図書館競争『狼龍と吸血鬼』
今回は愛龍・ヴァンペアのお話となります。
ヴァン目線なのでそれを踏まえてお楽しみ下さい。
さて、始まったはいいものの、まずはどうするかな………。
「ヴァン君はどんな作戦で見つけるの?」
ペアになった愛龍さんが声をかけてきた。
正直この人の剣術はかなり興味があるのだ。
なによりも、あの勝負の時に一瞬だけ態度が豹変していたように見えたのだ。
まるで獲物を狩る猛獣のようだった。
「そうっすね……俺はとりあえずマップでも貰いに行きますかね。」
「ほう、そうくるか。なかなか賢い選択だね。」
「それで、マップはどこで貰えるんです?」
「さぁ……?それも教えたらただの案内だもの、自分の力で探さなきゃ勝負じゃないよ?」
愛龍さんは、正々堂々やることが一番大事だと思っているようだ。
おそらくは「武士道」とか「騎士道」のような類いだろう。
まぁ……正直に言えば勝負は嫌いじゃないし、正々堂々やるのが一番好きだ。
しかし、まずは入り口辺りを探ってみるのが得策だろうか?
「さぁさぁ、皆はいきなり探し回りに行っちゃってるから、出遅れてるよ!一位目指して頑張ろー!」
そう言ってまず訪れたのは最初に通った入り口辺り。
しかしそこには受付のようなものは無かった。
「ここじゃないか、だとしたらどこだ…まずいな、これじゃ大幅なロスじゃないか。」
「ちなみにまだ皆も見つけて無いみたいだよ~。」
そうか、それなら良かった、って、どうやってその情報が分かるんだ?
「次は壁沿いに探して行こうと思います。」
「おっけ~。どんどん行こ~。」
とても楽しそうにしている愛龍さんだが、やはりあのときの表情を思い出してしまって少しだけ恐怖を感じている。
しかしまぁ、せっかくの機会だし、まだ分からない事を少しずつ聞いていこう。
そのなかで本心も探れれば万々歳だろう。
「あの、気になったんですけど、どうやって他のペア情報手にいれたんすか?」
「ん?あぁ、これは学校で最初の方に習う魔法でね。通信魔法で、特定の人に心の中で唱えた通りの言葉を伝えれるんだ。それで3人に確認取ってみたの。」
「便利ですね、でも正直俺はかなり魔法苦手ですけど大丈夫なんですかね?」
「んー。正直に言えば全然難しく無いし、必要な魔力量もかなーり少ないから大丈夫よ。正直に言ってスマホ使えばなんの問題もないのよ。ただ電波とかで使えないとかが無いのが唯一の利点かな。」
「そうなんですか、でも色々面白いことに使えそうなので頑張って覚えてみます。」
「うんうん!モチベは大事だよ!」
そんなことを話している間になんとか受付を見つける事ができた。
そこでマップを手にいれたのだが、そこに書かれていた他の階に行く為の場所は数ヶ所あったのだ。
それも最初に居たスタート地点のすぐ近くにも一ヶ所。
「これは……どういう事です?」
「仕方ない、ここまで来たんだし大ヒントをあげよう。実は移動する場所はある程度決まっているけど、どこからでも行けるのです!」
指をピンと伸ばして笑顔で語られた事実。
しかしそれではどうやって行けば良いのかは全くもって分からない。
「受付の人に聞くのはありですかね?」
「いいと思うよ~。私達に聞くのがダメなだけで、他の人は全然良いからね。」
そうして聞いてみた答えは意外なものだった。
結局あんまり愛龍さんにも話は聞けなかったが、この瞬間に他のペアが答えを知るかは分からないから、とりあえずはゴールすることにした。
ゴール後に愛龍さんがとある事を聞いてきた。
「そういえばヴァン君って種族的には何なのかな?あ、言いたくなかったら全然大丈夫だよ?」
「俺は吸血鬼に分類される、と思います。愛龍さんはどうなんです?」
見た目に出ている特徴としては、狼っぽい尻尾や黒く硬そうな翼など様々だ。
「私はねぇ、人狼と龍人のハーフ、かな。結構怖い組み合わせだけど、安全だからね~。」
かなり珍しい組み合わせだと思ったが、この境界では意外とあるあるなんだろう。
そんなこんなを話しているうちに、他のペアと合流するのであった。