? あたしなら普通にそれにする事ができるよ。おへそを使ったオナニーじゃないとイけないとかそういうのに」
「マニアック過ぎる! お前の能力万能だな!」
「リュウちゃんのおかげじゃないの!」
「なんで逆ギレ!?」

 突っ込みつつ、考えて、更に聞く。

「そういうマニアックってのはどこまで設定できるの?」
「うーん、ほぼなんでも。人間っていろんなフェチがいるからね。オッパイフェチとかかかとフェチとか抜け毛の毛根フェチとか」
「なんだよ最後のは!」
「だからなんだって出来るよあたし」
「……それは死んだ後も続く?」
「……勇者の事?」

 ユーリエに抱っこされたまま、真顔で頷いた。

 勇者というのは、神から祝福され、加護を受けた人間の総称だ。
 神の祝福や加護は色々あるけど、共通している――勇者と呼ばれる理由になった共通点が一つある。

 それは、モンスターの本拠地、ダンジョンの中で殺されても復活することが出来る。
 もちろん無条件とは行かない、勇者の能力に比例して金がかかるし、死んで復活するたびに能力が約一割下がってしまう。

 勇者によってはペナルティはかなりおもい。
 それでも、復活することは出来るのだ。
 その事をもちろんカレンは知っていた。

「出来るよ、バカとエッチなのは死んでも治らないって言うからね」
「……そうか、だったら一つ頼まれてくれないか」
「……」
「カレン?」

 頼みごとを言おうとしたが、そのカレンがぽかーんしてしまった。

「どうしたカレン、なんかあったのか?」
「り……」
「り?」
「リュウちゃんから頼みごと……あああああぁ」

 カレンはいきなり体を振るわせて、白目を剥いたアヘ顔でけいれんし出した。
 ……え? 今のでイったのかまさか。

 目をハートマークにしてビクンビクンしているカレンは、大分レベルが高くて、進化して突き抜けた女の子になったようだ。

     ☆

 次の日、朝から大勢の勇者がクリスタルタワーに侵攻してきた。
 全員一度は来た事のある勇者、ニーの村から来た弱い勇者ばかりだ。

 勇者は血走った目で塔に入った、一階のモンスターたちは迎撃するが。

「どけどけどけ!」
「お前らに構ってる暇はねええ!」
「二階にかいニカイNIKAIIII!!!」

 勇者たちはものすごい突破力で、ゴブリンやインプ、一階の主なモンスターを蹴散らして上の階に上がっていった。
 あがった直後、上の階からは。

「ああああああぁぁ……」
「ふぎいぃぃいぃいい!
「くぁwせdrftgyふじこlp」

 様々な悲鳴や嬌声が聞こえてくる。
 どういう事だ? と他のモンスターがキョトンとなっている中。

「リュウちゃん」

 塔の外からカレンが戻ってきた。

「上手くやってくれたな」
「うん! リュウちゃんの注文通り、あの村の勇者は全員『塔の二階以上でイク』様にしてきた。これで塔に来た時は一直線に上を目指すよ」
「ありがとうカレン」
「リュウちゃんに……リュウちゃんにほめられた……」

 カレンは立ったまま、しかし白目を剥いて小刻みに体を震わせた。
 突っ込んだら負けなので突っ込まないようにした。

 これでヒマになる。
 カレンの力と、ダンジョンスキルの『引き返し禁止』で一階はとことんヒマになって、のんびりが出来る。

 これなら、どんどん勇者に来てもらっても大丈夫だな。
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