表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

第4話

ミルコが指す方向を見ると、一行のいる数十メートル前方に

1メートル程度の得体の知れない生き物がそこにいた。

細い腕や足に大きな顔。アゴは尖り、鼻が異様に大きく、目も飛び出ている。

手には棒や石を持っている・・・・

体こそは人間のそれと似ているが、一見して意思疎通は難しいと思わせるような姿。


(テル)「初めて会う敵は弱いのが相場だよな」

ゲームや小説では敵は主人公のレベルに合わせて徐々に強くなってくる。

つまり、出発点周辺の敵は弱いのが定石である。


テル「あのゴブリンってのは弱い?」

ティーア「ゴブリン一人ならあまり強くはないけど、複数いるとかなり厄介」

テル「え?弱くないの?」

ティーア「ぜんぜん!!この人数なら多分勝てると思うけど、私一人なら殺されるわね」『殺される』不意に死を連想される言葉を聴いてテルは背筋が凍る思いに襲われた。


そんな気持ちを知ってか知らずか、ティーアが続けて

ティーア「それにゴブリン達は、全体が一つの生き物のように一匹の考えたことがすぐ回りに伝わるの。だから数が多ければ多いだけ厄介よ」


ゴブリンには特殊な器官があると言われている。それ同士の意識が一つに繋がり大きい個として行動するのだ。

それは時に町をも破壊する。


ティーア「ごめんだけどテルも協力してね。ミルコは詠唱準備、私とテルで気を引くからよろしくね」

ミルコ「わかった」

テル「・・・おう」

ティーア「私は左側から行くからテルは右から。気付かれなければやつらは近い方に向かって来るはずだから私より近づかないで」

まだ気持ちも落ち着いてない状態だが現実が突きつけられる。

テルは手に持った棒が重くなっている気がした。


ティーア「大丈夫?」

テル「おう」

先ほどよりしっかりした声で返す。

それに軽く頷くとティーアはゴブリンの左側にゆっくり進んでいく。

テルも逆に右側へゆっくりと近づく。ティーアの距離に注意しながら。


テルはほんの数十メートル、ほんの数分がとても長く感じた。

いくら剣道をしていても、目の前に死がチラつく経験をしたことがない者に取って感じたことのない感覚だった。

そして順調に距離を詰めていた時、そんな気持ちが災いし、それは起きてしまった。

ゴブリンとティーアばかりに集中してしまい、軽い溝に気付くことが出来ず転んでしまった。

テル「うわ!!」


あまりに突然の出来事にテルは声を上げる。

そして「ッハ!!」と前を見つめ、ゴブリンの一匹と目が合う。

ティーア「バカ!!ミルコーーー!!」

ゴブリンとの距離はティーアのほうが近い。しかし、先にテルに気付いてしまっては関係ない。次の瞬間他の二匹も同時にテルのほうに走って行く。


それを見たミルコはすぐさま集中し詠唱を始める


ミルコ「我、神秘の力をここに懇願し発現せしめる者なり。

イック アニムス ムンド ブレア

今ここに業火の法を使わんとする」


その声はゆっくり、そして決して大きくはない。

しかし大気を震わし、頭に直接聞こえるかのようなエコーのかかったような声。

そんな声が周囲一帯に響き渡っていた。


そしてミルコは大きく目を見開き

ミルコ「バーニング!!」


ミルコが大きく唱えると三体のゴブリンの丁度真ん中あたりで突然火が上がった。

それは形こそ違えど先のミノタウロスを焼き払った炎よりも大きな炎だった。

瞬く間にゴブリン達はその炎に呑まれる。


しかし先頭の1体は手傷を負ってはいるものの、炎から抜け出してしまった。

眼前にはテル。


そして手に持っている大きな石をテルに向かって振り下ろした。

その瞬間、テルはよけるべきか棒で受け止めるべきか悩んだ。

悩んでしまった。その一瞬の迷いが結果として悪い方向に進んでしまう。


ゴブリンの渾身一撃はテルの左腕に直撃する。

そして、『ゴリッ!』という鈍い音がし、テルに激痛が襲い掛かる。


テル「!!!!」


言葉にならない痛みと衝撃、そして目の前にいる殺気立った人外の生物。


ティーア「テル!!!!!」

ティーアは助けようと駆け出している。しかし、この状況に数十メートルの距離は致命的ミルコも第二射を放とうとしているがゴブリンの目の前にいるテルに影響なく、ゴブリンのみを倒す事の出来る魔道はこの数秒では準備出来ない。


並大抵の人ならこの恐ろしい状況になすすべもなく殺されるだろう。

しかしテルは違った。

テルは一言で言ってしまうと我慢強いのだ。

といっても並大抵の強さではない。

一種のリミットを外しその事自体を感じさせない『忘れる』事が出来るほどの強さ。

それは使いようによっては生命の危機が危ぶむほど。


左腕は力が入らない。折れている可能性も高い。この痛みは今の状況に邪魔なので『忘れる』。

目の前にいる化け物が恐ろしい。これも『忘れる』。

今重要なのは反撃のみ。


そしてテルは右手に持った棒を再度握り締め立ち上がる。

ゴブリンもテルの今までとは違う目つきをしっかりと見れば躊躇もしたであろう。

しかし元よりそこまで頭もよくないゴブリンは第二撃を振り下ろす。

テルはそれを冷静にステップで横に避ける。

重い石の一撃をいとも簡単に避けられ、そのまま反動で隙が生まれる。

そこにテルは片手ではあるが力いっぱい棒を振り下ろした。


バキ!!!


その棒は見事ゴブリンの脳天に直撃し、ゴブリンの頭は異様に凹んだ。

しかし棒も見事に一緒に折れてしまった。


テルが攻撃されてからここまで物の数秒

しかし、ティーアとミルコは強烈なインパクトがあった。

腕が折れても平然と立ち向かい、見た事もない動き、そして先ほどまでとは違う気迫。

テルは転生者と言った。テルの住む世界では全員こんな感じなのかと・・・・

いろいろと思うところがあり申し訳ないのですが長期掲載を止めます。

別小説が完結後に続きを書きます。


感想などが来たら続けるかも???

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ