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26 カンニング

「俺は現実で魔法を使いたいとは思わないぞ。使っちまうと、味気ない人生が待っていそうだしな」


「・・・・魔法が使えるのに、味気ないんですか?」


「多分な。何もかもがつまらなく感じる。そうなったら、刺激が欲しくなって、迷惑を顧みず周囲を刺激に巻き込んで、阻害される」


 ちなみに根拠はない。俺が十数年の人生で至った一つの境地ってだけだ。


「俺はさ、テストでカンニングするとき、カンニングが必要ないほどに勉強するんだ」


「え? へ? カンニング? サラっと言ってますけど、不正行為ですよね?」


「なんの確認だよ。不正行為だからやるんじゃん」


「馬鹿ですか! カンニングなんか、真面目に勉強している人への冒涜です!」


「勉強は個人戦だぞ。それに、成績競争が起きるような規模のテストではしない。課題テストとか、何かの資格の検定とか、そういうのでする。俺の美学」


 そういうタイプのテストでなら、俺の成績は他者の成績に影響しない。簡単に言えば、相対評価ではなく絶対評価のテストオンリーってことだ。だが掛道は納得できないようだ。


「そんなの美学ではありません!」


「まあまあ。だから、カンニングしてもしなくても同じ成績が出せるようにしてんだってば。カンニングをすること自体に意味を見出してるからな」


 ところで、俺が見つけた勉強の記憶術を公開しよう。まずカンニングペーパーを、極力小さな紙一枚にまとめ上げる。すると、そのまとめ上げる作業自体で知識が整理され、さらにカンニングをするんだという大きな緊張感を持つため、カンニングペーパーに書いたことを一発で覚える。結果、カンニングペーパーを使用せずにカンニングペーパーの中の情報を引き出せる。これで世界史で学年一位とったことある。


「俺はこうやって、味気ない現実に味気を出してるんだよ。人生超楽しい!」


 ガバっと両手を広げ、笑顔でそう伝える。理解してもらえるとは思わないがな。


今回は少し長めです。比較的に。短い話の二倍近い文章量あると思います。これっぽっちでもね。

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