19 俺得!
掛道はスケボーを止め、俺の顔を見る。
「まさかとは思いましたが・・・・やはりそうでしたか・・・・」
あ、もう容疑どころじゃなくて確信してる。もともと勘付かれてたのか。
「まったく・・・・先輩は困った人です」
呆れられてしまったよ。これでも自分では年不相応にしっかりしているつもりなんだけどなあ。主観じゃダメか。
「目的地を変えます」
スケボーは進行方向を変え、再び進みだす。
五分も経たず、掛道が言ってた目的地に到着する。スケボーから降り、辺りを見回すが特徴ある目立ったものは何もない。
「ここは?」
「あ、ここはまだなんでもないですよ。少し広くて、周りからは見えにくい場所を選んだだけです。今後の方針のために、とりあえず先輩には何か魔法を使っていただかないといけませんから」
お! お! 神展開キタコレ! 誰得だよ、俺得! 魔法使えたらなあと妄想をふくらませていた時期が僕にもありましたが何か?
「よしきた。どうやんの? 俺、説明書って読まない派だからわかんないよ?」
「何の説明書の話ですか。この世界の説明書は実在しないのですからどちらの派閥でも同じでしょう」
「で? で? どうやったらワープしたり透明になったり変身したりできんの?」
「今のところそのような効果を持つ魔法は確認されていませんが・・・・あるのでしょうか?」
「なければ俺が作っからいいんだよ。とりあえず基礎教えろよ基礎。俺って学習能力割と高い略して割高だから基礎聞いときゃ何でもできんだよ」
「いえ、割高って言葉はすでに別の意味で存在するでしょう」
ああもう、うるせえなあ。張り倒すぞ。
今話はタイトルに使いたいフレーズがたくさんあって迷いました。
誰得、派閥、割高、基礎、目的地、神展開、説明書、困った人、読まない派、ワープしたり、この世界の説明書、学習能力割りと高い、etc・・・・。
迷いましたが、選ぶの楽しかったです。




