1話・絶望ノ始マリ
死ニタイトイツモ思ウ。
ドウセ死ンデモ俺ヲ悲シム者ハ居ナイ。
本当ニ………
どうしてこうなったのかわからない。どうして自分は死にかけてるのかわからない。
ただひとつ、解ることは………右腕が無い。
有るはずの右腕は無く、血が吹き出していた。
この瞬間解ることがあった。自分は死ぬ。そう思った。
前ならば死ぬ事を望んでいた。周囲の友人達に
『俺は18で死ぬ』
っと言っていた。でも死ぬならもっと楽に死にたかった………。
本当にどうしてこうなったんだろ。
全ての始まりはあの日からだった………。
車の中で詰まらなそうに空を見上げる少年。いや、青年と言った方がいいのか。
彼の名は広瀬 純一。
車には少年の父親が運転し、少年は助手席に後方の座席には母親と歳が大きく離れた妹が座っていた。
何処に向かうのか、其れは市内から高速道路を使って一時間程離れた場所に有る空港だった。
今日は少年の高校生活の一大イベントである修学旅行だ。
遥か北の国から関西へ4泊5日の旅。少年は楽しさ半分と不満な気持ちが半分のどうにもモヤモヤした気分だった。
何でモヤモヤしていたのか、其れは朝妹を泣かしたからである。
きっかけは単純。妹が無意味に顔を殴ってきたのだ。
其れに対して少年は妹の顔を叩いた。
その結果、妹は大泣きし、両親に怒られたのだ。
『あんた何歳さ!!』
妹を叩いた時に言い訳した後に言われた言葉だ。
歳が離れていようと悪い事は注意するべきだと思う。そもそも妹何て欲しくなかったのに………。
そう少年は思い、不貞腐れていた。
そんな事を考えている内に、空港に到着した。
「ありがとう」
心が全くこもって無い言い方だった。
少年は両親と妹の顔を見ないで集合場所に向かった。
集合場所には既に沢山の同級生がいた。車だから早いと思っていた少年はこの同級生の多さに驚いた。
少年は自分のクラスを探した。
「おぉ純一、おせーよ」
少年のクラスメイトが声を掛けてきた。
少年は不貞腐れていた顔から少し笑顔になって言った。
「お前らが早すぎなんだよ」
少年の言うお前らは三人である。ポッチャリとした男、新城 宏樹。少しだけ顎が長い男、中山 勇次。チャラチャラした男、庄司 和人。若干ではあるが庄司は狩〇英孝に似ている。
少年が集合場所に到着したのは集合時間の10分前だった。
わりと遅かった。
10分後、出発式を始め、いよいよ飛行機に乗るのだった。
勿論チェック等終えての話である。