33 三つの魔法
あれから、5年と9か月が過ぎた。
「よっし、いくぞ」
左手で掴んだ右手を前へ突き出す。そっと目を閉じ、ストレージを視る。入っているのは三つの魔法。
掛道からもらった赤魔法。
時館から奪った青魔法。
ユマナから借りパクした緑魔法。
今は俺に所有権が移っているそれらを同時に顕現する。
緑魔法の剣に、赤魔法と青魔法の照明魔法が溶け込み、剣は、白く輝く。光の三原色だ。
「これが・・・・白魔法ですね!」
掛道は興奮気味だ。長い戦いの終焉を感じているのだろうか。
緑魔法で生成し、赤魔法と青魔法を染み込ませ、黒魔法で操る白魔法。
ベースが緑魔法の剣だから、この白魔法は白く輝く剣として存在する。
「石、壊すぞ」
首からぶら下げていた世界の石を左手に取る。
「ちゃんとこれで終わるんだろうな・・・」
世界の石を真上に放り投げ、剣を下段に構える。
落ちてきた世界の石に向け、剣を振り上げる。
──────パリィィィィィィィン!
世界の石は、白い破片を撒き散らし、粉々に砕け散った。
すぐに世界がマーブル模様を描き始める。
世界の時間を止めていた魔法が消え、元の世界に帰るのだ。
きっと、俺は、今後の人生で魔法に関わることは、もう二度とない。
それでいい。
ついに完結しましたね。
彼らの長い戦いはこれで終わります。




