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境界のクロスシティ  作者: 空廻 永遠
第二章-境界的日常生活『始まり』-
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境界探索『開幕』

降ってきた槍には見覚えがあった。

それは俺が以前ヴァンへのプレゼントとして渡したものなのだ。

そう……つまりこれを持っているのはおそらくたった一人のみ。


「ヴァン!?」


槍が降ってきた時点でもうすでに周囲が固まりきっていたが……知り合いだったということによりさらに困惑されている。


「ど……どういうことなの?ハクアくん?」


愛龍さんが一番最初に口を開く。

千里さんと冥夜さんは顔を見合わせてまったく訳のわからないという顔をしている。

ヒカルとルースは呆れきった様子だ。


「えっと、その、この人は俺達の友人ですが……なんでこんな状況かは、俺にもさっぱりです。」


皆さらに困惑してしまっている……

するとヴァンが槍を引き抜きこちらに向けてニヤリと笑った。


「さっぱりです?お前がしっかりしてないからだろうが!いったいなんのつもりで既読スルーしてやがるんだ。何か起きたのかと思ったじゃないか!」


「既読スルー?あ……そういえばスマホのこと完全に忘れてたな。」


そうだ、昨日の夜から今のこの時間まで、完全に忘れてしまっていたのだ。

しかし、それなのに既読スルーとは変だと思ったが、夜のうちに触ってしまったのかもしれないな。


「わりぃ、昨日は寝ちまって、内容とか覚えて無いな、心配してくれてありがとうな?」


最後のは本心だ、こんな来てからまだ1日もたっていない状態で、何かが起きるなんて誰も思い付かないだろう、やはりヴァンは流石だ。


「なんだよありがとうって?意味分からねぇよ、とにかく、なにより無事で良かった、それで、今からどこかいくのか?」


そうだった、言っていていない俺も悪かった、しかしこの状況をいまだ理解しきれていない人達が居るのだ……それなのに話を進めようとしているのだ、そうなれば黙っていない奴が一人居るのだ。


「ヴァン?しっかりとこの人達にも分かるように説明して?なによりも挨拶の一言も無しで先輩を無視するなんて良くないよ!」


そうなのだ、ルースは昔からそういう性格だった。

なにかと上下関係等を重要視している、とは言っても凄い厳しいという訳でもなく、とにかく人が困ったり不快感を感じることが嫌なのだ。


ヴァンはその言葉によって完全に落ち着きを取り戻し(そんなに熱くなってはいないとは思うが)やっと先輩方に気付いた。


「す、すいませんでした、つい熱くなってしまって、本当に迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。」


すると先輩方は皆で顔を合わせて笑いだした。


「まったく、君達は面白いなぁ、ヴァンくんって言うのかな?そんなに気にする必要は無いよ、私達はこれからこの街を紹介しようと思っていたところなんだ。もちろん、君も一緒に来るね?」


愛龍さんはとても柔らかい笑顔でヴァンに歩み寄る。

その笑顔はなんというか、全くの嫌な感情が感じられないような、少し不思議で、とても綺麗なものに感じた。


「是非お願いします!そのついでに先程の無礼も……」


「分かった!じゃあしゅっぱーつ!」


ヴァンが言い終わる前に、愛龍さんが先導して歩き出した。


「まったく、最後まで話は聞いてあげなさいよ……って歩くの早いな。まぁ、何はともあれのんびり行きましょう。」


ルーニャさんが呆れた様子で付いていく、それに俺達も続く形で、不思議な街の探索が始まるのだった。

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