境界探索『クロニア』
図書館を後にするとまたもや『ぶっぱ君』を使って目的地であるショッピングモールクロニアの前に到着した。
「うぅ……やっぱりまだ慣れないなぁ……。」
皆空から見る景色を楽しんでいたがルースだけはあまり得意じゃないらしい。
確かに修学旅行のときもジェットコースターでダウンしちゃってた記憶がある。
「まぁまぁ、最初のうちはしょうがないよ。」
「うんうん、なれるまで私が手を繋いでてあげようか?」
ルーニャさんが優しく声を掛けているのは確かなはずなんだが、愛龍さんはちょっと目的が違うように見えた。
「さてさて、このショッピングモールクロニアについての説明はしたいけど、お腹すいたからまずはどこかでご飯にしよー。なにか食べたいものある人ー?」
「えーっと、ちなみにどんなのがあるんですか?」
ヒカルが聞くのも当然だ、境界に着いてまだ1日しか経っていないのに、なにかと聞かれても困る。
「私は境界でしか流通されてない餅のような食感のお肉、通称「モチモチ肉」を食べてみたいと思ってました。」
「俺はこの境界の特殊な環境で育った生き物のような機能を持った野菜、「生き野菜」を食べてみたいです。」
しかし事前に色々調べていたルースとヴァンはどうやらもう目星がついているらしい。
「ふむ、ヴァン君とルースちゃんは決まってるみたいだね、ヒカル君と白亜君はどんなのがあるか分かってないと。」
千里さんがそう呟き少し考えたあと、冥夜さんに耳打ちをした。
「ふむ、そうだな愛龍さん、ルーニャさん、とりあえずフードコートで席取りましょう。」
冥夜さんがそう言うと二人は頷き、クロニアの中へと入ることになった。
クロニアに入るとそこはまた広大な空間が広がっていた。
服や装飾品だけでなく、武器や魔法書その他も見たことが無い物ばかりで目が追い付かなくなってしまってきていた。
「おやおや、ちゃんと前には気をつけて歩いてね?皆口が開きっぱなしになっちゃってるよ。」
愛龍さんに言われてふと我にかえりしっかりと前を向き直して歩く。
途中ですれ違う人達も様々な格好でまさに十人十色、一人として同じような格好はないと言い切れるくらいだ。
それから2分ほど歩くとフードコートについた、一見すると普通のショッピングモールにあるフードコートをただ広くしただけのように見えた。
「さてさて、やっぱり混んでるねぇ、でもまぁ一部屋くらいなら取れるかな?」
「一部屋ってどういうことですか?」
「そうだね、確かにそれはこの見た目じゃ分かんないよね。このクロニアのフードコートは見ての通りのテーブル席と、大人数用に部屋があるの、さっきの図書館と似たようなシステムでそこに移動してワイワイ食べれるって訳なの。」
なにやら手続きを進める愛龍さんの代わりにルーニャさんが教えてくれた。
「よーし、皆このカードを持ってねー。」
愛龍さんが皆に一枚ずつカードを渡していく。
そこには部屋番号らしい数字と使用時間が書いてあった。
「食べ物はあとで頼めるからちゃんと手に持っててねー。いくよー、転移。」
図書館での移動と同じような感覚のあと、一般の家庭のリビングのような部屋に出た。
「さてさて、さっきのカードにあるQRコードをスマホで読み取るとこの店で買える料理の一覧が出るからまずはそこから選んでねー。決まったらこのタブレットで注文するからどんどん言ってねー。」
そして皆それぞれスマホで一覧を開いていく。
自分も開いてヒカルと一緒に見るとそこには未知の世界が広がっていた。