2話・死ノ瞬間
出来レバ楽ニ死ニタイ
眠ルダケデ死ネル事ガ出来レバ良イノニ
飛行機の中は狭かった。以前と言っても中学の一年生の頃、純一は野球部の遠征の為飛行機に乗ったことがあった。
その時は座席部分に音楽等を聞ける機械のような物がついていたのだが、今回乗る飛行機には搭載されていなかった。
少しがっかりしてしまった。何故なら落語が聞けない。
そう思った。
もの凄いスピードで滑走路を走る飛行機、そして、飛び立った。
耳が何か詰まるような感じだ。
少し眠たい。あぁ、うざったい家族と数日間離れられる。
あっバイトのお土産買わなきゃな、あいつはどうするんだろ、話も中途半端に終わってしまったし………。
そう考えていた。
だいぶ時間がたっていた。飛行機内は自由に歩くことも出来ていた。
純一はただぼーとしていた。席は窓側ではなかったので外の景色は見れない。隣は友人達が寝ている。
『俺も寝ようかな………』
そう思ってたとき、ポーンという音がなった。
目的地に着いたわけではなくどうやら緊急事態が起こったらしい。
機長が何かを言っていた。乱気流とか危険とか、すると飛行機が揺れ初める。そして、上から酸素マスクまで降りてきた。
本当にヤバい。そう思ってたとき、彼の視界がおかしくなった。
何故か空が見えた。まるで自分が空に投げ出された感じだ。
落下はしていない。けど不気味だ。そして、目の前が赤黒くなった。
気がつけば純一は仰向けに倒れていた。何か痛みを感じた。
痛みが感じると見てみたら右腕が無い。無くなった右腕からは血が流れていた。
「あぁ、あ、アアアアアアアッ!!」
純一はもがいた。
痛い、痛すぎる。
もしかして…………死ぬのか、俺………。
嫌だ…………死にたくない。
前ならば死にたい死にたいと考えて生きていた人間だったのに死に直面すると怖くなる。
こんなところで死ぬなんて…………。
そう考えていた時、誰かが近づいてきた。何も見えない。だけど気配はする。
純一は叫ぶ。
「頼む、助けてくれ………」
意識が薄れる。
そして、意識は無くなった。
『助けて欲しいんだ…………。いいよそのくらいなら………』