05 形見だった?
待ってください、とスケボー女子は言った。おそらく追いかけてくるだろう。
──────ポスポスポスポス
ほら、案の定スケボーが動くときの音が近づいてくる。
──────ポスポスポスポスポスポス
そろそろだな。
「……せい!」
「わわっ!」
スケボーが見えた瞬間に先っちょを蹴り上げ、スケボー女子をスケボーから離す。
スケボーは放物線を描いて俺の横に落ち、スケボー女子も小さな放物線を描いてドスンと尻餅をつく。コイツの推定体重45kg。
「いたた……」
スケボー女子改めスケボーに乗ってない女子、つまりただの女子が痛がっているうちに俺はスケボーに乗り、逃げ出す。
「ああ、お父さんのスケボーが……!」
あ、ごめん、借り物だった? あるいは形見だった? 気が向いたら返してあげるからね。
「でも、これどうやって浮かすんだ?」
乗ればわかるかなー、と思ったが乗ってもわからない。ただシャーとスケボーに乗ってるだけだ。
スケボーが浮いていたのはスケボー本体の力じゃなくて元スケボー女子の能力だったのか? あ、小規模の天の川的な小さな力を後方に出し続けてたのか? それならポスポス聞こえていたのはその小さな力だったのか。
まあいい。俺スケボーぐらい普通に乗りこなせるし。走るより疲れないし。このまま逃走だ。
ちょっとした斜面や道路の凸凹を駆使してどんどん加速する。
各話のサブタイトルは適当です。私がその話の中で一番印象的だったフレーズを使ってます。