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境界のクロスシティ  作者: 空廻 永遠
第二章-境界的日常生活『始まり』-
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裏書庫と帰還

「さて、早めに戻りたいところなんだが、あまりここには来たくないからね、今のうちに色々ここでの確認をしていくけどいいかな?」


ソラさんが少し回りを見回しながら声をかけてくれる。

私は一緒に行っても大丈夫なんだけど、やっぱりいきなり来ちゃってるから遅いと皆に心配かけちゃってるのがなぁ……


「私は大丈夫ですけど、一緒に来てた人達に連絡取れてないので少し心配です。」


「あぁ……その事についてなんだがな、実はこの空間は特殊でな、せっかくだから移動しながら話をしてやろう。」


ランシアさんがそういうので安心して着いていくことにしよう。


「さてと……まずはゆっくり歩きながら本とかに異変が無いか見なきゃな。」


その発言に途中で見た壊れたケースを思い出した。


「あ、あの、歩いてた途中でケースが壊れてたところが一ヶ所見えたんですけど、大丈夫ですかね?」


するとソラさんとランシアさんは顔を合わせてかなり険しい表情になった。


「それは結構危険かもな、ルースちゃん、どこにあったか覚えてるか?」


「えっと、一応行けるとは思います。」


自分が歩いてきた道は一応記憶にあるから行けるとは思うけど、ちょっと心配になってきたな。


「ルースちゃん、大丈夫だよ、もし何かが起きても私達が居る限り絶対に無事に帰してあげる事を約束するよ。」


「そうだな、マスターが居ればとりあえずこの世界で負けることは無さそうだもんな。安心して大丈夫だよ、ルースちゃん。」


「ありがとうございます!」


確かにさっきの戦闘を見たらこの二人の、特にソラさんの力は圧倒的だった。

これなら安心出来ると思う。


「さて、結構かかりそうだからここについて説明しよう。この場所は裏書庫と言われる場所でね、普通の書庫には到底保管出来ない危険な魔術書や、禁術等が書かれたものを保管している場所だ。」


「だから本当は限られた権限を持った者、まぁ12星座以上のランクを持っていないと入れないんだが、その入る為の鍵になるカードを間違って落としてしまったときに、ルースちゃんが拾ってくれて、そして多分『ました』という言葉を放ってしまったせいでここについてしまったんだな。かなり恐い思いをさせて申し訳ない。」


『ました』なんて言葉を発した記憶は無いがこの場所は相当危険な場所だったらしい。

それにしても広い場所だと思う。


「そして、さっき心配していた待たせてしまっている、という件なんだけどね、ここの時間軸がかなりずれていてね、この場所での1分はもとの場所での6秒に値するんだ、つまりはこの場所は普通の時間の10倍もの早さで進んでいるんだ。」


そんな場所でおよそ一時間も過ごしてたということは、もとの場所で6分しかたっていないということになる。

でもそこで気になるのはランシアさんが気付いてから来るまでがとても早い気がするんだけど、どうなんだろうか。


「そして、この場所にはとあるときにさっきのネラが入ってしまってな、しかし出ることも出来ない上にこのケース達はとんでもなく丈夫だ、ということで、あいつの牢獄という使われ方もされていた。」


「さて、そうこう言ってる間に壊れたケースの場所についたようだな。ランシア、ここにあった本は何か分かるか?」


そう言われるとランシアさんは何か空中にディスプレイのようなものを展開して操作し始める。

流石にこんな技術もあるのは驚きものだ。


「まずいなマスター、ここにあったのは蟲の禁術に関する本なんだが、何よりまずいのはどうやらその本に転移魔法についても書かれていたようなんだ。奴は死んでなんか居ない、いつかまた闘う事になっちまうな。」


「それは大変なことになったな。しかしまぁ、どうして壊せたかも気になるところだ、情報も入手出来たことだし、他に異常が無いか軽く探ったら戻ろうか。」


そういうとソラさんはポケットからコインを取り出し、思いっきり弾き上げた。


『第2級魔法・探知サーチ【天】』


魔法の発動とともにコインから白い光が放たれ、広いこの裏書庫に光が満たされていった。


「うん、なんともないようだね。さてそれじゃあ戻ろうか。ルースちゃん、一緒に来てた人の所に出るから、出たらそこでお別れだ、短い間だったけど本当に無事で良かった。また会えることを楽しみにしてるよ。あ、何かあったらのために連絡先を教えておくよ。」


そういってソラさんはポケットから名刺を取り出し渡してくれた。

ランシアさんも申し訳なさそうにしていたが、この二人が来てくれなければ今頃ここにいないと考えると怖くてたまらない。


「こちらこそ本当に助けていただいてありがとうございました!」


ソラさんはにっこりと微笑み頭を撫でてくれた。それはとても温かく、心がとても休まる感じがした。


「さあ、ルースちゃんは私と手をつないでね。行くよ、『一階』」


その言葉とともに目の前は一瞬真っ暗になり、気付くと皆が目の前にいた。

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