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境界のクロスシティ  作者: 空廻 永遠
第二章-境界的日常生活『始まり』-
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境界探索『魔法の移動』

ルーニャさんが珍しく大きな声を出したかとおもった刹那、近寄ろうとしていた大勢の人が皆同時にその場に倒れ込んだ。


「まったく、何回もうっとうしいったらありゃしないわ。」


と、澄まし顔でルーニャさんがいつの間にか手にしていた二丁拳銃をしまっていた。


「これは……?見えなかった。」


困惑しきった様子でルースが問いかける。

実はルースは特異体質で危険が迫ると数秒周りがゆっくりに見えるというとんでもないものを持っているはずなのだが。


「ん?あー、この人達?まぁ、私は絶対に認めないけど、ファンクラブの人達らしいよ?」


「「ファン……クラブ?」」


俺やルース達が声を揃えて聞き返す。

愛龍さん達は皆苦笑いをしている。


「ルーニャって、こんなにも可愛い見た目だし、さっきルースちゃんは気付いたかもしれないけどルーニャ凄い強いんよね。そのせいか、こんだけ人気が出るんだ。」


確かに、ルーニャさんはかなり小柄でスタイルもいいし、背中には6枚の翼を持ってるし、20人程を一瞬にして眠らせる程の強さであれば、ファンも居る……のかな?


「まぁ、とりあえずこの人達はそのうち起きるから大丈夫よ、早く行きましょ。」


ルーニャさんが鋭い視線で道に横たわっている人々を睨み付け、そそくさと歩き始めてしまった。

よっぽど嫌なんだろう。


「さて、次はちょっと遠いし、“あれ”を使おうか~。」


とニヤニヤしながら愛龍さんがこちらへ声をかける。


「あれって、なんですか?」


珍しくヒカルが聞き返す。

とても目が輝いてるようにも見える。


「ちょっとだけ歩かなきゃいけないけど、この街ってやっぱり広いじゃん?だからワープみたいに、一気に移動できるものがあるんだ。」


「まぁ、初めては結構辛いと思うけど、頑張れよ。」


千里さんと冥夜さんが軽く説明をしてくれたが、辛いというのはどういうことだろうか。


「さ、着いたわよ。」


そんな疑問も一瞬で答えまで結びつけることが出来た。


「なんだ、これ……。」


ヒカルが完全に青ざめた顔で“それ”を見つめていた。

それもそうだろう、そこで見たのはそのワープのような機能がある装置に触れた人々が凄い勢いで宙へと打ち上げられる瞬間だったのだ。


「これがこの街でのアトラk、コホン…ワープ装置、“魔法式移動砲”通称『ぶっぱ君』だ!」


愛龍さんがドヤ顔で説明するが、全然安心出来ない、なんだその通称危なすぎるだろ。というか今アトラクションって言おうとしてたんじゃないか?


「これの使い方は簡単よ、ただ装置に行きたい場所を入力して、後は起動ボタンを押すだけよ。まとめて移動も出来るから、この地面に描かれた円にはいってくれるかな?」


ルーニャさんが説明をしながらぶっぱ君を操作する。その間に皆円に入ってしまう。

もうすでに恐怖心マックスのヒカルは白くなり始めている。


「まぁ、怖いのは一瞬だ。」


そう冥夜さんがヒカルの頭をぽんぽんと叩いた。なんとも和やかな光景だろう。

しかしすぐにその時はやってくる。


「行くわね。3……2……1……ポチッとな。」


なんとも不思議な掛け声と共にいきなり体が何かに押し出されたような感覚に襲われ、気付けばかなりの高さに居た。

そして、問答無用で落ちようとしていた。


「え?いや?この高さから落ちたら死なない?死ぬよね?」


「大丈夫だよヒカルくん、死なないし怪我さえしないから落ち着いてよく見てみると良い。」


焦ってもがいているヒカルに対して千里さんが空中でゆっくりと近付いてなだめる。

愛龍さんとルーニャさんも焦るルースを同じようにゆっくりとなだめていた。

ゆっくり?

ふと気付いて下をよーく見てみる。

普通の落下速度ではあり得ないほどゆっくりと近付いていることに気付いた。


「気付いたか?白亜くん。ヴァンくん。この装置、空中に飛ばされるのは一瞬だが、こうやって降りる時は実にゆっくりなんだ。この間に周りの景色を見てみると良い。実に美しいぞ。」


そういわれて俺とヴァンは周りを見てみる。

下に広がるのはクロスシティ。そこに歩く人は目を凝らしてやっと見つけられるというレベルの高さに居るようだ。

ゆっくりと街の外側へと視線を向けていく。

はるか遠くまでずっと続く街の特色だらけの景色。

さらに向こうにそびえるのは巨大な壁、だろうか?

落ちている中だった為に僅かしか見えなかったがその先は緑が広がっていたように見えた。


「凄い……壮大だ。」


完全に見入ってしまっていて、ふとルースやヒカル達を見ると同じく目を輝かせてその壮大な景色に目を奪われていた。


「これが境界だよ。でもこれで見える世界も、まだまだ小さなものだよ。」


千里さんが微笑みながら声をかけてくる。

この壮大な景色でさえもこの境界からすれば小さなものだと言うのだろうか?

これから本当に退屈の無い日々になりそうだ。


「こんな景色だとある有名な人の言葉が言いたくなっちゃうな。」


少し苦笑いしながら愛龍さんが呟く。

すると先輩方が顔を合わせて俺達にこう言い放った。


『ようこそ!境界へ!』

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