02 ポスポスポスポス
止まっているのか・・・? 時間が・・・?
そうでもなければ説明がつかない。
この街は決して田舎ではない。今こそこの辺りには人が少ないが、それなりの数の人間が住んでいる。そんな街中で物音が五分以上もしないなんて異常だ。信号機だって赤のまま変わらない。信号機ハック? いやいやいや。
俺は非日常に踏み込んでしまったのだろうか。そんな世界は本当にあるのだろうか。
すごく怖い。心臓を得体の知れないものがゾワゾワと絡みついていくような感覚に襲われる。テスト勉強しないでテスト当日を迎えちゃったよ、の拡大版みたいな焦燥感。やばい、やばい。
──────ポスポスポスポス
「・・・何かポスポス聞こえる」
誰かいるのかよー。なんだよもー。別に時間止まってないじゃん。結局ドッキリかよ。少しワクワクしてたのにさー。
ん? 動いている人がいるってことは、そいつがドッキリのターゲットだな? ならもし近づいてきたら、俺も動かないほうがいいのか。
──────ポスポスポスポスポスポスポスポス
あー、近づいてきてるなぁ。よし。俺はじっとする。
そしてついにターゲットの女の子が俺の前の道路の真ん中を通過する。
──────空飛ぶスケボーに乗りながら。
「っ!?!?!?!?」
何アレ!? 飛んでんだけど!? 某からだは子どもの高校生探偵のスケボーよりすげえ!
──────ポスポスポスポス・・・・・・
女の子はスムーズに曲がり角を曲がって見えなくなる。ポスポスって何の音だし。スケボーが出せる音じゃないよぅ。空飛んでるし、差し詰め空気を噴射している音だろうか。
「・・・・・・・」
何も言えずその場に佇む。ドッキリのターゲットはもういないし、動いてもいいよね。帰ろっかな。俺は帰路へつこうと踵を返す。
──────ボスボスボスボス!
──────ガシャァァァァン!
──────ボボッボッボボボ!
──────チュドォォォォン!
だから何の音!?
女の子が去っていった方から激しい音が響いてきた。何かやってんの?
正直、めちゃくちゃ気になる。でも、ロケとか何かイベントやってたら邪魔になるしなぁ。
見に行くべきか、行かざるべきか。謎の音は今でも数種類ほど聞こえている。
「────────────」
「────────────」
話し声も聞こえる気がする。距離はせいぜい五十メートルぐらいか。・・・・・・よし。
「行っちゃえ」
俺は音のする方へと走り出した。
・・・・正直、怖かったんだよね。不自然なほど誰も何も動かない世界が。だから、誰でもいいから話しをしたかった。
一人称が統一されていなかったので修正しました。
正しくは「俺」です。