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第一話 終わりと始まりと

昭和生まれの戦争経験者。

ゲームもファンタジーも異世界転生も知らない。

女難の相が体全体から出ているような主人公。


誤字脱字があればご容赦願います。

俺は、山根宏 30歳 独身 身長170cm 体重60kg やや痩せ型

今年は昭和42年。東京オリンピックが終わり、あと数年で大阪で万国博覧会が開催される予定で、世の中が活気付いている。

両親は戦時中の空襲で死亡。疎開先の祖母に育てられ、18歳で上京。その後まもなく祖母も事故で死亡。誰も身寄りが無くなる。

趣味は読書で広く浅く色々雑学の知識はある。現在アパート暮らしで、6畳1間、共同トイレ、風呂無し、銭湯通い。貯金無し。

建設会社の経理部勤務。彼女らしい彼女はいない。

女性に騙され易い体質らしく良く言えば純情、悪く言えばバカ。女性に良く貢ぐ上に詐欺まがいの被害の経験もあり。

女性経験はあるがお相手はプロの女性で素人の女性には相手にされず、近づいて来るのは詐欺師の様な女性くらいと情けない状態。

最後に知り合った女が最悪で言葉巧みに騙され多額の借金を背負わされる。

「親が、病気で治療にお金がかかるの。私が借金してるけど、もうこれ以上借りられないの。助けて欲しい。」

「俺に出来る事があったら言ってくれ。助けるよ。」

「ありがとう。私の代わりにお金を借りて欲しい。そうすれば親の治療も続けられるの。」

「わかった。手伝うよ。」

こうして俺は、借金し、そのお金を彼女に渡す。彼女には演技過剰なほどに感謝され。俺は人助けをしたと、満足感を味わっていた。

そのあっとも何度か同様に借金し彼女にお金を渡す。

年末近くのある日、「あなたには本当に感謝しているの。せめてものお礼に旅行にへ招待しようと思うの。知り合いが旅館をしていて、そこへ行かない?」

彼女と旅行なんて、うれしくて二つ返事で了承した。

上京してからずっと年末年始は一人で過ごしていたので、彼女と行く温泉旅行に天にも昇る気持ちだった。

旅館に入る前に彼女が海が見たいというので、有名な海の見える場所へ行った。そこは海沿いの切り立った崖になっていて、落ちれば死体が発見されないと有名な場所だった。

俺は止めたが、彼女が崖のギリギリまで行ってみたいと言うので、しぶしぶ付いていった。周りには年末と言う事もあり観光客はおらず、二人だけだった。

突然彼女が、「あれなに?」と崖の下のほうを指差した。

「なに?」と俺が覗き込む。すると後から強く押される。俺はそのまま地面の途切れたその先へ足を踏み出す。

崖から落ちる時、背後に人影。周りに人は居なかった。誰が押したか決定的だ。

俺は何度も崖の岩に打ち付けられてから、海に沈み意識を失う。

しばらくすると俺は海の上に浮かんでいた。肉体から魂が抜けたのだと理解する。崖の上を見ても彼女はいない。宿泊予定の旅館へ行ってみると。部屋に彼女がいた。ただ知らない男が一緒だった。

いかにもヤクザという風な男と彼女が笑っていた。

「ほんとバカだよな。まったく疑ってないなんて。」

「ほんと、今回はすごく楽だった。疑う事知らない相手だったから。」

「ハハハハハハ・・・」

ようやく俺も気が付いた。「騙された。」親の病気もうそ。彼女の借金もうそ。最初から俺に借金させて、そのお金を掠め取り、後腐れなくする為に俺を殺す。はじめから計画されていた事。

俺は悪霊になってこいつらに一生付きまとってやろうかとも考えたが、すぐにあきらめた。俺はそこまで人を恨むような性格はしていない。

ただ俺は理解した、命を失ってやっと理解した。俺は女性を求めても、女性は俺を求めない。女性が求めるのは俺の持っている金だけだった。

 失意の中、大晦日の夜に、ふらふらと自分のアパートの付近を彷徨っていると、突然強い力に引き寄せられ上空にある黒い穴の中に吸い込まれた。夜に黒い穴など見えるはずはないんだがなぜだかそう感じた。

穴の中は暴風雨が吹き荒れているかのようで、魂となった体に白い光のようなものが打ちつけられていく。

周りは白い光がスコールのように一方向に流れていく。

その光のいくつかは魂の体に反射され、いくつかは魂の体を削り、いくつかは魂の体に染み込んでいった。

光が魂の体を削ると力を失うような感覚となり、光が体に染み込むと力が湧いて来るような不思議な感覚を味わっていた。

 しばらくするとトンネルから抜け出たように前に視界が広がる。そこも夜のようだが、丘や森が広がっていると感じた。ちなみに雪は降ってなくトンネルの先は雪国ではなかった。


-マリナ視点-


 私の名前はマリナ、冒険者。田舎町の出身で町から町へ渡り歩きながら仕事をこなしている。

今は強い魔物がいる地域に来ている。このあたりにある特殊な薬草の採取が今回の仕事。強い魔物がいるのにソロでの仕事と言うのには理由がある。護衛役の男と二人で仕事をこなすはずだったが喧嘩をして男から逃げてきた。

「一度でも寝るとすぐ自分の持ち物のように女を扱うから嫌なんだ!」

「そう言いながらも結局男無しじゃいられないんだけど。」

色々考えながら目当ての薬草採取に勤しむ。

本来なら夜、魔物の多い場所へ出向くのは自殺行為だが、始まりの日付近は魔物が大人しくなる事を知っていたので、夜の採取を行っている。

「目標達成出来たから、そろそろ帰ろうか。」

そう思って帰りかけると、空が只ならぬ様子になってきた。見た目は只の夜空だがなぜか雰囲気が異常のような感じがする。目にも見えず音も聞こえないが何かが上空で荒れ狂っている感じ。

呆然と空を見上げていると何かがお腹にぶつかったような気がした。何の衝撃も無く只ぶつかった感覚だけ感じた。



 俺はトンネルから吐き出されてそのまま慣性飛行している。すると眼下に女性が見えた。不思議な事にその女性の下腹部が淡く光っているように見えたと感じた。

「女性はもうコリゴリなんだが。」とついもらしてしまう。

慣性飛行のままコントロール出来ずに女性の下腹部に激突した。

「止まれ!」「わぁ!」

女性に激突したと思った。確かに激突したが衝撃は無く、通り抜けるでも無く。そのまま体内に吸収されてしまった。

なぜか絡めとられた様になりそこから動けなくなった。

だけど悪い気分じゃなかった。なぜか懐かしく、なぜか心安らかになる気分。そうしているうちに意識を失ってしまう。

こうして第二の人生が始まる。


どうにか始まりました。

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