あがれ
初めての投稿。
自己満足で今まで書いてひっそり書いてましたが、
そこから少し抜け出してみたかったので投稿しました。
「あがれ」
走ってる。次から次へと来る真っ暗な景色から逃げている。
前を向いてもも真っ暗だ。
前に走っているのだと信じてまっすぐに。
突然、目の上に熱をもったモノが触る。
ああ、手で私の視界を奪っているのだと思った。
しかし、その手の者は私の耳元で「こっちだ」と導いた。
自然とその男の声は私を信じさせてくれあっという間に光ある場に私は立ち尽くした。
追ってくるもの閉じ込めるために、まるで悪魔の儀式の祭壇の上に立った。
もう何も追ってこなかった。光に包み込まれた。
目覚めると自分の懐かしい友と一緒に星がいくつあるかもわからない夜空があった。
とにかく夢中で空を見た。
「あ。すごい。流れてる。あれも。あ!あれも」
無意識に口にした。
「すごいすごい。やばいよ。綺麗だぁ」
誰彼も口をあけて呆けていた。
とどまることの知らない流れ星がなぜか恐怖に変わった。なにかおかしい。
「ん?」
誰かが何かに気づいた。
「あれ、星じゃないよね?」
「なんかこっちにきてない?」
一瞬だった。
まるであの星たちが持つ熱が移ったかのような熱い土流が襲う。
「あがれ!あがれ!」
頭の片隅にああ荷物も上着も置いてきちゃったなと喪失感があったがとにかく皆を引き上げたかった。
どんどん流されていくものたち。
斜めに走りながらなんとか手で地盤をつかむ。
手を差し出し誰でもいい。何人でもいい。あがれ!あがれ!
私が手を引いた子は懐かしいあの子だ。
その女の子に続いて何人も一直線に上る。私を先頭に。
隣を見ると懐かしい彼がいた。
好きな人というわけではない。ただ隣で一緒に上がってくれることが私の「あがれ」の声に力をくれたのは懐かしい彼だった。
先に上がるわけでもない。誰かの手を引いてるわけではない。
ただ彼は私の上がる速度と一緒にあがった。
寒かった。たどり着いた上は寒かった。
隣の友は泣いていた。
「私なんかこいつのと一緒の上着も流されたよ」と彼の背中をばしばし叩いて失笑した。
周りは呆然しているか、何かよく分からない現実離れした独り言を続けていた。
それを見てやっと私は自分の置かれた状況に愕然とし恐怖が背中にのしかかった。
地面に手を着いた。
誰かの手があった。
震えていた。
自分が震えているのだと数秒たらずで気づいた。
凍えて震える私の手の下の暖かい手にすがった。
繋いでなどいない。ただ震えていない心強い手が助けてと心細い私にとって優しい手をしていた。
その手の持ち主は先ほど私の走る速度にあわせて上った彼だった。
すぐに俯いてそっと力をいれてその手を握ろうとしたが震えて力が入らなかった。
泣いているところを見られたくなかったのか私の視界はどろどろな土だったが
向こうの手がそっと爪の先にあるかないかの指に絡んだ。
離したくなかった。話したくなかった。
この暖かい手が離れることはなかった。
自分の頬に暖かい涙があがった。
小説の書き方がわからない事ばかりなので悪い部分があればコメントください。